ナタリー PowerPush - Yun*chi

アニメ制作現場に潜入!憧れの加藤英美里と初対面

Yun*chi×加藤英美里対談

演じている方と同じ感情を曲にできてうれしいです

──加藤さんが声で出演されているアニメをYun*chiさんはすごく観ているんですよね。

加藤英美里 そうなんですか! なんのアニメ観てくださってるんですか?

Yun*chi 「らき☆すた」とか「化物語」とか「魔法少女まどか☆マギカ」とか。(八九寺)真宵ちゃんやキュゥべえが大好きなんです。夜な夜なカラオケで勝手にキャラソンを歌わせていただいております。

加藤 わーうれしい! ありがとうございます。

Yun*chi ホントにもう……すごく……かわいくて。ダメだ、興奮しちゃって全然うまくしゃべれない(笑)。今日はアカツキのセリフ、すごくカッコよかったです。「本物だー!」と思って。うれしかったです。

加藤 でも私もね、Yun*chiさんの歌すごく素敵だなって思うんですよ。「ログ・ホライズン」のエンディングテーマの「Your song*」は柔らかい雰囲気のいい曲ですよね。初めて聴いたときは感動しました。テレビで曲が流れるときにアカツキの絵が使われていたのもうれしかったですし。

Yun*chi この曲の歌詞はアカツキちゃんの気持ちを書かせていただいたんです。彼女がシロエくんを見るときのキュンとしてる表情があるじゃないですか。

加藤 うんうん。

Yun*chi あれがすごくいいなあって思ったんですよね。なので、まだ愛には発展してないかもしれないけど、尊敬の感情だったり、頼りにして慕っているアカツキちゃんの気持ちを恋愛っぽく書いてみたんです。実際、アカツキを演じられている立場としてシロエくんはどんな存在なんですか? 直継と絡むときとは違った感情が絶対ありそうですよね。

加藤 そうですね。シロエに対してはもう本当に尊敬の気持ちを持ってセリフを言っているかな。シロエのように広い視点で物事を捉えて、みんなの指揮を取れるような人は現実世界でもすごく尊敬しちゃうんですよ。あとは私自身、シロエのことを本当にカッコいいと思っているので、アカツキの感情と実際にリンクしてるところは多いと思います。で、直継に関しては気を許せる相手の1人でもあるし、シロエとは違った意味で頼りにしてるところもあって。「おぱんつ」ネタを言おうとしたときに顔を蹴るっていうじゃれあいのような感覚もね(笑)、アカツキ自身楽しんでるんじゃないかなって気がしてます。

Yun*chi アカツキちゃんと直継のやり取りはめっちゃ面白いですよねー。私もシロエのことはすごくカッコいいと思います。今日、寺島(拓篤:シロエ役の声優)さんの声を生で聞かせていただいて、なんて安心感があるんだろうって思いました。

加藤 うん。包んでくれるようなしゃべりですよね。あれがすごく素敵だから、シロエにはついていきたいって思うんです。

Yun*chi あ、私も歌詞に「ついていこうって心に決めた」っていうフレーズを書いたんですよ! アカツキちゃんを演じている方と同じ感情を書けたのはめっちゃうれしいです。

アフレコ現場の感覚はライブに似ている

──お2人とも声を使う職業なわけですが、Yun*chiさんは声優という仕事に対してはどんな思いがあります?

Yun*chi

Yun*chi もうリスペクトの塊ですよね。なんでこんなに声を器用に扱えるんだろうって思っちゃう。私も声で表現をしてはいるんですけど、単位が全然違うんじゃないかなって思うくらい声優さんは繊細な表現をされますよね。怒ってる感情だけで何パターンできるんだろうっていう。

加藤 感情ひとつにしても、そのシチュエーションによって全然変わってきますからね。でも、それは自分で意識してやっている部分ももちろんあるんですけど、それ以上に、周りの人に引き出してもらうことのほうが多いような気がします。

