WHITE SCORPIONインタビュー|スタートダッシュを切った注目グループ、最新曲で見せるさらなる進化 (2/2)

課題が見つかった初のリリイベ

──3カ月連続で配信シングルをリリースすることも含め、WHITE SCORPIONは怒涛のスタートダッシュを切った印象があります。ここまでの活動を振り返ってみて、いかがですか?

ACE 自分の中でインパクトが大きかったのは、昨年12月2、3日に行われた「眼差しSniper」リリース直前イベントでした(参照:WHITE SCORPIONがデビュー曲を初のフルサイズ披露、振付師のTAKAHIRO「素晴らしかったです!」)。あの場所で、いろんなことに気付いたんですよ。レッスンスタジオと同じように鏡を見ながら踊ってしまうと、実際に観てくださる方には伝わらないんだと痛感しました。表情だったり、表現だったり……要するに練習の段階から「見られている」ということを強く意識しないと、お客さんには届かないと思うんですよね。それと同時に、ステージに立ったら現実ではなくて非現実の空間を作らなくてはいけない。

ACO ああ……それ、すごくわかる。

ACE だから、課題が見つかったイベントでしたよね。もちろん自分たちとしては全力を出し切ったんですけど、あくまでもスタート地点じゃないですか。ここからどんどん成長していかないと、応援してくださる方も「すごいね」とは感じてくれないでしょうし。それで気合いが入ったという面もありました。

左からNATSU、ACE、ACO。

左からNATSU、ACE、ACO。

ACO 課題が見つかったというのはその通りなんですけど、今まで自分たちがどれだけ無知だったかということも思い知りました。それまでみんなで「がんばって売れたいね」とか無邪気に語っていたけど、具体的に売れるというのがどういうことなのか全然イメージできていなかった。だって実際に会場の池袋のサンシャインシティ噴水広場のステージに立ったら、全然見向きもしてくれない方も大勢いましたから。ましてや私たちは「世界に通用するグループを目指す」と最初から目標を掲げているわけで、世界規模で考えたら気が遠くなるレベルで知名度を上げないとダメなんだなって……。

──池袋サンシャインシティの中にあるステージですし、アイドルに関心がない買い物客が多いのは当然では?

NATSU そうですね。もちろん一般の方だけではなく、ファンの方も大勢来てくださいました。応援してくれる方の前で実際にパフォーマンスするのは初めてだったので、そこはすごくうれしかったです。1日に3回ライブをしたんですけど、パフォーマンスを重ねていくごとに、曲のリズムに合わせて体を揺らしてくださる方が増えてきたんですよ。それで少し目の奥が熱くなりました。

──ウルッと来たということですか?

NATSU はい。ここが始まりで、これから数え切れないくらい「眼差しSniper」を歌っていくんだという感慨もあって。楽屋に戻ってからは、涙が止まらなくなりました。

ほかのアイドルに格の違いを見せつけられた

──昨年の12月29日には、アイドルフェス「IDOL WAVE in TOKYO」にも出演しました。

ACO 出演しているほかの方たちに、格の違いを見せつけられた気がしました。特に印象に残っているのは盛り上げ方で、私たちは曲に恵まれているかもしれないけど、観ている方を楽しませる力が弱いと思ったんですよ。

NATSU こればかりは、リハーサルではどうにもできなくて。

ACE 私、「IDOL WAVE in TOKYO」の日はステージが終わって楽屋に戻った瞬間に大号泣しました。本当に悔しくて……。いろんなアイドルさんが出演するフェスだから当たり前なんですけど、雰囲気的には完全にアウェーだったんです。そのことは最初からわかっていたつもりなのに、場の雰囲気に飲まれて、ほかのアイドルさんたちに圧倒されちゃって……。

ACO うん、悔しかったよね。

ACE せっかく代々木第二体育館という大きなステージに立たせていただいているのに、何をやっているんだろうって。ほかのアイドルさんたちはパフォーマンスはもちろん、ステージに向かう心構えとか自信の部分がすごかったんですよ。本当にこのイベントは勉強になったし、悔しかったけど確実にプラスになったと思います。

ACE

ACE

──とはいうものの、「眼差しSniper」のミュージックビデオが400万回再生を突破するなど、順調な滑り出しに思えます。

ACE いやあ、決して私たちの力だけではなく、手厚いサポートがあってこその話なので。撮影を担当してくれた池田一真監督、振付してくださったTAKAHIRO先生、作曲の中村泰輔さんやTomoLowさん、そして秋元康さん……。オーディションが始まった段階から各ジャンルの精鋭スタッフが集合していましたし、プロモーションにもすごく力を入れてくださったので、その期待に応えなくちゃいけないと必死でした。

──ものすごく謙虚ですね。

ACE 400万回再生というのはとてもありがたいですけど、世界進出を目標にしている以上、それくらいが最低ラインという気もするんです。ここで浮かれている場合じゃないし、気を引き締めていかないといけないなと考えています。

メンバーに芽生えたプロとしての自覚

──デビューして、生活に変化はありましたか?

ACO うーん、私は全然変わっていないですね。毎日をがんばるのみ。

ACE プロとしての自覚は出てきたかもしれません。正直、最初は自分が“プロ”になるということにピンとこなかったんですけど、ひとつのステージを作るためにいろんなスタッフさんが動いてくださっているところを目の当たりにして、これは生半可な覚悟ではダメだなと感じるようになりました。現実的な話をすると、スタッフの皆さんの生活もかかっているプロジェクトなので。

──まだ新人なのに、そこまで想像力を働かせられるのはすごいですね。

NATSU 「眼差しSniper」のMVが400万回再生を突破したことは素直にうれしいですが、同時にプレッシャーも感じていて。2ndシングルの「コヨーテが鳴いている」は“Featurection Music Video”(※メンバー1人にスポットを当てたMV。同曲ではHANNAがフィーチャーされた)だから通常のMVと違ったんですけど、「非常手段」がどれくらい再生されるか、そこは問われるところだと思うんです。

──YouTubeのコメント欄を見ても、WHITE SCORPIONはパフォーマンスに対する評価が高いです。自分たちでは、そのことについてどのように考えているんですか?

