音楽ナタリー Power Push - 山本陽介×玉置成実

「コンレボ」がつないだ2人の新たな挑戦

曲が書けて、3日間眠れなくなった

──シングルにはZAQさん作詞の「THE LAST SONG」という楽曲が収録されます。アニメのオープニングアーティストであるZAQさんが作詞をして、エンディングアーティストである山本さんが作曲、玉置さんが歌唱を担当するという布陣なんですよね?

玉置 そうなんです。もう完全に「コンレボ」なカップリング曲です。

山本陽介

山本 この組み合わせはすごいよね。最初、ZAQが作詞をするって聞いて驚いたんですよ。

──作曲時には作詞を誰にするか決めてなかったんですか?

山本 そうなんです。「THE LAST SONG」という曲のタイトルは先に決まっていて。アニメのサブタイトルにもなっている言葉だから、アニメに対してすごく理解がある人に詞を書いてもらうのがいいと思いますよって話はスタッフの方としたんです。作詞がZAQだと知って「あ、すごく素敵なコラボだな」と思いました。

玉置 「ALL-WAYS」とは全然アプローチが違うバラードなんですけど、この曲もものすごくカッコいいんですよ。シングル1枚で2度おいしい感じになってます。

山本 僕、オリジナル曲を作り始めてからたぶん20年くらい経つんですけど、「THE LAST SONG」は一番好きな曲ですね。この曲のメロディができあがったとき、なんか変なスイッチが入っちゃって寝れなくなったんですよ。「もっとこういう案もあるぞ」ってアイデアが次々と降ってきて、酒を飲んでも飯を食っても体を動かしても寝れなくて、なんだか覚醒状態に入っちゃったみたいな。

玉置 そんなことってあるんですね。まさに“超人”じゃないですか!

山本 うん。本当に“超人”になったみたいな感じ。体は疲れてるから眠くはなるんですよ。なのに寝ようとするとメロディが頭から離れない。最初はその状態を楽しんで譜面に残したりしてたんですけど、あまりにも頭の中のメロディが鳴り止まなくて、3日間全然眠れなかった。今振り返ると一番気に入った曲ができたっていう達成感からくる興奮だったのかもしれないですけど。カップリングなのにこんなに推しちゃってすみません(笑)。でもそれぐらい気に入ってる曲が「THE LAST SONG」なんです。

コラボ相手が陽介さんでよかった

──アニメ第1期のエンディングテーマ「The Beginning」は、アニメのコンピ盤に収録されているので、実は山本さんのCDが単体でリリースされるのは今回が初めてなんですよね。やっぱり盤になってCDが出ることに対しては思い入れがありますか?

山本 CDのジャケット部分に自分の顔が出るのが初めてなんですよ。もちろん自分の名前がジャケットとか帯に大きく載るのも初めての経験ですし。初めてギタリストとしてクレジットに載ったときの喜びを思い出しましたね。より気が引き締まりました。

玉置成実

玉置 私も「feat. 玉置成実」って入るシングルが出るのは新鮮でした。歌手デビューしてから14年目になるんですけど、ギタリストの方とタッグを組んでCDを作ることとか、まだ新しいチャレンジができたことが素直にうれしいんですよね。私のいろんな部分を引き出してくれる人との出会いもまだまだあるんだなって。それと、コラボ相手が陽介さんでよかったです。嫌な人だったら残念じゃないですか(笑)。

山本 あぶねー(笑)。

玉置 陽介さんの作る音楽にすんなり乗っかれたので、すごく楽しかったです。私にとってもいろんなことに気付くことができた作品なので「ALL-WAYS」は大事な1枚になりました。

ギタリストという立場を武器に

──山本陽介名義でのデビュー曲として「The Beginning」を発表し、2曲目「ALL-WAYS」では山本陽介 feat. 玉置成実名義でのリリースになりました。山本さんの今後のビジョンはあるんですか?

山本 僕の中で明確なビジョンっていうのはあまりないんです。凝り固まるのは好きじゃないし、自由でいたいんですよね。これまではギタリストや作曲家として“支える側”のことをずっとやってきたんですけど、これからはそれらに加えて自分が表に出る機会が増えていくと思うんです。表に出るという選択肢が増えたことで、今までより面白いことがたくさんできるなっていうのが、今の素直な気持ちですね。今回の成実ちゃんとのコラボだって、サポートギタリストという領域を脱していなかったら実現できなかったことですから。

──それこそアルバムを作るとなったらいろんな選択肢を選べるわけですからね。インストで攻めてもいいし、誰かボーカリストを招いてもいいですし。

山本 そうなんです。ある意味ボーカリストよりギタリストのほうが自由なんですよね。ギタリストって思いっきり弾くこともできるし、弾かないこともできるんです。Aメロ、Bメロでまったくギターがいなくてサビだけ出てきてカッコよく主張する方法もある。ギタリストじゃない人が曲を作ると怖がって音を多めに入れてしまうけど、僕だったら思い切ってギターの音を抜いたりすることもできますし。だから僕はギタリストという立場を存分に生かして、カッコいい音楽、面白い活動をやっていきたいですね。

山本陽介 feat. 玉置成実 ニューシングル「ALL-WAYS」2016年5月25日発売 / Lantis
アーティスト盤[CD+DVD] 1944円 / LACM-14486
アニメ盤[CD] 1296円 / LACM-14487
CD収録曲
  1. ALL-WAYS
  2. THE LAST SONG
  3. ALL-WAYS(INSTRUMENTAL)
  4. I'll do my best(INSTRUMENTAL)
アーティスト盤DVD収録内容
  • 「ALL-WAYS」Music Clip
山本陽介(ヤマモトヨウスケ)
山本陽介

ギタリスト。The Beatles、The Rolling Stones、ギルバート・オサリバン、ビリー・ジョエルといったアーティストに影響を受け、自身の音楽観を築く。バンド活動を通してギター、ベース、ドラムなど多様な楽器の経験を積み、現在はギタリストとしてさまざまなアーティストのライブサポートやレコーディングなどに参加している。2015年10月に放送がスタートしたテレビアニメ「コンクリート・レボルティオ~超人幻想~」にエンディングテーマとしてインストゥルメンタルナンバー「The Beginning」を提供。2016年5月には、同アニメのエンディングテーマとして書き下ろした新曲「ALL-WAYS」を山本陽介 feat. 玉置成実名義でシングルリリースする。

玉置成実(タマキナミ)
玉置成実

1988年生まれ、和歌山出身の女性シンガー。2001年から2002年にかけて開催された「Sony Music Audition」に合格し、2003年4月にシングル「Believe」で歌手デビューを果たす。同曲はテレビアニメ「機動戦士ガンダムSEED」のオープニングテーマに起用され、20万枚を超えるヒットを記録。2ndシングル「Realize」も同アニメのオープニングテーマとなり、一躍スターダムを駆け上った。2004年3月には第18回日本ゴールドディスク大賞でニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤーを受賞。2007年に高校を卒業してからは、歌手以外にもミュージカルにも挑戦している。2011年にはアジア4都市を回るツアーを開催したほか、日中国交正常化四十周年記念舞台「ジンギスカン」に出演した。2013年4月デビュー10周年記念シングル「REAL」を発表。2015年5月には山本陽介 feat. 玉置成実名義でニューシングル「ALL-WAYS」をリリースする。