ナタリー PowerPush - DIAMOND☆YUKAI

全活動を総括するセルフカバーベスト発売!多方面で活躍するD☆Yのさまざまな顔に迫る

すべては「自分にとって新鮮か新鮮じゃないか」

──今回のアルバムには新曲(「I AM A ROCKMAN」)も入ってますが、まず「I AM A ROCK MAN」というアルバムタイトルがあって完成した曲なのか、それともこの曲からアルバムタイトルを決めたのかが気になったんですよ。

同時だね。いろいろ考えていって、そのうちに「ROCKMAN」という言葉が空から降ってきたんだよ。まあせっかくアルバムを作るんだったら、新曲は1曲は絶対入れたいって思ってたの。だけどこういうベストアルバムの場合、新曲が合う合わないがあるじゃない。

──過去にやってきた曲とですか?

こういう楽曲の中に混ぜちゃっていいのかなって。

──でもこの曲順で聴いてもまったく違和感ないですし、曲自体もアレンジもユカイさんのイメージどおりだなという印象が強いです。その後に続く今までの代表曲と混ざっても、すごくバランスがいいなと思いましたよ。

嬉しいね。今のDIAMOND☆YUKAIにとって「I AM A ROCKMAN」が名刺だとして、だからといって他の収録曲も決して古いとは思ってないし。全部が“今のベスト”だからね。

──例えば、ライブではRED WARRIORSでデビューした頃の曲を今でも歌っていますよね。それこそ20歳くらいの自分が書いた歌詞を、40半ばを過ぎた現在のユカイさんが歌うことに対して、抵抗や違和感みたいなものを感じることはないですか?

きっとみんな、「(I Can't Get No) Satisfaction」を歌ったミック・ジャガーに「あれだけ歌ってどういう気持ちなんだ?」って思うんだろうね。でも、その答えはひとつしかない。自分にとって、新鮮か新鮮じゃないかということ。だから何百回も歌うとか、20歳の頃の曲だとかはあまり関係なくて、その新鮮さだけで楽曲に対する姿勢や思いは変わってくるんだよ。新鮮じゃなかったら、きっと響かないだろうしね。

──聴いてる人たちにも?

うん、それに自分にも。そういう新鮮さを感じることなく、何度も歌ったこともあると思うよ。だけど、そこが一番大切なんだ、最近過去の楽曲でもワクワクした気持ちになれるんだと、特に感じるようになったんだよね。

──そういう意味ではこのセルフベストアルバムは、出るべくして出たアルバムなんでしょうね。

そうだね。本当に全部新鮮な気持ちで歌わせてもらったよ。

SHAKEとの複雑な関係

インタビュー写真

──新曲ではSHAKEさんがギターソロを弾いてますよね。前作「D☆Y SHORT BIBLE」にも参加してましたが、いろんなギタリストがいる中でSHAKEさんにギターを弾いてもらった理由は?

なんだろうねえ。RED WARRIORSを一緒に作った仲間だし、そういう敬意を込めてというのもあるんだけど、なんだろう。でも、短いソロとはいえ彼がいてよかったと、強く感じたね。

──今のユカイさんにとって、SHAKEさんはどういう存在なんですか?

うーん、よく言われるんだけどね。自分でもわかんないんだよ。

──ずっと仲良しで来てるわけでもないですよね。

仲悪いもんね。

──ああ(笑)。

自分ではその答えはきっと見つからないんじゃないかな。今後また一緒に音楽を作ることがあるかもしれないし、ないかもしれない。だけどやっぱり、今後もなんらかの形で関わることにはなるだろうね。まあ一緒にいたら嬉しいし。今回のアルバムでも、SHAKEのギターソロが出てくると嬉しいもんね。きっとファンはもっと嬉しいんだろうな、とは感じるよ。

──僕らには理解できない、ちょっと複雑な関係ですよね。

俺がわかんないんだから、きっとわかんないよ。

──(笑)。

俺がわかっていれば、ちゃんと解きほぐして答えを出すけど。その出した答えが、ちゃんと正しいものだとは思わないけどね。俺にとっては換えがきかない唯一無二のミュージシャンなんだよ。

RED WARRIORS再始動とその理由

──ちょうどこのアルバムが出るタイミングで、RED WARRIORSとしてもライブがあるじゃないですか。ファンとしてはまた観られるという嬉しい気持ちがあるんですが、なんでまたこのタイミングだったんですか?

