手越祐也が行っている全国ツアー「手越祐也 LIVE TOUR 2025 NEVER END」のうち最終日9月15日の東京・立川ステージガーデン公演の模様がWOWOWにて独占生中継で放送・配信される。
「手越祐也 LIVE TOUR 2025 NEVER END」は、手越がベストアルバム「手越祐也 SINGLES BEST」を携え5月から実施している自身最大規模のツアー。ファイナルの立川ステージガーデン公演は内容を変更して1日2回行われ、WOWOWでは2回目公演の様子がリアルタイムで届けられる。
音楽漬けの日々を送り、アーティストとして成長を実感しているという手越。レベルアップし続ける彼がステージに懸ける熱い思いをインタビューで紐解く。
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取材・文 / 森朋之撮影 / 星野耕作
芸能の神様から「よくがんばったな」と言われてる気がする
──2021年7月リリースの楽曲「シナモン」で本格的にソロアーティストとしての活動がスタートしました(参照:手越祐也インタビュー|ソロ本格始動!今改めて語る、独立の経緯とアーティスト活動への切なる思い)。この4年間は手越さんにとって、どんな時期でしたか?
「シナモン」をリリースしたときは一緒に動いてくれるチームの人数も全然少なかったし、まさかこんなに充実した音楽活動ができる未来が待っているとは思ってなかったですね。最初の頃は必死にもがいて、模索して……独立や転職するときって、普通はしっかり準備するものじゃないですか。次の転職先を決めずに辞めちゃう人はあまりいないと思うんですけど、僕はそんな感じだったんですよ(笑)。ブレーンみたいな人がいたわけじゃないし、大したコネクションもなかったから、まずはしっかり地に足を付けて活動フィールドを固めていくしかなくて。1曲1曲、1つひとつのライブを大切にしながら活動を続けていく中で、いろんなオファーをもらえるようになりました。去年から今年にかけては本当に充実した活動ができていて、芸能の神様に「よくがんばったな」と言われてる気がするというか(笑)、今はすごく幸せですね。
──ビジョンがない状態でスタートして、不安はなかったですか?
不安はゼロじゃなかったけど、「ステージで歌っている姿さえ見てもらえれば、絶対に大丈夫」という自信があったんですよ。もちろん「それをどうやって広めるか?」という壁はあったし、届けるためのチーム作りも必要で。僕の場合、“知名度はあるけど、どんな曲を歌っているのか知られていない”という珍しいパターンだったので、そのギャップを少しずつ埋めていったという感じですね。
──なるほど。今年5月には初のベストアルバム「手越祐也 SINGLES BEST」がリリースされました。
ソロデビューから4年経たずにシングルベストが出せるって、かなり早いペースだと思ってます。オリジナル曲は自分にとって料理のレシピみたいなもので。1つひとつ丁寧に増やしていくことで、いろんなメニューが作れるようになる。つまり、ステージでいろんな見せ方ができるようになるんですよね。それが足りないとカバー曲をやったり、同じ曲を2回歌わなくちゃいけなくなるけど、自分としてはそれはあり得なくて。独立したのが20代前半だったら時間をかけて少しずつやっていくのもいいけど、4年前の時点で33歳だったし、その後の音楽人生を考えると「オリジナル曲だけでツアーをやるまでに数年」みたいなペースでは全然追いつかない。なのでいきなり6カ月連続でシングルをリリースしたんですよ。まだチームの人数が足りてなかったし、レコーディングとMV撮影を続けるのはすごく大変でしたが、みんな嫌な顔をしないでついてきてくれた。いろんな山を乗り越えて、1曲1曲、愛を持って育ててきたからこそ、4年足らずでシングルベストを出せたんじゃないかなって。
──これまでの積み重ねが実を結んだんですね。
タイミングもよかったんですよ。例えば「世界の果てまでイッテQ!」に4年ぶりに出演したり(参照:手越祐也が4年ぶり「イッテQ!」登場、イタリアのウナギ祭りで立ち漕ぎボートレース)、地上波の音楽番組から「ソロ曲を歌ってほしい」とオファーをいただけるようになったり。今までリーチできなかった人にも僕の曲を届けられるタイミングでもあったし、シングルベストが名刺代わりになったんじゃないかなと。
好きになったらめちゃくちゃ研究する
──これまで制作してきた楽曲の中で、ターニングポイントになった曲を挙げるとすると?
どの曲にも思い入れがありますけど、「OVER YOU(feat. マイキ)」は大きかったと思います。僕がソロ活動をスタートさせたのはコロナ禍の真っ最中で、人前でなかなか歌えなかったし、ライブができたとしてもお客さんの声出しが禁止だったりしたんですよ。そういう状況で第2の音楽人生が始まって、徐々にいろんな制約が解除されて。特に「OVER YOU」はさまざまな場所で歌わせていただいたんです。2022年7月に札幌ドームでこの曲を披露させてもらい、“きつねダンス”を踊りました。2023年にはサッカーJ2のモンテディオ山形のホームゲームでも歌わせてもらったし、今年3月にはバスケットのアルバルク東京の試合のハーフタイムショーでパフォーマンスさせてもらったんですよ。
──野球、サッカー、バスケット。スポーツとの親和性も高い曲なんですね。
そうなんですよ。「OVER YOU」以外にも僕の曲には応援歌が多いし、自然とスポーツにリンクしてくるのかなと。僕自身、小さい頃からずっとスポーツをやって育ってきましたからね。スポーツ以外だと「荒野行動」というバトルロワイヤルゲームのイベントで歌わせてもらったり。そういう場面がすべて記憶の中に残っているし、やっぱり「OVER YOU」はいろいろな道を切り開いた曲であり、雲間の中に光が差してくるような曲だなと思います。
──さまざまな場所とつないで、多くのリスナーに届いた曲なんですね。手越さんはゲーム専門のYouTubeチャンネル「手越 GAME HOUSE」を立ち上げるなど、幅広いジャンルにリーチしています。それが活動全体の振り幅にもつながっているのでは?
そうだと思います。僕は昔から好きなものは好きってストレートに言うタイプだし、1つひとつディープに掘っている自負もある。シューティングゲームの「VALORANT」のスペシャルサポーターに就任させてもらったり、「イカゲーム」シーズン3の大使になって、日本語吹き替え声優をやらせてもらったりしたんですけど(参照:手越祐也「イカゲーム」大使に就任、プレイヤー役の日本語吹替声優も担当)、それももともと僕がそのゲームや作品のことが大好きだったのがきっかけなんです。サッカーもそうですけど、好きになったらめちゃくちゃ研究するし、それぞれのコンテンツの関係者にも「この人、本当に好きなんだな」って伝わるんじゃないかな。
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カルビばかりにならないように