ナタリー PowerPush - WORLD ORDER
初ライブBlu-ray / DVDを手にネクストステージへ
緊急討論「WORLD ORDERとは何者なのか」
──確かにダンスグループなのに武道館が似合うのはWORLD ORDERならではだと思います。いわゆるJ-POPアーティストやタレントとは立ち位置がちょっと違う。それもDVDを観ていて緊張した理由なんですよ。「あっ、この人たち、何かが違う」って(笑)。
須藤 確かに差別化っていうのは表現者として大切な資質の1つだとは思ってます。以前にもお話した通り(参照:WORLD ORDER「FIND THE LIGHT / PERMANENT REVOLUTION」インタビュー)、エンタテインメントに限らず、どのジャンルにおいても誰もがやって当たり前のものは新陳代謝が激しい。若手がどんどん出てくるし、お客さんにしても「せっかく観るなら新しいほうがいいよね」ってなってしまう。そう思われないためにもWORLD ORDERは代えのきかないグループにしたかった。それに衣食足りて礼節を知るじゃないですけど、物質的、精神的に裕福じゃないとクリエイティブなものはなかなか生まれないんじゃないかとすごく感じてもいるので。代えのきかないワン&オンリーな存在になって、メンバー全員がこれ一本で食べていけるようにならなきゃ、よりよいものはできないだろう、と。だからJ-POPシーンとかダンスシーンとは似て非なる場所、WORLD ORDERにしかないスタンスやスタイルを目指したんです。
──J-POPアーティストでもなければ、ダンサーでもないとなると、WORLD ORDERって何者なんでしょう?
須藤 そのカテゴライズされにくいところがWORLD ORDERらしさなのかな、とは思ってますけど。(落合のほうを見て)何者なんだろう?
落合 何者なんでしょうね(笑)。元気さんの言う通り、代えのきかない存在になれたとは思いますけど、これで完成じゃないですし。まだまだ可能性を残しているっていうか、自分自身「今後どんな表現ができるんだろう?」って楽しみに思っている部分もありますし、ファンの方にもそこを楽しんでもらいたいですし。あとその新しい表現をすることで、まだ僕たちのことを観たことない方に観ていただけるようになるかもしれない、とも思ってますし。
森澤 個人的には、その「アイツ、何者なんだ?」って見られ方自体好きですし(笑)。たぶん今のようにゆっくり機械的に動くっていう以外にもWORLD ORDERらしい表現方法はあるはずだし、これからも何者なのかはあまり決めたくない。面白いと思ってもらえるものをいろいろと追求していくことになるんだと思います。
上西隆史 これまでも何かを目指したり、何者かになろうとしたりはしてないですよね。自分たちが面白いと思った活動を続けてきた結果、たどってきた道の行き着いた先として今のWORLD ORDERがあっただけというか。
内山隼人 マジメなパフォーマンスにしてもギャグ路線のパフォーマンスにしても、単純に「笑顔になってもらえたらいいな」って思ってやっていただけな気はしますね(笑)。
高橋昭博 自分もウッチー(内山)と同じように「笑顔になっていただけたらな」と思ってWORLD ORDERとして活動しているだけですね。ただ、最近はその活動を世界に届けられたらな、とは思っていて……。
富田竜太 そうですね。「何者なんだ?」っていう、その新しさを日本だけじゃなくて海外の人にも観てもらいたい。輸出はしていきたいですね。
衰退期に衰退しないための戦略
──先ほど須藤さんは「武道館公演はWORLD ORDERの第1章の集大成」っておっしゃっていて、今高橋さんや富田さんは海外進出を口にしていた。次章で目指すのは海外?
須藤 そうなるんだと思います。実際「YouTubeを観て気になったから」っていう海外からの引き合いは多いですから。それに実は海外進出のための世界観や思想性の構築っていうのはWORLD ORDERを立ち上げた時点である程度できあがっていたんですよ。スーツを着てロボットっぽい動きをする、それも僕みたいなサブカルチャー側の人間がエリートサラリーマンの象徴であるスーツを着てパフォーマンスをするだけで社会に対する痛烈な皮肉になっているわけですし。しかもスーツは世界共通。海外の人が観ても、スーツを着た僕らがロボットのように動いている、その意味はわかってもらえるはずですよね。
──前回のインタビューで人や集団には導入期、成長期、成熟期、衰退期があって、今(2012年11月)のWORLD ORDERは成長期を終えて、成熟期に向かいつつある、とおっしゃっていましたよね。
須藤 はい。
──海外進出はその成熟期を生きるための戦略でもある?
