ナタリー PowerPush - Veni Vidi Vicious

ニューアルバム「Good Days」完成 入江良介、そのロック観を奔放に語る

Veni Vidi Viciousが、3枚目となるアルバム「Good Days」をリリースした。妻と生まれたばかりの息子に向けて書いたという表題曲を筆頭に、作詞作曲を手がける入江良介(Vo, G)の生き様が刻み込まれた新作。ナタリー初登場となる今回は、アルバムの成り立ちを通して、彼のロック観とその憎めないキャラクターに迫った。

取材・文 / 柴那典 インタビュー撮影 / 中西求

「Good Days」は彼女が妊娠したときに書いた曲

入江良介(Vo, G)

──アルバム、カッコよかったです。特に表題曲の「Good Days」がすごく感動的だった。

ありがとうございます。

──この曲は今まで作った曲に比べても手応えは大きかったのでは?

はい。曲調とかメロディとか、音の作り方も今までとは違う感じだったんです。一度くらいCOLDPLAYとかARCADE FIREみたいな壮大な曲を作りたいと思って。それが自然に出てきた感じですね。

──元々Veni Vidi Viciousはガレージロック的な方向性でやってきたバンドですよね。

そうですね。今回のアルバムもそういう感じは相変わらずあって。「Good Days」が表題曲になっているからガレージロックっぽくないと感じられるかもしれないけれど、アルバムを通して聴いたら1曲目、2曲目、4曲目あたりはいつも通りの感じだし、レコーディングの仕方もほとんど一発録りして終わりだったから。

──「Good Days」だけバンドの中でも異色な曲だという?

そうなんです。

──この曲は入江さんに子供ができて結婚したことをきっかけにできた曲ということですけれども。

歌詞を書いたのが、彼女が妊娠したときくらいのときでした。

仙台で女の子が震えながら話しかけてくれた

──自分に子供ができたということは、歌詞を書く上でどういう影響があったんでしょう?

最初はサビの歌詞だけあったんですよ。サビで「グッド デイ イズ オーバー」って歌ってるんですけど。それは子供ができたという報告を受けて、「ああ、妊娠しちゃった。もう終わりだ、俺。もうダメだ」みたいな感じで書きました(笑)。やっぱり子供ができて結婚したら今までと環境ががらっと変わるし、俺、そういうのが苦手なんで。もともと独身でいいと思ってたし、子供なんて育てられるわけないと思ってたから。

──そういう曲だったんですね。

でも、その時点では全然歌詞は書けてなかったんですよ。そのあとに震災があって、たくさんの人が亡くなったということを目の当たりにして。そんな年に俺には子供ができたんだということも思って。そういう、生と死について自分なりの解釈で歌詞にした感じですね。あと、この曲のレコーディングが終わったのは6月くらいなんですけど、その前に一度、仙台にライブをしにいったことがあって。震災の被害が大きかったところの女の子が1人で来て、震えながら話しかけてくれたんです。

──その子はどんなことを言ってたんですか?

1stアルバムの最後に入っている「Time is Over」という曲を聴いて、すごく元気が出ましたって。それは俺が親父のことを歌っている曲で、人の生死に関わることを歌っていて。きっと普段、人に話しかけるのは得意じゃない感じの子だったんですけど、その曲にすごく救われたということを言ってくれた。それを聞いて、そういう人たちの気持ちも乗せられるような曲にしたいと思いました。その仙台のライブがあった日に、全部の歌詞を書いて、「Good Days」ができたんです。

──曲の持つ意味が変わってきたんですね。だって、最初は「どうするよ、俺」みたいな曲だったわけだから。

そうそう。曲ができてから7~8カ月、歌詞がないままライブでやったりしてたんですよ。そこで心境の変化があって。まあ、子供ができて「グッド デイ イズ オーバー」って歌ってるなんて、ただのクズだから。ちょっと希望が見えてきたという感じですかね。

──「てくてく」のイントロには赤ん坊の泣き声が入ってますね。

これは病院で、産まれた2日目くらいに動画を撮ってみて。そこからとった声です。赤ん坊が泣いてたんで、入れちゃおうかなって。スティーヴィー・ワンダーも清志郎さんもやってたから、俺もやっちゃおうって。

──父親になった感慨はありますか?

もちろんいろいろ考えるし、ちゃんとしないといけないとも思ったんですけど。でも、父親の実感は今でもないです。ダメなまんまですね。

ニューアルバム「Good Days」 /  2011/10/05発売 / 2100円(税込) /  DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECT / UKDZ-0114

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CD収録曲
  1. 悪い方
  2. 笑わないショーモデル
  3. てくてく
  4. 小屋
  5. Good Days
  6. Free Way3
  7. THE KKK TOOK MY BABY AWAY
Veni Vidi Vicious(べにびでぃびしゃす)

入江良介(Vo,G)、入江健(G)の兄弟を中心に2005年4月に結成。2006年「FUJI ROCK FESTIVAL '06」の「ROOKIE A GO-GO」に出演し、ライブハウスシーンで大きな話題を集める存在となる。翌2007年12月にThe Mirrazとのスプリットシングル「NEWROCK E.P」、2008年10月に1stアルバム「IRIE RACKIT」、2009年6月にミニアルバム「I Like Beethoven. Especially His Lyrics.~ベートーベンは好き。特に詞が良い。~」をリリースするも、2010年1月に突如活動を休止。同年4月に入江良介、入江健の2人体制で再始動することを宣言し、2011年4月に2ndアルバム「9 Stories」、同年10月に3rdアルバム「Good Days」をリリース。現在はサポートメンバーに松田祐伴(B)、大屋博(Dr)を加えて活動している。