ナタリー PowerPush - wrong city

初のフルアルバムに込めた「生と死と愛」

海外の音楽も聴く入り口に

Atsushi(B)

Onoshit あと、僕は常に音と景色が一緒に見えるようにと考えていて。アルバムに「Sunny」っていう曲があるんですけど。前回のツアー中に僕、1人でマンガ喫茶で映画を観てたんですよ。ドイツの第二次世界大戦時の映画で。それがちょうど原爆ドーム行ったあとだったんです。だからすごくインスピレーションを受けて。なので曲の最初のタッピングから入る感じは銃声で、Aメロのバスドラのトントントントンっていうのは行進だったり、っていうのを意識しました。

Atsushi せっかくの英詞ですし、僕たちもともと洋楽が大好きだったので、洋楽風に作るにはどうしたらいいのかなというのも考えました。今、洋楽離れが進んでる中で、僕たちを聴いて海外の音楽も聴いてみたいって思う人たちが増えるような、入り口にしたくて。

──影響を受けた洋楽というのは?

Atsushi Victorはアメリカ育ちなんでアメリカの音楽ですし、僕は昔からイギリスの音楽が好きで。jorgeはメタルが好きで、Onoshitは唯一J-POP育ちなんですけど。

Onoshit マイナー調の歌謡曲とかが好きです。井上陽水とか。

Atsushi それを自分たちなりに消化して、wrong cityを通して日本のみんなに聴いてもらいたいなと思ってます。なので漠然と「この曲はこのバンドみたいにしたいね」とか、そういう作り方をしていきました。

左からOnoshit(G)、Victor(Vo, G)、Atsushi(B)、jorge(Dr)。

──今作で具体的に1曲挙げるとしたら?

Atsushi うわー、めっちゃ恥ずかしいですね(笑)。3曲目「Sorge」はMuseを意識しました。

Victor 全員共通して好きなのはMuseだもんね。

大切なのはメロディ

Atsushi それと前作からそうなんですけど、歌を重視しています。ライブでもCDでも、聴いたあとに思わず鼻歌で歌ってしまったり、「これ誰やったっけ……。あ、wrong cityか!」って引っかかってほしいんです。だからメロディは最後まで決まらないところでもあります。全員が納得するものができるには一番時間がかかりますね。

Victor 学生時代とか若い頃って、歌聴いただけで鳥肌がバーッて立ったりした。その感覚を味わってもらいたいです、みんなに。それがさっき言った、僕らから洋楽までたどってほしいということにつながってくるのかも。

Atsushi 僕は英語わかんなくてもOasisの歌を熱唱とかしてたんで、その感覚ですね。そういうことを、僕たちの歌を聴いてみんなに体感してほしいっていうところがあって。そのために大切なのはメロディなんじゃないのかなというのはすごく思っています。

──確かにwrong cityの楽曲はメロディが立っていますよね。その中で歌謡曲っぽい哀愁も感じました。

Onoshit(G)

Onoshit いくら洋楽を聴いてたとしても、日本の音楽にも触れてるんで、洋楽と邦楽がうまく交わってそういうメロディが生まれるんだと思います。

Atsushi それこそVictorにしか歌えないのかな。ほかにもハーフのボーカルはいますけど、Victorが作ってくるメロディが妙に日本人的であったりするときもあるんですよ。それに英語詞を乗せたときにすごくいいねってなったり。

1stアルバム「Induction Of Otherside」/ 2014年8月6日発売 / 2160円 / RATRACE RECORDS / RRR-1002
収録曲
  1. Your Warmth
  2. The END
  3. Sorge
  4. Sunny
  5. With Dry Lips
  6. The Night
  7. a Priori
  8. Melt
  9. Murder's not forget love
  10. Love Goes Over
wrong city(ロングシティ)

wrong city

Victor(Vo, G)、Onoshit(G)、Atsushi(B)、jorge(Dr)が2012年に結成したロックバンド。アメリカ人と日本人のハーフであるVictorのメロディセンスと、さまざまなバックグランドを取り入れた精緻な演奏を武器に、ラウドシーンを中心に各地でファンを増やしている。2013年12月の1stミニアルバム「Life as a Ghost」リリースを経て、2014年8月に1stアルバム「Induction Of Otherside」を発表。