ゆるめるモ!って今、どんな感じ? 「メンバー他己紹介」と「ねるん&田家大知インタビュー」で迫る、新体制の現状 (4/4)

僕としては、ねるんさんにプロデューサーをやってほしい

──話を聞いてると、これからのゆるめるモ!を引っ張っていくのはねるんさんの仕事なんだろうなというのを感じました。ねるんさんは、自分がプロデューサーになることに興味はないんですか?

ねるん ありますし、自分がプロデューサーになったほうがいいんじゃないか?って思ったこともあります。

──おお!

田家 僕としてはやってほしいですけどね。僕は壮大なことを考えるのは得意なんですけど、「それを具体的にどう落としこむのか」を考えるのが得意じゃなくて。でもアイドルってそっちのほうが大事だったりするんですよ。だから全体のプロデュースはねるんさんにお願いして、僕は引き続き音楽面のプロデュースに携わるとか、そういうのがベストかなという気がしてます。

──最近のアイドルシーンは、KAWAII LAB.における木村ミサさん、=LOVE、≒JOY、≠MEにおける指原莉乃のように女性プロデューサーが活躍していますしね。

田家 時代に合わせてチューニングしていくためには、僕のようにおじさん的な感覚を持っている人はがんばらないほうがいい場所が、いっぱいあるんだろうなと思うんです。もちろん、長年やっているプロデューサーさんで、全部を掌握しないと気が済まないみたいな人もいますし、そういうのを否定はしないんですけど、今ゆるめるモ!をやっていると「ここは絶対にねるんさんが考えたほうがいい」というポイントが明確にある。それはねるんさんという才能と出会えたことで気付けたんです。

左からねるん、田家大知。

左からねるん、田家大知。

──時代ということで言うと、ゆるめるモ!の結成から13年経って、その間にアイドルシーンの流行だけでなく世間的な価値観の変化もあったと思うんです。例えば、活動を通して発してきた「逃げてもいい」「がんばらなくてもいい」というメッセージは、退職代行サービスが話題になっている今は、かつてと比べるとそこまで特殊な考え方ではなくなってきたのかもしれない。それってポジティブに考えれば、ゆるめるモ!の考え方を支持してくれそうな人が増えている、つまりチャンスだとも捉えられるのかなと。

田家 それはそうですね。以前みたいな「メインストリームに対するカウンター」ではなくなりました。でもそれはいいことだと思ってて。今は、戦い方と武器を変えたほうがいい、そんなに突っ張らなくてもいい、みたいな気持ちです。

──ねるんさんはソロプロジェクト・ねるんポクぽくで作詞作曲をしていますよね。「ゆるめるモ!の曲を作ってみたい」と考えたことはないですか?

ねるん 全然考えたことない。

田家 僕の中では一緒に作ってる感覚があるんです。僕が何かアイデアの種を出したときに、ねるんさんと禅問答みたいな会話をいっぱいするんですよ。「人間の一生って一瞬の泡みたいなものですよね」みたいな。そこでねるんさんから出た言葉を僕が歌詞に入れたりしているんです。ねるんさんはしゃべってくれてるだけなので、自分が作っている感覚はないかもしれないですけど、僕の中では共同制作している感じですね。

──じゃあ曲作りにおいても、ねるんさんは重要人物になっているんですね。

田家 そうです。本当に力をいただいている感じです。今、ゆるめるモ!の次のアルバムを作っているんです……といってもまだ頭の中にあるだけで、僕の中では完成形が見えてるものの、まだ全然できてなくて。メンバーにも、しかるべきタイミングで伝えたほうがいいかなと思ってまだ言ってないんですけど。でも、ねるんさんには相談しているんです。曲が8割ぐらい完成したら意見を聞いて「そうか! じゃあこうするか!」ってラップを追加したり。最近はそんな感じです。

めっちゃくちゃ勝負に出ようかなって思ってます

──1年前に加入した、らきさんとまことさんは、オーディションにメンバーも参加して選んだんですよね。その時点では、どういうメンバーが欲しかったんですか?

ねるん その前に5人でやっていて、1人抜けることになったときに、私は4人でやるよりも新しいメンバーが欲しいなと思っていたので、単純に「人が欲しい」って感じでした。

──「こんな人」という具体的なイメージはなく。

ねるん でした。オーディションには配信審査(ミクチャで1カ月間にわたりライブ配信を行う審査)があったんですけど、それ観てもあんまわかんないんですよ。配信が得意な子もいるし、苦手な子もいる。私だったら苦手だし、たぶん毎日もできない。だから、もちろん毎日できてるのはいいことなんだけど、それが全部じゃないなって気がして。やっぱ難しい。

田家 みんなの意見に耳を傾けて一緒に選んだんですけど、その中で「ゆるめるモ!っぽいよね」みたいな声がけっこう上がったんですよ。僕の中には「絶対にゆるめるモ!はこう」というのはなかったんですけど、佇まいとか雰囲気からそこはかとなく出てくる、言語化できない「ゆるめるモ!っぽさ」を、新メンバーの2人に対してみんなが感じていたんですよね。

──今の6人のゆるめるモ!について、どう思いますか?