ACO 「眼差しSniper」の振付を教わったとき、なんで最初からこんな難しいダンスをやるのか意味がわからなかったんです。だけど、どこかのインタビューでTAKAHIRO先生が話していたんです。「世界を目指すなら、やっぱりこれくらいは踊れないとダメ」って。その記事を読んで、ハッとしました。「難しいから無理」なんて、そんなことを言ってる場合じゃないなって。とにかくもう、がむしゃらに練習するしかないんだなと。

NATSU 「眼差しSniper」のダンスは難しくて、本当に苦労しました。でも何度も何度も踊っているうちに、どんどん体に染み込んでいくような手応えがありました。「眼差しSniper」が自分と一体化していく感覚といいますか。HANNAを中心に瞳を表すポーズになるところもありますし、“考察できるダンス”になっているはずです。

ACO 「眼差しSniper」「コヨーテが鳴いている」「非常手段」と、曲のタイプがそれぞれ全然違っているところもWHITE SCORPIONの特徴だと思います。当然、ダンスのテイストは曲調に合わせて違いますし。もっともっと表現の幅を広げて、いろんな面をお見せしていきたいです。

ACO

ACO

ACE 私の場合、「曲を憑依させる」という点を大事にしていて。自分がどう見せたいかは二の次で、それよりも曲の主人公の気持ちや曲の世界観を届けることが大事だという考えです。いくらダンスが上手でも、その曲に合ったパフォーマンスじゃないと独りよがりになってしまうので。

──すごく高度なレベルでダンスを捉えていますね。

ACE 正直に言うと、私はオーディションを受けた段階ではダンスに自信があったんですよ。でも「眼差しSniper」という曲に出会ったとき、切羽詰まってしまったんですね。そこから2曲目、3曲目と速いスピードでリリースが続き、準備期間も短くなったことで焦る気持ちも強くなりました。でも、デビューしてからはそれが当たり前で。チームプレイが大事なので、みんなで協力しながらパフォーマンスのクオリティを上げていきたいです。

──12月のイベントでは、ボーカル面でもがんばっている姿が印象的でした。

NATSU あの日はヘッドセットマイクを付けるのが初めてだったので、息を吸う音とかが入らないように気を使いました。曲が終わったあとはすぐマイクをずらして、なおかつ自分がしゃべるときは戻して……。そういった細かいことも経験を積まなきゃ覚えられないから、すごく勉強になります。

NATSU

NATSU

ACO 私はバレエの癖が抜けなくて、そこで苦労しました。バレエって声を出すのが完全に御法度なんですよ。激しい動きの中で「ウッ」とか「ハッ」とか口にするのもNGという世界で。それが長年にわたって身についちゃっているものだから、踊りながら歌うということにどうしても抵抗感があったんです。

NATSU そうなんだ。

ACO 歌に関しては未経験だったので、今はNATSUが歌う様子を見ながら技術を盗んでいるところです。レコーディングでも抑揚のつけ方とかが抜群にうまいんですよ。NATSU先生の動画をいろいろチェックして、勉強させていただいております(笑)。

NATSU ホントに!? まったく知らなかった……。

ACE WHITE SCORPIONのメンバーは得意なことがそれぞれ違うので、みんなで切磋琢磨していけたらいいですね。私が歌に関して感じるのは、NATSUやNICOみたいな経験者は声の出し方が違うなということ。単純に声量があるし、お腹から声が出ているから響くんですよ。私がすぐそのレベルに追いつくのは難しいかもしれませんが、めちゃくちゃ刺激を受けているのは確かなので、NATSUから盗みまくりたいと思います(笑)。

NATSU 盗まれてもいいように、私もさらに引き出しを増やしていきます(笑)。

──実際に活動をスタートさせて、新たに出てきた目標はありますか?

ACO メンバーでよく話が出るのは、ワンマンライブをしたいということ。それから夏フェスへの出演ですね。

NATSU とにかくライブをどんどんやって、たくさんの方にWHITE SCORPIONを知っていただきたいです。地力と知名度を付けながら最終的には世界進出を狙っていきます!

左からNATSU、ACE、ACO。

左からNATSU、ACE、ACO。

プロフィール

WHITE SCORPION(ホワイトスコーピオン)

秋元康が総合プロデュースを務めるアイドルプロジェクト「IDOL3.0 PROJECT」から誕生したグループ。2023年4月より約半年間にわたってオーディションが行われ、投票企画の結果、11人がデビューメンバーに選ばれた。プロジェクトを手がけるのは、エンタテインメントコンテンツの企画、制作および開発を担う株式会社オーバース。メンバーはコンサートや握手会などのリアルな場と、メタバース空間やそのほかオンライン上などのバーチャルな場の両軸で活動を展開する予定。オーバースが発行する暗号資産「Nippon Idol Token(NIDT)」による資金調達でプロジェクトが進行し、NIDTの保有者にはさまざまな特典が付与される。2023年12月にキングレコードよりデビュー曲「眼差しSniper」を配信リリース。2024年1月に「コヨーテが鳴いている」、2月に「非常手段」と毎月新曲を発表している。