“女だからこそ!”みたいな気持ちを込めて
──アルバムの中では「瑠璃色の空」と「Hard Rain」の2曲のテイストが僕はすごく好きで。これまでのWakanaさんのイメージからすると新鮮な印象を受けました。
うん、確かにこの2曲は私も新鮮でした。「瑠璃色の空」はちょっと懐かしい雰囲気があって、歌うのはちょっと難しかったんですけど、作曲をしてくださった松本良喜さんのアドバイスもあって、しっかり自分なりの解釈で歌えたと思います。「Hard Rain」のほうも同じく懐かしい雰囲気で。デモの段階では、根本の世界観は同じだけど、また全然違う雰囲気だったんですよ。アレンジされたことでグッと世界が広がったような気がしました。
──この曲ではスキャットも披露されていますね。
“パッパッパヤッパ”ですね! あそこは昔からの私を知ってくださる方も新鮮だったみたいで。「え、あれもわーちゃんが歌ってるの!?」「そうです、私なんです」みたいな(笑)。アルバムとしてはビートの強い曲も欲しかったので、そういう意味でもこの曲を入れることができてよかったなと思いますね。
──「Hard Rain」と10曲目の「時の音」は対極とも言えるサウンド感ですけど、同じ方々が作られているのも面白くて。共に作詞作曲を矢吹香那さん、編曲を前口渉さんが担当されています。
ホントにまったく違う曲調ですもんね。「時の音」のほうは、去年ワンコーラス分のデモを聴かせていただいて、すごく気に入っていたんです。「いつか絶対歌いたいな
って。なので今回、フルコーラス通して知れて曲の全貌が見えたのもうれしかったですし、何よりもアルバムに入れることができてよかったです。矢吹さんの書かれる世界は女性ならではの母性や、そこにある強さみたいなものがすごく出ているような気がして。なので、「Hard Rain」と「時の音」の2曲に関しては、“女だからこそ!”みたいな気持ちを込めて歌いました。
音楽は決して一本道ではない
──そして、本作の最大の魅力は各楽曲の世界に寄り添った歌声の多彩さだと思います。そのあたりは、ご自身ではどう感じていますか?
さまざまな方が作ってくださったさまざまな楽曲のおかげで、本当にいろいろな表現の仕方を学ぶことができたと思います。今までになかったたくさんの引き出しを開けてもらえたというか。「自分からこういう声も出るんだな」という気付きが本当にたくさんありました。今までもいろんなトライはしてきたけど、ライブで生の歌声を届けることを考えると「これはちょっとムリかもな」と自らブレーキを踏んでしまうことがあったんですよ。でも今回は周りの方々が「大丈夫だよ、できるよ」と強く後押ししてくださったおかげで、「そこまで私を信じてくださっているのならやってみよう!」と思えたんです。その結果、今までの私の声をよく知っているファンの方からすると、新鮮に聞こえる声もたくさん出たんじゃないかなって思うんですよね。
──Wakanaさんの場合、10年を超えるキャリアの中で確固たるボーカルスタイルができあがっていたところもあったと思うんです。でも今回はそれを壊すことさえも恐れず、新たな領域に踏み込んでいる感じがしました。
そうそう。今回の制作を通して感じたのは、「自分の歌はこうだろう」みたいな思いが想像以上にガチガチにあったんだなっていうことでした。昨年からボイストレーニングを受けるようになったことで、自分の歌のクセみたいなものをより感じるようにもなっていた。だからこそ、じゃあ今回はそこを取っ払おうと思えたところもあったんですよ。自分の歌の幅、可能性を自分で狭めるのはよくないことですからね。音楽って決して一本道ではないと思うんです。だったら、たとえ変な方向に行ってしまうことがあったとしても、それすらも自分の糧、武器にしていくくらいの気持ちでいたほうがいいなって。
──逆に言えば、これまでの活動を通して築いてきた確固たるボーカルスタイルがあるからこそ、そこを太い幹としてさまざまな枝葉が伸ばせるようになったということでもあるんでしょうね。
うんうん、そうですね。私の声はもうこれしかないわけだし、この声を聴いてWakanaだって気付いてくれる人がいるのであるとすれば、ここからはいろんな表現という枝葉を伸ばしていけばいいんじゃないかなって。それで新たな道が見えるのであれば、それはもう「ビバ、自分!」って感じですかね(笑)。
──ソロとしてはコーラスも自分自身でやらなければいけないわけなので、自ずと表現の幅が広がっていくところもありそうですね。