田家 時代に対応した戦い方ができるメンバーだと思ってます。6人がそろったときに、今までにないような「バーン!」感があるんですよ。ビジュアルはもちろんですけど、それだけでなく。なのでその、ほかのグループさんにはなかなか出せないような「バーン!」感を、音楽でさらに広げていきたい。イケるなって実感はあります。

──7月10日から全国ツアー「もんもっちゃい夏あーっ!」が始まりますが、今のメンバーでのライブに手応えは感じますか?

ねるん ライブをやって新規の方が来てくれる様子はありますし、対バンのイベントで「何年かぶりに観てみるか」とか「名前は聞いたことあるけど」って観てくれる人も多くて。「今のゆるめるモ!もいいね」とか「やっぱ変わってなかったわ」みたいな声をちらほら見かけるので、それがグループとしての手応えに入ることなんでしょうかね。でも自分はライブをやっていても、もっぱら手応えはない。

──あ、そうなんですか。「もっとできるのに」みたいな気持ち?

ねるん うーん、なんかうまく伝えきれなくて悔しい。

田家 違うかもしれないですけど、僕が見て、ねるんさんはすごく視野が広くて、ライブしながら全部を見渡してるんです。客席もよく見ているし、お客さんの気持ちもよく理解してる。だからたぶん、ねるんさんの思い描くベストなショーに達してないってことなんだろうなって。

──やっぱり視点がプロデューサー的なのかもしれない。もちろんプレイヤーでもあるんですけど。

田家 例えばMV撮影のときでも、スタッフ側の目線も常に持ってるんです。「これとこれ、ちゃんと撮れましたか?」みたいな。僕が出会った人間の中で、クリエイティビティや発想力のすごさは、ねるんさんが一番だと思う。だから見つかってほしい。ゆるめるモ!はもちろんですけど、ねるんさんにももっとスポットが当たってほしい気持ちがあります。

左からねるん、田家大知。

左からねるん、田家大知。

──ゆるめるモ!としてのこの先の目標はありますか?

ねるん 目標は……わからないけれど、やりたいことはいっぱいあります。日常にある。総合的に言うとわざわざ観ようとしなくても観れる人になる、みたいな感じなのかな。

田家 僕は、めっちゃくちゃ勝負に出ようかなと思ってます。今までできなかったなことができる環境になったので。僕はこの13年間いろんなことをやってきて、打率を高くするバッティングみたいなものを、自分なりに多少なりとも学んだんです。プロデューサー意識を持ったメンバーと、時代ウケするメンバーが集まった今のゆるめるモ!は勝負に出れる実感がある。今まであまり自分たちが攻めてなかったところにどんどん進出していって、「今のゆるめるモ!って、こんなことになってるんだ! すごい!」というのを広げていきたいです。もちろん、世間がびっくりするような発想の曲を作り続けながら。僕がいろんなとこで言ってきた「音楽で人を救いたい」という気持ちはまったく変わっていないんで、とにかくゆるめるモ!の魅力を広げることで、音楽を広げて、少しでも多くの人々に届けたいなっていうのが大きな目標ですね。

公演情報

もんもっちゃい夏あーっ!

  • 2025年7月10日(木)東京都 下北沢シャングリラ
    OPEN 19:00 / START 19:30
  • 2025年7月21日(月・祝)岐阜県 yanagase ants
    OPEN 14:00 / START 14:30
  • 2025年8月2日(土)静岡県 Magical River
    OPEN 18:30 / START 19:00
  • 2025年8月3日(日)千葉県 柏ALIVE
    OPEN 18:00 / START 18:30
  • 2025年8月10日(日)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya 2/3(VJ-4)
    OPEN 18:00 / START 18:30
  • 2025年8月11日(月・祝)宮城県 space Zero
    OPEN 18:00 / START 18:30
  • 2025年8月14日(木)愛知県 CLUB 3STAR IMAIKE
    OPEN 18:30 / START 19:00
  • 2025年8月16日(土)大阪府 livehouseSTARBOX
    OPEN 19:00 / START 19:30
  • 2025年8月19日(火)東京都 渋谷近未来会館
    OPEN 19:00/ START 19:30
  • 2025年8月23日(土)福岡県 LIVEHOUSE OP's
    OPEN 19:00 / START 19:30
  • 2025年9月7日(日)埼玉県 西川口Hearts
    OPEN 13:15 / START 13:45
  • 2025年9月9日(火)東京都 東京キネマ倶楽部
    OPEN 18:45 / START 19:30

プロフィール

ゆるめるモ!

フリーライターの田家大知が路上でスカウトしたメンバーにより、「窮屈な世の中を私達がゆるめるもん!」というコンセプトのもと2012年10月に結成された女性アイドルグループ。楽曲はニューウェイブを軸に、エレクトロ、クラウトロック、シューゲイザー、ハードコア、ヒップホップ、アンビエント、テクノなどさまざまなジャンルが取り入れられ、これまでリリースした楽曲は130曲を超える。2014年7月に初のフルアルバム「Unforgettable Final Odyssey」をリリース。また2015年10月に初主演映画「女の子よ死体と踊れ」が公開され、2016年4月からはテレビ東京「ほぼほぼ ~真夜中のツギクルモノ探し~」にレギュラー出演した。海外での活動も多く、イタリア・ベトナム・台湾・上海・香港・バンコク・韓国といったさまざまな国や地域での公演も20回以上にわたって実施。現在のメンバーは、なに、ねるん、へそ、めあり、らき、まことの6人。