YOSHIKIロングインタビュー|XY、クラシックコンサート、亡き母に捧ぐ「REQUIEM」を語る (2/2)

いつにも増して激動の2023年

──ただでさえ多忙なスケジュールの中、XYのプロデュース、THE LAST ROCKSTARSでの活動、ディナーショー、ご自身の手がけるワインブランド「Y by YOSHIKI」のプロデュース、さらには映画監督……いろんなことが並行していて大変だと思うんですが、優先順位はどうやって決めていくんですか?

自分の中でそれぞれに大枠の目標があるので、それに沿ってやっていく感じです。いろんな依頼があるんですが、実は100の依頼が来たら99くらい断ってるんです。だけどその“1”がすごく大きなことばかりという。

──YOSHIKIさんが「やる」と判断する基準は?

勘と言ってしまえばそれまでなんですが、やっぱり「自分がどうしたいのか」という気持ちが一番ですね。ただこの1年くらい働きすぎちゃってまして、「自分はなんのために生きてるんだろう」と思う瞬間が多くて……。それについても考え中ではあるんですが、今年は激動の年になると思います。

YOSHIKI

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クラシックコンサート開催も控える中、「ピアノを弾く時間がほしい」

──ディナーショーを経て、10月には日本と海外でYOSHIKIさんのクラシックコンサートが開催されます。イギリス・ロンドンのロイヤルアルバートホール、アメリカ・ロサンゼルスのドルビーシアター、ニューヨークのカーネギーホールの3会場でコンサートを行うのは日本人としては初めてとなる偉業です。

恐縮です。昨年に母が亡くなって、「REQUIEM(レクイエム)」という曲を作曲したことによって自分も前を向けたんですけど、その時期にロイヤルアルバートホールやドルビー・シアターでのコンサートのお話をいただきました。もともと2023年はスケジュールが過密だったので、精神的にもスケジュール的にもできるかずっと悩んでたんです。ただエージェントのWilliam Morris Endeavorから「これだけの会場からオファーが来ているんだから、やらないってチョイスはないんじゃないか?」と提案されて。おっしゃる通り、本当に光栄なことだと思っていたけど、すでに組まれていたスケジュールを考えても、成し遂げられるのかという。先日、フランス・パリで「MAISON YOSHIKI PARIS」という新たなファッションブランドを設立しまして、ファッションのほうでも相当な時間が必要でして、ほぼ半分はパリに住んでいる状態です。

YOSHIKI

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──多忙に拍車がかかっていますね……。

ええ。母が亡くなったあとに自分がこうやって息をしていて、これだけさまざまな機会をいただいていると思うと、全力でやるしかないんじゃないかと。ただ、飛行機の移動があまりに多いのがつらくて。7月だけでも日本、ロサンゼルス、パリ、ロサンゼルス、パリ、ドイツ、パリ、そして日本に移動して、今ロサンゼルスにいるんです。これだけ移動が多いとピアノの練習ができないという……。

母に捧げる「REQUIEM」作曲時に起きた“現象”

──お母様に捧げた「REQUIEM(レクイエム)」という曲についてお聞きします。“3大レクイエム”と言えば、モーツァルト、ヴェルディ、フォーレの作品が有名ですが、YOSHIKIさんは常々、「100年先も聴いてもらえる音楽を作りたい」とおっしゃっていますので、クラシックの音楽家のような作品を残すことをご自身の使命の1つにしていると思います。

すごく恐れ多いですけど、“4大レクイエム”になれるようにという気持ちはあります。そして僕が作った「REQUIEM」はかなりの自信作です。

YOSHIKI

YOSHIKI

──この曲は悲壮感がありつつ、光に向かっていくことを想起させる展開もあるなど、いろんな感情が内包されていますよね。

ありがとうございます。母が亡くなって、どん底にいたので、光に向かっていくイメージを音楽に反映することによって自分も前に進めました。つらい状況でもこういった曲を作ることができるんだ、ということには自分でもちょっとびっくりしました。なんだか空からメロディが降ってきた感じがして。

クラシックコンサートでドラムを演奏する可能性も

──マニアックな話なんですが、現在公開されているショートバージョンで聴くことのできるピアノのフィルに、これまでYOSHIKIさんが作ってきた作品とは違った響きがありました。クオンタイズされていない、生々しいフィルに人間らしさを感じたのですが、意図的なアプローチですか?

