ナタリー PowerPush - 矢沢永吉

自由でいいかげんな40周年アルバム「Last Song」に込めた想い

キャロルは村八分や四人囃子、外道とかと対バンしてた

──キャロル時代の矢沢さんはいかがですか?

黒川 大好きですね。実は僕ら3人でバンドやってるんですけど、ライブのときはキャロルの曲を必ずやります。ちなみにバンド名は腹八分(笑)。もちろん村八分のパロディです!

清水 最高でしょ(笑)。キャロルは当時、村八分とか四人囃子とか外道とかと対バンしてたんだよ。もはや異種格闘技戦だよね。その頃の話とか、永ちゃん本人の口から語ってもらいたいなあ。

──キャロル時代のライブは観たことあるんですか?

黒川 キャロルはないですね。僕が初めて行ったのは70年代後半のソロ時代かな。もう暴走族の集会みたいで、すごかったんですよ! 俺もハッピを着て行った記憶があるんだけど、周りは特攻服でしたからね(笑)。当時はまずファン同士の酒盛り大会から始まり、ライブ中は大声が飛び交うプロレス的な盛り上がり方でした。

清水 一時期ライブのチケットに「特攻服お断り」って書かれてたもんね(笑)。

永ちゃん、ロールしてんなあ。俺、会社辞めよう

──心に残ったライブや思い出深いエピソードはありますか?

 永ちゃんが泣いたコンサート。

インタビュー写真

清水 1999年、50歳の誕生日に日産スタジアムでやったライブだね。

 DVDでいうと「TONIGHT THE NIGHT ありがとうが爆発する夜」か。アンコールで「I LOVE YOU,OK」を歌ってるときに泣いたんです。涙なんて絶対見せたことない人だったから、非常に印象深くて……。みんな号泣してましたよ。

清水 僕は「ONE MAN in BUDOKAN EIKICHI YAZAWA CONCERT TOUR 2002」が好きです。演奏ががっしりとタイトになってて良かったなあ。オープニングは僕の大好きな「レイニー・ウェイ」だったんですけど、アレンジを変えてあったのが印象に残ってる。永ちゃんのライブは毎年バックミュージシャンが変わるんだけど、自分の知ってる人が出てるか探すのも楽しみ。フランク・ザッパの息子のドゥイージル・ザッパや山本恭司(BOWWOW, VOW WOW, WILD FLAG)とか。

黒川 俺が思い出深いのは80年代末に行ったライブですね。転職しようか悩んでた時期だったんですが、ステージ上の永ちゃんを観て決意しました。「永ちゃん、ロールしてんなあ。俺、会社辞めよう」って(笑)。

清水 そういえば大阪城ホールのライブで、森くんがサスペンダー付き白スーツで登場したことがありましたねよね(笑)。

 あれは、70年代に永ちゃんがよく着ていたスーツのレプリカなんです。

清水 永ちゃんとは全然関係ない、大阪城観光に来てたおばちゃんたちに「永ちゃんだー!」って言われて、森くんもなりきってポーズ決めてたよね(笑)。

3人が選ぶお気に入りの1曲

──では、今回発売されるTSUTAYA限定オーダーメイドDVD「MY LIVE -SPECIAL COLLECTION-」のために用意された50曲の中から、皆さんのお気に入りの1曲を教えてください。

黒川 俺は2001年リリースのDVD「Z」に収録された「恋の列車はリバプール発」だね。

清水 僕は「レイニー・ウェイ」です。2002年発売の「ONE MAN in BUDOKAN」に入ってる映像ですね。

 僕はさっき言った「I LOVE YOU,OK」ですね。やはりこれです。

黒川 永ちゃんはライブをやるのが大好きなんでしょうね。ステージの力強さは初期の頃から現在まで変わらないと思います。ライブの魅力を話し出したら、一晩じゃ足りませんよ(笑)。

──せっかくなので、矢沢さんに対する要望があれば。

インタビュー写真

 本当に個人的な希望ですけど、違うプロデューサーと組んだ作品が聴いてみたいです。

清水 若い人とコラボしてみるとかね。

黒川 俺はライブの勢いをアルバムに入れてもらいたいな。あの荒々しいノリがすごく好きだから。

 あえてルーズなバンドを従えてたりしてね。

──それでは最後に、矢沢さんに向けてメッセージをお願いします。

清水 永ちゃんって夏秋あたりにアルバムを出して、ツアーが始まって、12月に武道館って流れが毎年あるんですけど、そのペースを崩さずに元気でやってほしいです。僕の生きる糧なので。

黒川 永ちゃんが生き生きとライブする姿を観るだけで、すごくうれしくて元気になれます。今までと変わらずに、やりたいことを思いっきりやる永ちゃんでいてください。俺はファンとして、同じ時代を生きることができて本当に幸せです。いっぱい感謝してます。

 毎年永ちゃんが活動を始める時期になると、今年も元気そうで良かったと思います。ライブでニコニコしてると自分もうれしいし、がんばっていこうって気になります。マイペースで、過去を振り返らず、常に前を向きながらやってほしいです。一生付いていくんで。

この作品は、TSUTAYAの特設サイト上に用意された50曲のライブ映像と10パターンのMCの中から合計10シーンを選んで自分だけのベストライブDVDを制作することができるオーダーメイドライブDVD。ジャケットも5種類の中から好きなものを選ぶことができる。さらに5枚同時に購入すると特製ボックスが特典としてプレゼントされる。

EIKICHI YAZAWA 40th
ANNIVERSARY LIVE「BLUE SKY」

2012年9月1日(土)
神奈川県 日産スタジアム
OPEN 14:00 / START 15:30

<出演者>
マキシマム ザ ホルモン / The Birthday / ギターウルフ / 怒髪天 / ザ・クロマニヨンズ / 矢沢永吉

矢沢永吉(やざわえいきち)

1949年広島県出身。中学時代にTHE BEATLESを聴いてロックに目覚め、高校卒業後に単身で上京。1972年に伝説のバンド、キャロルを結成する。1975年にソロに転向し日本人アーティストとして初の日本武道館公演を成功させるなど、ロックシンガーとして不動の地位を確立する。自伝「成りあがり」はバイブル的な人気を誇り、日本を代表するロックアーティストとして崇拝するファンは多数。近年はロックフェスティバルなどにも積極的に出演し、若い世代のファンからも熱い視線を集めている。2008年には初めて長期間にわたりライブ活動を休止し世間を驚かせたが、2009年8月に原点回帰とも言えるアルバム「ROCK'N'ROLL」をリリース。さらに同年9月に東京ドームライブを大成功に収め、健在ぶりを証明した。2012年8月にデビュー40周年記念アルバム「Last Song」を発表。


2012年8月3日更新