ナタリー PowerPush - 矢沢永吉

自由でいいかげんな40周年アルバム「Last Song」に込めた想い

矢沢永吉オーダーメイドDVD「MY LIVE -SPECIAL COLLECTION-」座談会

矢沢永吉のTSUTAYA限定オーダーメイドDVD「MY LIVE -SPECIAL COLLECTION-」がリリースされた。これはTSUTAYAの特設サイトに用意された矢沢の50曲のライブ映像と10パターンのMCの中から合計10シーンを自由に選んで、自分だけのライブDVDを作ることができるユニークな作品。

ナタリーでは本作の発売を記念して、TSUTAYA屈指の“永ちゃんファン”3人による座談会を企画。矢沢を心から愛する筋金入りのファンにさまざまな角度からその魅力を話してもらった。また座談会の最後には、彼らが選ぶお気に入りのライブ映像を紹介。オーダーメイドDVD制作の参考にしてもらいたい。

取材・文 / 福アニー インタビュー撮影 / 井出眞諭

アルバムや年代でさまざまな音楽的変遷がある

──今回はオーダーメイドDVD「MY LIVE -SPECIAL COLLECTION-」のリリースを記念して、TSUTAYA屈指の矢沢ファンである皆さまにお集まりいただきました。まずは自己紹介と、矢沢永吉さんの作品の中で好きな1曲を教えてください。

インタビュー写真

黒川宏明(以下、黒川) 代官山 蔦屋書店の音楽フロアでコンシェルジュをしている黒川です。一番好きな曲は、今でもギター片手に歌っちゃう「I LOVE YOU,OK」(1975年発売のアルバム「I LOVE YOU,OK」に収録)だね。

森一道(以下、森) 森です。関東エリアマネージャー兼TSUTAYAマルイファミリー溝口店で店長しています。俺も一番好きな曲は「I LOVE YOU,OK」を選んじゃうな。

清水英行(以下、清水) 商品・調達部eco booksでeco books MDを担当している清水です。僕はふたりが「I LOVE YOU,OK」を選んだんで、あえて「鎖を引きちぎれ」(1978年発売のアルバム「ゴールドラッシュ」に収録)で。「成りあがり」系の歌ですね。

──皆さんが矢沢永吉さんの音楽と出会ったきっかけを教えてください。

黒川 小学生の頃、キャロルが情報バラエティ番組の「ぎんざNOW!」に出てて。それを観てガツンときたんです。

 僕も最初に観たのは小学生のとき。「ザ・ベストテン」で白いスーツにリーゼントかまして「時間よ止まれ」を歌ってて。ものすごい衝撃でした。それから中学生になってアルバムを買って、1990年くらいからは毎年ライブに行ってます。

清水 僕は元々洋楽ばかり聴いていたので、出会いは小学生のときなんですが、真剣に聴くようになったのはかなりあと。永ちゃんのサウンドに洋楽テイストが取り入れられてからですね。永ちゃんは「ロックのカリスマ」っていうイメージが強いけど、実は年代やアルバムでサウンド自体はかなり変化があるんですよ。

80年代前半のAOR期はもっと評価されるべき

──確かに矢沢さんはロックのイメージが強いですね。

黒川 それは初期の「成りあがり」テイストにやられてファンになった人が多いからだと思う。

清水 ヤンキーの兄弟愛とか男の友情とか、「男だったらやってみろ」みたいなね。

黒川 1980年にワーナーパイオニア(現:ワーナーミュージック・ジャパン)に移籍してから、それが変わったんだよね。アメリカに渡ったことで、まずリーゼントを下ろして、それからスニーカーを履き始めたんですよ! あのときは「永ちゃんどうした!?」って驚きました(笑)。

──サウンド面はどうでしょう?

 めちゃくちゃ変わりましたよ。AORみたいになって。

清水 THE DOOBIE BROTHERSとか外国人ミュージシャンをバックに、洗練されたシティサウンドになったよね。

インタビュー写真

 「YAZAWA」「P.M.9」「E'」「YOKOHAMA二十才まえ」なんかはエレクトロニックな要素も入ってきて。永ちゃんってギターサウンドのイメージが強いから、この辺の作品はファン受けが悪いんだけど、僕は逆にそのチャレンジ精神にぐっときて(笑)。メロディがすごくいい曲が多いし、80年代前半の作品はもっと評価されてもいいと思いますね。

清水 僕は東芝EMI(現:EMIミュージック・ジャパン)に移籍した1990年前後のサウンドが好きだな。「共犯者」とかは音に湿り気があっていい感じ。もちろん、キャリアを通して全部好きなんですけど(笑)。

黒川 俺は70年代がめちゃくちゃ好きです。1曲1曲のメロディが冴えまくってて、ロックにしてもバラードにしても、名曲のオンパレード。今でもライブの定番になってる曲が多いよね。

 うん。あの時期のバックミュージシャンには、坂本龍一や高橋幸宏、元サディスティック・ミカ・バンドのメンバーとか国内のツワモノが揃ってますからね。あとプロデューサーにアンドリュー・ゴールドを迎えたり。永ちゃんはキャラクターのイメージが強いから、音楽的な素晴らしさがあまりにも語られていない。それが歯がゆいですね。

この作品は、TSUTAYAの特設サイト上に用意された50曲のライブ映像と10パターンのMCの中から合計10シーンを選んで自分だけのベストライブDVDを制作することができるオーダーメイドライブDVD。ジャケットも5種類の中から好きなものを選ぶことができる。さらに5枚同時に購入すると特製ボックスが特典としてプレゼントされる。

EIKICHI YAZAWA 40th
ANNIVERSARY LIVE「BLUE SKY」

2012年9月1日(土)
神奈川県 日産スタジアム
OPEN 14:00 / START 15:30

<出演者>
マキシマム ザ ホルモン / The Birthday / ギターウルフ / 怒髪天 / ザ・クロマニヨンズ / 矢沢永吉

矢沢永吉(やざわえいきち)

1949年広島県出身。中学時代にTHE BEATLESを聴いてロックに目覚め、高校卒業後に単身で上京。1972年に伝説のバンド、キャロルを結成する。1975年にソロに転向し日本人アーティストとして初の日本武道館公演を成功させるなど、ロックシンガーとして不動の地位を確立する。自伝「成りあがり」はバイブル的な人気を誇り、日本を代表するロックアーティストとして崇拝するファンは多数。近年はロックフェスティバルなどにも積極的に出演し、若い世代のファンからも熱い視線を集めている。2008年には初めて長期間にわたりライブ活動を休止し世間を驚かせたが、2009年8月に原点回帰とも言えるアルバム「ROCK'N'ROLL」をリリース。さらに同年9月に東京ドームライブを大成功に収め、健在ぶりを証明した。2012年8月にデビュー40周年記念アルバム「Last Song」を発表。


2012年8月3日更新