はい。意図的です。やっぱりピアノといっても、バンドに合わせるときは制作の段階で機械的なアプローチが必要なんです。でもこの曲は「あえてリズムが揺れていい」というクラシック的なアプローチを取っています。

──「YOSHIKI CLASSICAL」ではオーケストラもいますし、その生々しいアプローチを堪能できそうですね。

今回の「YOSHIKI CLASSICAL」では、ピアノだけでなく、ドラムも演奏しようと思っています。気が変わらなければ(笑)。「Japan Expo」でもドラムは叩きましたけど、ドラムとクラシックに関する壮大な計画があるんです。

YOSHIKI

YOSHIKI

多忙を極めるYOSHIKI。XYのデビュー、オーケストラと回るワールドツアーに続き、ハリウッドで制作されYOSHIKI自身が初めて監督を務めるドキュメンタリー映画「YOSHIKI:UNDER THE SKY」がジャパンプレミアを経て9月8日の日本公開を皮切りに、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドンの劇場で上映されることが発表された。さらにYOSHIKIは各国での公開に合わせて開催されるプレミア上映にも登壇。今後も多くのサプライズがありそうだ。

映画「YOSHIKI:UNDER THE SKY」予告映像

プロフィール

XY(エックスワイ)

YOSHIKIプロデュースによるバンドとダンスボーカルからなる13人編成のボーイズ・バンド。2023年2月に日本テレビによるオーディション番組「YOSHIKI SUPERSTAR PROJECT X」の参加メンバーからなるグループで、同月に初の配信シングル「XY feat. YOSHI」をリリースした。同月末に日本テレビ「スッキリ」内でデビューメンバーが決定。ダンスボーカルグループにはJAY(後町和輝)、HAYATO(丸尾隼)、RAIA(道木来明)、KICE(キス)、KANJI(有薗莞爾)、P→★、MITCHY(西垣道隆)、KOSEI(藤岡孝成)の8名、バンドにはKYOHEY(Dr)、KAIRI(G)、FURUTATSU(B)、KARMA(Vo)、GAI(Vo)の5名が所属している。3月に行われたファッションイベント「第36回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2023 SPRING/SUMMER」にYOSHIKIとともに出演し、XYとして初のステージパフォーマンスを展開。5月には武道館で行われた「THE DANCE DAY LIVE」にも出演。6月30日にメジャーデビューシングル「Crazy Love」をリリースし、全世界配信された。

YOSHIKI(ヨシキ)

X JAPANおよびTHE LAST ROCKSTARSのリーダー、ドラムとピアノを担当。ボーイズ・バンドXYのプロデューサー。音楽以外に慈善活動にも携わっており2010年に基金「Yoshiki Foundation America」を設立。最近ではウクライナおよび周辺国避難民支援したほか、遺児救済や災害支援などを積極的に行っている。また着物ブランド「YOSHIKIMONO」や、ワイン・シャンパーニュのブランド「Y by YOSHIKI」などをプロデュース。2023年7月には新たなファッションブランド「MAISON YOSHIKI PARIS」をフランスに設立し、「YOSHIKIMONO」はこのブランドの一部門となった。また日本コカ・コーラとビジネスパートナーとしてタッグを組み、清涼飲料水「リアルゴールド X」「リアルゴールド Y」を発表。2022年11月にYOSHIKI(Dr, Piano)、HYDE(Vo / L'Arc-en-Ciel)、SUGIZO(G / LUNA SEA、X JAPAN)、MIYAVI(G)からなるTHE LAST ROCKSTARSを結成し、2023年1、2月に東京、ニューヨーク、ロサンゼルスの3都市を回る初ツアーを行った。10月にはクラシックコンサート「YOSHIKI CLASSICAL 10TH ANNIVERSARY - World Tour with Orchestra 2023 'REQUIEM'」を東京・東京ガーデンシアター、イギリス・ロンドンのロイヤルアルバートホール、アメリカ・ロサンゼルスのドルビーシアター、そしてアメリカ・ニューヨークにあるカーネギーホールの4会場で開催。イギリスとアメリカの歴史ある3会場を制覇するのは、日本人ではYOSHIKIが初となる。2023年9月には自身初となる監督作品、映画「YOSHIKI:UNDER THE SKY」が劇場公開されることが決定。映画監督としての顔も持つ。