須藤 ええ、衰退しないための戦略ですね。一般的に成熟期に入ってしまうと次は衰退するしかなくなる。登山をしたあとは必ず下山することになるんだけど、その頂上に新しく昇りの階段を作ることで衰退させない。成熟期の先に新しい導入期を作るための試みの1つが「世界的なアーティストになろう」っていうものなんですよ。「日本の音楽市場はガラパゴス化している」なんて言われがちですけど、逆にガラパゴス化しているからこそ世界で勝負できるんだと思ってますから。
──ガラパゴス化していることがグローバル化のチャンスなんですか?
須藤 確かにK-POPや韓流のドラマや映画に代表されるように、韓国のエンタテインメント業界のほうがグローバル化の波に乗るのは早かった。ただ、それはなぜかというと、人口が少ないから。たとえ韓国でビッグヒットを飛ばしても、数字的には日本のビッグヒットの半分くらいにしかならない以上、アジアや欧米という、より広いマーケットを求める必要があった。でも日本の場合、1億2000万人以上人口がいて、その人たちがほかの国の人よりも熱心に音楽ソフトを買っていたから、これまではドメスティックな市場でもビジネスが成立していた。だからこそ日本特有としか言いようのないガラパゴス化した音楽シーンやジャンル、テイストができあがったわけですけど、ガラパゴス化した存在って、つまりワン&オンリーな存在、代えのきかない存在でもあるわけじゃないですか。
──それこそ国内の音楽シーン、ダンスシーンにおけるWORLD ORDER的な。
須藤 そうですそうです。代えのきかない存在である以上、僕らが国内でそうしてきたのと同じように、きちんとした思想性のもと上手に戦略を立てれば海外のマーケットでも戦えると思うんですよ。それと同時に成熟期に入った僕たちは、ありがたいことに国内でもいろんなお仕事に誘っていただけている状態でもあって。第2章のWORLD ORDERは海外戦略と国内戦略という2つのラインを走らせていくことになるんでしょうね。
- ライブBlu-ray / DVD「須藤元気 Presents WORLD ORDER in 武道館」/ 2013年8月7日発売 / ポニーキャニオン
- 初回限定盤 Blu-ray[Blu-ray BOX] 6800円 / PCXP-50156
- 通常盤 Blu-ray[Blu-ray Disc] 5800円 / PCXP-50157
- 通常盤[DVD] 4800円 / PCBP-52249
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収録曲
- THE HISTORY OF VOICE
- WORLD ORDER
- PERMANENT REVOLUTION
- CHANGE YOUR LIFE
- A BRAVE NEW WORLD
- FIND THE LIGHT / BLUE BOUNDARY
- MIND SHIFT
- BE MAN MACHINE
- MACHINE CIVILIZATION
- AQUARIUS
- 2012
- Making of "WORLD ORDER in BUDOKAN"
- 「WORLD ORDER~CIRCLE」 SPECIAL Ver.
初回限定盤 Blu-ray収録内容
- 「AQUARIUS~2012」 SPECIAL Ver.
初回限定盤 Blu-ray封入特典
- 豪華BOX仕様
- 52P PHOTO BOOKLET
- FLIP BOOK
WORLD ORDER(わーるどおーだー)
元格闘家で、タレントや作家などとしても活躍する須藤元気が、男性ダンサー6名(落合将人、高橋昭博、内山隼人、森澤祐介、上西隆史、富田竜太)とともに活動する7人組ダンスパフォーマンスユニット。スーツにメガネ、きっちり整えた髪型という統一感のあるファッションと、須藤が歌うポップなダンスミュージック、ダンサーたちの高い身体能力を活かしたロボットダンスが、アジアをはじめアメリカ、カナダ、ヨーロッパ圏で熱烈に支持されている。また、独創性の強い映像作品も各国で高評価を獲得。2012年6月にはDVD / Blu-rayとCDからなる2枚組作品「2012」、同年11月には初のシングル「FIND THE LIGHT / PERMANENT REVOLUTION」をリリースし、2013年6月には「IMPERIALISM」を世界同時配信。同年4月には東京・日本武道館でライブを行い、8月、その模様を完全収録したBlu-ray / DVD「須藤元気 Presents WORLD ORDER in 武道館」を発表した。