うん、まあいろいろあるんだよ。

──いろいろって(笑)。

いろんなタイミングがね。まあ……いいじゃない、それは(笑)。あとどれだけ生きていられるかわからないけど、やれることをどんどんやって楽しもうと、最近特に思うんだよ。どこか旅行に行くのも楽しみだし、ネエチャンと遊ぶのも楽しいだろうし。だけど、ステージでいい曲を歌っていいライブをやれることが、俺にとって究極の喜びなんだよ。

──じゃあ今後もやれるタイミングで、やれることはガンガンやっていこうと。

もちろんそうだよ。だからあんまり考えすぎないほうがいいんじゃないかな?

──なるほど。

もっとシンプルに考えてもいいのかなと。ま、このアルバムだってそうじゃない。ファンも「なんで今、RED WARRIORSやるの?」と思うかもしれないけど、ライブをやれば来るわけだし。

──確かに(笑)。

インタビュー写真

「やった、よかった」でいいじゃない。最近はそういうふうに思ったほうがいいんじゃないかなって。みんな「なんで今の時代に? 再結成ブームだからやるの?」みたいに、いろいろ面倒なこと考えるけど、いいじゃないか、やるんだから。死んだらできないわけだし。

──そうですよね。ところで、RED WARRIORSのライブ直後にユカイさんのバースデーライブがありますが、こちらにもSHAKEさんはゲストで出演しますよね。

来る来る。3月8日はSHAKEの誕生日なわけ。で、その日にRED WARRIORSがライブやるから、じゃあ俺の誕生日もやれよっていうさ。

──(笑)。

「(誕生日を)祝ってやってるじゃないか」ってね。それで「わかったよ、じゃあ行くよ」と。そういうこと。

──本当にシンプルな理由なんですね。

もちろん、みんな20年間の思いとかいろんなものがあると思うけど、それはもう個人で勝手に考えてもらって。最終的にはシンプルに楽しんで、盛り上げてもらいたいな。このアルバムも同じように、シンプルに聴いてもらいたいし。だってもしかすると俺、バースデーライブが終わったらどこかいなくなっちゃうかもしれないしさ。ライブ後のスケジュールも決まってないし、もしかしたらブラジルに行っちゃうかもしれないしね。

──なんでブラジルなんですか(笑)。

農園でもやろうかなと思ってさ(笑)。この先、自分が農業に従事するかもしれないしね。

──まあ何が起こるかわからないですからね。

わからないよね。これ観ておかないと、きっともう会えないかもしれないよ。

セルフカバー・ベストアルバム『I AM A ROCKMAN』 / 2009年3月4日発売 / ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

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CD収録曲(カッコ内は原曲アーティスト)
  1. I AM A ROCKMAN [新曲]
  2. SUMMER ANGEL [DIAMOND☆YUKAI]
  3. バラとワイン [RED WARRIORS]
  4. 外は白い雪の夜 [DIAMOND☆YUKAI / 吉田拓郎カバー]
  5. JOHN [RED WARRIORS]
  6. DIRTY HERO [DIAMOND☆YUKAI]
  7. ルシアンヒルの上で [RED WARRIORS]
  8. 君はともだち [DIAMOND☆YUKAI]
  9. CASINO DRIVE [RED WARRIORS]
  10. Still of the night [RED WARRIORS]
  11. I'M THE BEST [DIAMOND☆YUKAI]
DIAMOND☆YUKAI (だいあもんどゆかい)

プロフィール

1962年生まれ、東京出身の男性ロックシンガー/俳優。1986年10月にロックバンドRED WARRIORSのボーカルとしてデビューし、一世を風靡。バンド解散後の1990年、「I'M THE BEST(世界の女は俺のもの)」で華々しいソロデビューを飾る。1996年にはディズニー映画「トイストーリー」の日本語版主題歌「君はともだち」を担当。同年、7年ぶりにRED WARRIORSを再結成し、武道館公演を成功させる。1999年から新たな試みであるジャズのスタンダードやカバーなどを織り交ぜたアンプラグド形式のバラードアルバム「Night Life」シリーズを発表。新しい音楽スタイルを模索する一方で、役者としても活動の幅を広げ、映画やオリジナルビデオ、舞台などで活躍。最近ではTVのバラエティ番組にも出演しコミカルな一面も披露している。