カルビばかりにならないように
──「手越祐也 SINGLES BEST」には新曲「Never-ending」「ヒラヒラ」「ばいぶれーしょん」が収録されていますが、制作はソロ活動を始めてからずっと継続しているんですか?
そうですね。アルバムを作るときは「こんなテイストの曲があったらいいよね」とバランスを考えることもあるし、あとはやっぱりライブを見据えて、演出や照明もイメージしながら曲を作ることは多いですね。「Never-ending」はアルバムの顔になる曲だと思ったし、今現在の手越祐也の立ち位置や状況をストレートに歌ってるんですよ。「ヒラヒラ」はラブソングで、ホールやアリーナで歌うイメージがあって。はかなく、切なく歌うことで、楽曲の世界観を引き立たせることを意識しました。「ばいぶれーしょん」はこれまでの自分にはなかった振り幅の曲です。サウンドはジャジーだけど、歌詞は自分より年下の子の、ちょっとかわいい恋愛がテーマになっているんですよ。思いをなかなか伝えられなかったり、わがままを言っちゃったりという様子が描かれています。
──いろいろなテイストの楽曲が増えるにつれて、ボーカル表現も広がっていて。ハイトーンで張った歌声が手越さんの持ち味だと思いますが、柔らかさ、はかなさを感じさせる歌い方も印象的です。
ソロで活動していると、曲の中にある物語をすべて1人で表現できますからね。確かに20代の頃は高い声を張り上げることが多かったけど、ずっとその歌い方だと飽きられちゃうじゃないですか。聴いている人がカルビばっかり食べてる感覚になっちゃう(笑)。ボーカリストは自分だけが気持ちよくなりがちですが、そういう技術面を重視するような自分本位の歌い方を続けていると「お前がうまいのはもうわかったよ」と思われてしまう。ボーカリストというのはただうまく歌うためにいるんじゃないんですよ。尊敬している玉置浩二さんもそうですが、人の心を動かしたり、つらいときに支えてあげたり、誰かに寄り添うために歌があると思っていて。自分も20年以上歌っているし、少しずつ聴く人の力になるような歌が歌えるようになってきたのかなと。“レコーディングのときは張って歌っていたけど、ステージでは抜いて歌う”みたいなこともありますね。
手越祐也の幸せは
──5月から9月にかけてキャリア最大規模となる全国ツアー「手越祐也 LIVE TOUR 2025 NEVER END」が開催されています。ここまでの手応えはどうですか?
ライブに関しては「一度でも観てもらえれば、心をつかめる」という自信があるんですよ。「前回のツアーを絶対に超えなくちゃいけない」という気持ちでライブを作り上げているし、毎公演100%の力でパフォーマンスをしている。そうやって常にアップデートし続けているからこそ、ファンの方がリピートして来てくれるんだと思うし、「手越のライブ、すごいよ」という評判が広がって、新規の人も増えているんだと思ってます。2024年には「絆 -KIZUNA-」ツアーと「OVER YOU」ツアーを経験して、いろんな対バンライブやフェスにも出させてもらって。今年2月にはT.N.Tというバンドの活動もスタートしたし、とにかく音楽漬けの日々なんですよ。RPGゲームと同じように“いろんな武器や防具を集めて次のフィールドに行く”ということを続けているし、すべてにおいてレベルアップした手越祐也を観てもらえるんじゃないかなと。
──ツアー中も進化している実感がある?
