ナタリー PowerPush - THE WAYBARK

「破壊なくして創造なし」 成田大致が語るバンドの現在と未来

THE WAYBARKらしさを出すことを意識した

──曲のほうも勢いで?

スタジオに入って1日で全部、録り終えましたね。

──早いですね!

この作品のエンディングテーマが聴かせる歌モノってのも微妙だろうと思ったんで(笑)。それにザ50回転ズのダニーさんも出てるから、やっぱり3分間のアップテンポなロックンロールがいいだろうと。イメージ的には映画「キック・アス」でヒットガールが戦うときに流れてくるジョーン・ジェットの「Bad Reputation」みたいな感じかな。昨年の8月頃のことなんで、少し前の話になっちゃいますけど、その時点におけるTHE WAYBARKの最高傑作だと思います!

──おおっ! かなりの自信作なんですね!

1枚目の「マイ・ジェネレイション」は、それまで自分が影響を受けた日本のロックの先輩へのリスペクトを出すことにこだわって、2枚目の「THE WAYBARK」では、自分たちの洋楽のルーツにこだわったんです。でもそういうテーマに乗っかってる分、THE WAYBARKらしさって、ちょっと薄かったかなとも思うんですよ。それに対して「ゾンビパパ」はそれまでと違って、誰でもない自分たちであろうって、そこを思いながらやったんで。

──楽曲のテンポもサウンドも激しいし、振り切った感じは確かにありますよね。

撮影風景

THE WAYBARKって、突き抜けたバカな感じがほかのバンドと違うところだと思うんですよ。気の知れた友達とカラオケボックスにいった時の最後の10分間というか、コンサート終盤のたたみかけというか(笑)。そういうわけのわかんない爆発力が、「ゾンビパパ」には出てると思います。俺、最近改めて考えたら結局プロレスが一番好きなんですよ。プロレスって最後、レスラーが持っている必殺技を出して会場がどっと沸いて試合が終わる。そういう流れが好きなんですよね。もちろんそれには事前のストーリーも絡んで。ロックンロールも似たようなものがあると思うんですよ。だから常に、そうですね、「最初からクライマックスだぜ!」って感じのバンドになりたいと今は強く思ってますね。そして現状、今までのTHE WAYBARKで完璧にそれが出ているのは、この「ゾンビパパ」だけなんじゃないですかね。

──今回は、白井幹夫(ex. ↑THE HIGH-LOWS↓)さんのキーボードも前作以上に激しく鳴ってますね。

そうですね。白井さんがいるからってわけじゃないけど、俺、↑THE HIGH-LOWS↓が本当に大好きで、いろんなところで、THE WAYBARKはそのフォロワーだって言い続けてきたんです。今回は、その思いが音の部分で見えてきた気がしますね。↑THE HIGH-LOWS↓の「バームクーヘン」みたいな疾走感も凶暴さも、ここにはある気がするし。この曲が序章で、次のアルバムでやっと俺たちは、THE WAYBARKになれるんじゃないかなって思いますね。もう毎回こんなことばっかり言ってますね(笑)。とにかくずっと走り続けたいんです。今まで早歩き程度で納得してたのを、常に100メートル走のスピードで走り続けたいんです。今までその感覚が足りなかったんですよ。走ってたつもりだっただけだってことを最近気付いたんですよ。

にわのまこと先生の描いたジャケットは完璧

──ところで、PVはどんな感じなんですか?

特撮のロケ地として有名な横須賀の鷹取山公園ってとこで撮りました。ゾンビモノなんですけど、格闘ゲームの要素を入れた特撮風の映像にしたくて。元ネタ満載です。ゾンビがやってきて、必殺技を繰り出して戦うっていう。俺が「餓狼伝説」の主人公のテリー・ボガードの帽子をかぶって、パワーウェイブって技を繰り出したりもしてます(笑)。

──ジャケットもまたカッコいいですね。

撮影風景

ジャンプ黄金時代に数々の名作を残している、格闘マンガで有名なにわのまこと先生にお願いしました。「俺を主人公にゾンビと戦う特撮モノのイメージで」ってオーダーしたんですけど、本当に完璧ですよ! 配信オンリーでCDにならないのが残念なくらいです。俺がもし死んだら棺桶に入れたいから、やっぱりCDにしたかったんですけどね(笑)。

──(笑)。どちらもディテールが細かく、大致カラーが出てるというか。でもつくづく「戦う」のが好きなんですね。

やはり「闘魂」が信念ですから。そこは俺としてはブレないですよね(笑)。さっきも言ったようにプロレス脳なんで。どうしても脳みそが勝手に変換してしまう。それで今までいろんな人に迷惑かけてきたので俺たちが大きくなったらもっといろんなことを仕掛けて喜ばせていきたい。今はそれが夢ですね。

──ということは、今回の楽曲もビジュアルも、映画「ゾンビアス」と戦うような意識でやったんですかね。

うーん、どうだろう。「ゾンビアス」は井口さんが、ゾンビ映画に愛を込めた作品だから、俺も曲に自分なりのゾンビ愛を込めたんですよね。だから「ゾンビアス」は戦う相手というより、リスペクトする相手って感じかな。声をかけてもらえたからこうして、俺らもひとつ作品を作ることができたわけだし。まだ自分らの曲が入った映画の完成版を観てないんで、早く観たいなって思いますね。エンドロールで自分たちの曲が流れるなんて……。映画も大好きなんで、夢をまたひとつ叶えることができて井口さんには本当に感謝してます。

配信限定シングル「ゾンビパパ」 / 2012年2月22日発売 / GARURU RECORDS

  • 配信限定シングル「ゾンビパパ」
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着うた®、着うたフル®、RBT(メロディーコール、待ちうた)配信中!!

アーティスト公式サウンド、オリコンスタイル、GIGAエンタメロディ、DAM★うた、ドコモモバイル、dwango.jp、music.jp、mu-mo、レコチョク、他(五十音順)

※配信内容に関しては配信サイトによって異なる場合があります。

THE WAYBARK(うぇいばー)

THE WAYBARK

2002年6月9日結成。成田大致(Vo)、葛西孝治(G,Vo)、奥本大輝(B)、斎藤和哉(Dr)によるロックンロールバンド。2008年3月には毛皮のマリーズ、THE BOHEMIANS、Mr. Freddie & The Mercury devilと東北サーキットを決行。2010年7月に自主制作アルバム「マイ・ジェネレイション」、2011年9月には1stアルバム「THE WAYBARK」をリリース。2012年2月には井口昇監督による映画「ゾンビアス」の主題歌「ゾンビパパ」を配信でリリースした。また、ボーカルの成田はロックフェス「AOMORI ROCK FESTIVAL 夏の魔物」を主催しており、THE WAYBARKも毎年出演している。