今回、自分の声だけを3声重ねたりしているところもあるんですけど、それ自体が新鮮な経験だったし、その仕上がりを聴いて「わー!」という喜びがあったりもしたんです。すべてのボーカルとコーラスを自分自身だけでやらせてもらったことで今までにない達成感を味わえたからこそ「じゃあ、次はどんなことができるかな」って楽しみになった部分はありました。
歌うことは心から好きだしとにかく楽しいこと
──そういった表現の可能性は、ライブという場でもどんどん広がっていくのかもしれないですね。4月にスタートする春のツアーへの期待も高まります。
シングルとアルバムのリリースを経て、改めてソロのスタートを切るツアーになると思います。私にしか出せない、すべてが私でしかない声を味わってもらうライブにしたいと考えて、ツアータイトルを「VOICE」にしました。アルバムを出せたことで曲もたくさん増えたので、いろんな色を持った曲を心から楽しんでもらえる内容にしたいです。
──素敵なアルバムができたことで自信もあるでしょうし、今回のツアーは初日からリラックスして臨めそうでしょうか?
いや、それはムリだと思います(笑)。絶対緊張はするなあ。でも、歌うことは心から好きだしとにかく楽しいことなので、その時間を共有して一緒に楽しもうねというのが私の願いです。そして、そういう楽しい気持ちを持ったまま、一生歌い続けていくことが私にとって一番の大きな目標です!
ツアー情報
- Wakana LIVE TOUR 2019 ~VOICE~
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- 2019年4月4日(木)埼玉県 飯能市市民会館 大ホール
- 2019年4月6日(土)大阪府 NHK大阪ホール
- 2019年4月14日(日)北海道 札幌市教育文化会館 大ホール
- 2019年4月20日(土)宮城県 SENDAI GIGS
- 2019年4月26日(金)東京都 中野サンプラザホール
- 2019年5月4日(土・祝)福岡県 福岡国際会議場
- 2019年5月12日(日)愛知県 日本特殊陶業市民会館
- Wakana「Wakana」
- 2019年3月20日発売 / Victor Entertainment
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初回限定盤A [CD+DVD]
3780円 / VIZL-1573 -
初回限定盤B [2SHM-CD]
5184円 / VIZL-1574 -
通常盤 [CD]
3240円 / VICL-65175
- CD収録曲
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- 約束の夜明け
- 翼
- 瑠璃色の空
- 流れ星
- 記憶の人
- 時を越える夜に
- Hard Rain
- 金木犀
- 僕の心の時計
- 時の音
- 愛の花
- 初回限定盤A DVD収録内容
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- 時を越える夜に(Music Video)
- 時を越える夜に(Music Videoメイキング)
- 初回限定盤B DISC 2収録内容
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- 約束の夜明け(instrumental)
- 翼(instrumental)
- 瑠璃色の空(instrumental)
- 流れ星(instrumental)
- 記憶の人(instrumental)
- 時を越える夜に(instrumental)
- Hard Rain(instrumental)
- 金木犀(instrumental)
- 僕の心の時計(instrumental)
- 時の音(instrumental)
- 愛の花(instrumental)
- Wakana(ワカナ)
- 12月10日生まれ、福岡県出身のシンガー。12歳から声楽を学び、17歳より多数のイベントに出演する。上京後はFiction Junctionのプロジェクトに参加し、その後劇場版アニメ「空(カラ)の境界」の主題歌プロジェクトとしてスタートしたKalafina(カラフィナ)のメンバーとして2008年1月にデビュー、本格的にシンガーとしてのキャリアをスタートさせる。2019年2月に「時を越える夜に」でビクターエンタテインメントよりソロデビューし、3月にフルアルバム「Wakana」を発表した。4月からは全国7都市を回るツアー「Wakana LIVE TOUR 2019 ~VOICE~」を控えている。