ナタリー PowerPush - Veni Vidi Vicious

ニューアルバム「Good Days」完成 入江良介、そのロック観を奔放に語る

ろくでなしなところを隠さないのがロックンロール

──アルバムの最後にTHE RAMONESのカバー「THE KKK TOOK MY BABY AWAY」を入れたのは?

入江良介(Vo, G)

バンドを始めた頃、フジロックのROOKIE A GO-GOに応募して出たとき、1曲目にこの曲をやったんですよ。そういう意味では思い出の曲でもあるし、好きな曲だし。この曲って、ジョニーがジョーイの彼女を盗っちゃったことを歌ってる曲なんですよ。それをライブで2人並んで歌ってるってのが好きなんですよ。そういうのは美しいなって。男ってカッコいいなって思う。

──人としてはろくでなしですけどね。

まあ、そうですよね(笑)。

──というか、入江さんって、ろくでなしな男に憧れるところがあるんじゃないですか? そういう自分が好きな側面があるというか。

それはあるかもしれない。みんなは隠そうとするところかもしれないけど、ろくでなしなところを隠さないのがカッコいいなってことは、ずっと思ってます。俺はジョー・ストラマーがずっと好きなんですけど、特に「レッツ・ロック・アゲイン!」って映画の中で、ジョー・ストラマーが街でチラシを配ってるシーンがあるんですよ。俺はそういうのがカッコいいなって思うし、そういうのがロックンロールだって思う。そういうことをやりたいですね。

──アルバムの1曲目「悪い方」も、相当ひどい男の歌ですね。

これはトイレでセックスする歌。「Good Days」のPVが結構評判いいんですけど、この曲のPVは「Good Days」で好きになった人ががっかりするようなPVになりました(笑)。俺がベッドにいるシーンから始まって、ひたすら騒いでたり下品なことしているという。

──そう考えると、今回はトイレでセックスする歌から始まって、途中で息子が生まれている、というアルバムなんですよね。聴いたときの印象はかなり感動的なんですけど、よくよく考えてみたらダメ男の実態だという。

そう。なんか、適当なヤツというかね。バカみたいに飲んでるヤツも好きだし、でも、そういうヤツの情緒とか哀愁に魅力を感じたりもする。俺が好きなロックバンドの人たちは、そういう人が多いんですよ。

──THE LIBERTINESのピーター・ドハーティとか、ほんとダメ男ですよね。

あんなの、近くにいる人にとっては、ホントに「ふざけんな!」って状態ですよね。雑誌とかライブ映像で見るぶんにはカッコいいかもしれないですけど。俺も周りに迷惑かけてしまうから。そういうのを曲にしてたりもするし。

俺はホントに自分のそのままを歌ってる

──Veni Vidi Viciousがこういうロックンロールをやることを選んだのは、入江さんが思うロックンロールの中にだらしなさが含まれているからだ、ということなんですね。

そうですね。ホント俺も普段はだらしないし。結婚しても裏切ってばっかだし。それでも奥さんを幸せにできるって言ってるし。そういうところもクズだなって。どうしようもないです。

──そしてアルバムを聴けば、入江さんがそういう人間だというのも伝わるわけで。

そうなんですよ。家族には聴かせらんないかな(笑)。でも、隠すのは違うと思う。子供ができたことを隠してるバンドマンもいっぱいいるけど、そういうのはあんまり好きじゃないんですよ。別にいいじゃんって思っちゃう。俺はホントに自分のそのままを歌ってるし。生き様というか。それは自分のカッコいいと思うことをやってる、という単純明快なことなんですけど。

──わかりました。本数は少ないようですが、ライブも楽しみにしてます。

ライブは0か100かですね。エンタテインメントができないんで、いいときはいいけど、ダメなときは全くダメ。それを含めて楽しんでもらいたいですね。できればいいときを目撃しにきてください(笑)。

ニューアルバム「Good Days」 /  2011/10/05発売 / 2100円(税込) /  DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECT / UKDZ-0114

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CD収録曲
  1. 悪い方
  2. 笑わないショーモデル
  3. てくてく
  4. 小屋
  5. Good Days
  6. Free Way3
  7. THE KKK TOOK MY BABY AWAY
Veni Vidi Vicious(ヴェニヴィディヴィシャス)

入江良介(Vo,G)、入江健(G)の兄弟を中心に2005年4月に結成。2006年「FUJI ROCK FESTIVAL '06」の「ROOKIE A GO-GO」に出演し、ライブハウスシーンで大きな話題を集める存在となる。翌2007年12月にThe Mirrazとのスプリットシングル「NEWROCK E.P」、2008年10月に1stアルバム「IRIE RACKIT」、2009年6月にミニアルバム「I Like Beethoven. Especially His Lyrics.~ベートーベンは好き。特に詞が良い。~」をリリースするも、2010年1月に突如活動を休止。同年4月に入江良介、入江健の2人体制で再始動することを宣言し、2011年4月に2ndアルバム「9 Stories」、同年10月に3rdアルバム「Good Days」をリリース。現在はサポートメンバーに松田祐伴(B)、大屋博(Dr)を加えて活動している。