Yun*chi 確かにお家で1人で練習しているときと、他の声優さんたちと一緒に演じるのでは表現が変わってきそうですもんね。

加藤 そうそう。前後のセリフを聞くことで、感情の乗せ方が違ってくるんです。なので、私の場合、家では台本を軽く読み込むくらいにしておいて、現場で表現を決めていくことが多いんですよね。

Yun*chi だからなんですかね、皆さんの息がピッタリ合ってるのがすごいなって思ったんですよ。たくさんの人の演技が重なっていくわけだから、例えば間が合わないとかっていうことがあっても不思議じゃないじゃないですか。でも、まったくそんなことはなく、素晴らしい化学反応が起き続けているというか。

加藤 確かに会話が自然に聞こえますよね。それはきっと、現場でのテストのときに「このセリフはこういうことだよね」「ここが一番言いたいことなんだよね」みたいなことを声優さん同士で確認し合ったりするのも大きいと思うんです。だからみんなの感情が自然と合っていくっていう。

Yun*chi ああ、そういう部分は歌に関しても似てるところがあるかもしれないです。歌うのは私1人だけど、ディレクターさんやプロデューサーさんに「こういう歌い方だとどう聞こえますか?」とか「こっちとこっち、どっちの歌い方がより伝わりやすいですか?」っていう確認するんですよ。伝えたいことを一番いい形で届けられるように。「この歌い方をするなら語尾はこうじゃないよね」って歌詞を現場で直したりすることもありますし。

加藤 作業的にはすごく似てるところがありますね。例えばケンカのシーンで私はよく感じるんですけど、相手の出方によって自分のセリフの強さもどんどん変わってくるんですよ。こう言われたから、じゃ私はもっと言い負かすくらいに言ってみようとか(笑)。そういうのもすごく楽しいんですよね。

Yun*chi 私の場合、その感覚はライブにありますね。お客さんの反応によって歌い方が変化するし、曲自体が成長したりもするので。実際にアフレコを拝見して改めて思いましたけど、声優さんのお仕事も生モノですよね、ホントに。

加藤 うん、そうだと思います。アドリブを入れたりっていうこともありますし。

Yun*chi 今日、アドリブされてる方いましたよね! ドキドキしました。「台本と違うぞ!」と思って(笑)。

Contents Index
ニューシングル「Your song*」2013年11月13日発売 / 1200円 / 日本クラウン / CRCP-10300
「Your song*」
収録曲
  1. Your song*
  2. Waon* with IroKokoro Project
  3. Fuzzy*
  4. Your song*(instrumental)
  5. Waon* with IroKokoro Project(instrumental)
  6. Fuzzy*(instrumental)
Yun*chi(ゆんち)
Yun*chi

幼少期よりボーカリストになることに憧れ、日々の生活の中で音楽に触れて育つ。インディーズシーンでアーティストとして活動する一方で、モデルとしても活躍。そのキュートなルックスで注目を集める。音楽面でも独特の声と人懐っこいキャラクターが買われ、デビュー前からlivetuneをはじめさまざまなアーティストの作品に参加する。2012年11月にミニアルバム「Yun*chi」で日本クラウンよりメジャーデビューし、同作は「ミュージック・ジャケット大賞 2013」で大賞を受賞。2013年4月には2ndミニアルバム「Shake you*」を発表した。同年11月に発売された1stシングル「Your song*」はNHK Eテレのアニメ「ログ・ホライズン」のエンディングテーマに採用された。

加藤英美里(かとうえみり)
加藤英美里

2004年放送のアニメ「今日からマ王!」で、メイド3人組のうち1人であるドリア役で声優デビュー。2007年に放送された「らき☆すた」に柊かがみ役で出演し、平野綾、福原香織、遠藤綾とともに歌った同アニメのオープニングテーマ「もってけ!セーラーふく」が大ヒットを記録した。その後も声優として「化物語」の八九寺真宵役、「魔法少女まどか☆マギカ」のキュゥべえ役などを務め話題に。2008年に歌手デビューを果たし、アルバム「vivid」をリリース。BSフジのバラエティ番組「アドリブアニメ研究所」でともにMCを務めていた声優の福原香織とユニット「かと*ふく」を結成し、2012年にシングル2枚とアルバムを発表した。