あります。ライブも自分でプロデュースしているし、各公演の映像を見返して、演出、照明、バンドメンバーの演奏からダンサーの振付まで、けっこう細かくチェックしてるんですよ。今回のツアーは7カ所14公演がライブハウスの会場で、後半3カ所はホールでハコの大きさも違いますし、内容を変えようと思っています。「NEVER END」というタイトルは同じだし、ライブの基盤やセットリストの核の部分は変えないんですが、細かいところをさらにブラッシュアップします。「DayDay. SUPER LIVE 2025」や「VS.超特急」などのイベントでアリーナのステージにひさしぶりに立ってみて、僕のライブは“全部乗せ”なんで、実現したいエンタテインメントには広い会場が似合うなと思いました。でも、バンドメンバーと一緒にロックするならライブハウスがいい。お客さんにブレスまで伝わる感覚がすごく好きなんですよね。
──手越さんのツアー、2DAYS公演の場合はメニューを変えるそうですね。
はい。立川ステージガーデンは1日2公演で、昼と夜で内容を変えてます。1回のツアーで2回、3回と来てくれる方もいるし、毎回違うほうがいいじゃないですか。もちろんどのライブも全力でやってるし、クオリティに変わりはありません。あと、“楽曲の経験値”もあると思うんですよ。いろんな状況、いろんな演出で歌うことによって曲が育っていくというか。セットリストを固定しちゃうとほかの曲は今回のツアーで歌わないので、経験値が増えない。それもあってなるべく曲数を増やして、たくさんの曲を歌いたいんですよね。
──その分、リハーサルが大変そうですね……。
バンドメンバーもダンサーも引っ張りだこのすごい人たちなんですが、最初の頃は大変そうでした。照明チームや音響チームもそうですけど、やらなくちゃいけないことが倍なので。人間不思議と慣れるもので(笑)、今は平気でやってます。オーケストラとのライブ(5月開催「手越祐也 シンフォニックコンサート2025」)でも1部と2部で曲を変えたんですけど、当然リハーサルも2倍になるし、けっこう大変でした。でも、誰もやっていないようなことに挑戦するのが僕の生き方なんですよね。ファンの人たちが楽しんでくれたら、それが僕の幸せになるので。
──9月15日に行われる立川ステージガーデンでのツアーファイナルの模様はWOWOWで生中継されます。
生中継、好きなんですよ。音楽番組の生放送もそうですけど、ミスしたらそのまま放送されるじゃないですか。そういうピリピリ感がいいほうに影響するタイプだし、ツアーファイナルを生中継してもらえるのはすごく光栄です。WOWOWの生中継ライブは何度も観させてもらってますが、映像や音のクオリティがすごく高いんですよ。あと、こういう企画ってお互いの信頼感がないと成立しないと思っていて。いくら自分がやりたいと思っていても、先方が「今の手越のライブのクオリティでは厳しいな」と思えば放送できないわけで(笑)。オファーしてもらえたということは「一定程度、僕のライブを評価してくれてるんだな」という喜びがありますね。
──生中継を楽しみにしている皆さんにメッセージをいただけますか?
WOWOWの生中継をステージで発表したとき、ファンのみんなが大喜びしてくれたんですよ。僕の音楽が好きな人たちは楽しみにしてくれていると思うし、「手越祐也の名前は知ってるけど、歌ってるところは観たことない」という人に届けられるのもすごくうれしいですね。僕にとっては1本1本のライブが勝負だし、それがどんな公演であっても変わらない。もちろん歌とパフォーマンスには自信があるし、MCののほほんとした部分も含めて「これが今の手越祐也です」というステージを観ていただけたらなと思っています。
フォトギャラリー
公演情報
手越祐也 LIVE TOUR 2025 NEVER END
- 2025年5月20日(火)神奈川県 KT Zepp Yokohama
- 2025年5月21日(水)神奈川県 KT Zepp Yokohama
- 2025年6月4日(水)大阪府 Zepp Namba
- 2025年6月5日(木)大阪府 Zepp Namba
- 2025年6月21日(土)宮城県 SENDAI GIGS
- 2025年6月22日(日)宮城県 SENDAI GIGS
- 2025年6月26日(木)愛知県 COMTEC PORTBASE
- 2025年6月27日(金)愛知県 COMTEC PORTBASE
- 2025年7月9日(水)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
- 2025年7月10日(木)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
- 2025年7月22日(火)福岡県 Zepp Fukuoka
- 2025年7月23日(水)福岡県 Zepp Fukuoka
- 2025年8月5日(火)北海道 Zepp Sapporo
- 2025年8月6日(水)北海道 Zepp Sapporo
- 2025年8月29日(金)大阪府 NHK大阪ホール
- 2025年9月4日(木)愛知県 岡谷鋼機名古屋公会堂
OPEN 17:30 / START 18:30 - 2025年9月15日(月・祝)東京都 立川ステージガーデン
[1回目]OPEN 13:30 / START 14:30
[2回目]OPEN 18:00 / START 19:00
プロフィール
手越祐也(テゴシユウヤ)
1987年11月11日生まれ、神奈川県出身。15歳から芸能活動を開始し、2003年9月のデビューから2020年6月に独立するまでの約17年間、男性アイドルグループのメンバーとして活動。グループの在籍期間中は歌手活動だけでなく、「FIFAクラブワールドカップ」「FIFAワールドカップ」でメインキャスターを務め、バラエティ番組やドラマ、映画でも活躍。フリー転身後は、各種SNSの公式アカウントを開設。2021年7月からは6カ月連続で新曲を配信するなどアーティストとして精力的に活動し、2025年5月にはベストアルバム「手越祐也 SINGLES BEST」をリリース。同年9月まで全国ツアー「手越祐也 LIVE TOUR 2025 NEVER END」を開催中。10月からは日本テレビ系で放送される新日曜ドラマ「ぼくたちん家」に出演する。
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