ナタリー PowerPush - VANIRU

神出鬼没の独創的ユニットがベールを脱ぐ

僕らの世界観に共鳴してくれたと感じられた瞬間は幸せ

──そしてVANIRUは今年に入ってから活動を本格化させ、日本からではなく、まず海外でライブ活動をスタートさせます。当初から海外での展開も視野に入れていたんですか?

LEONEIL いえ、単純に行ってみたかったといいますか、特に深い意味はないですけれど。

──それ以前に日本でライブはしていたんですか?

LEONEIL いえ、してないです。

YUTO 初ライブはドイツでした。

──どうなんですか? いきなり環境が全然違うところからライブ活動をスタートさせるのは。

YUTO 僕は、彼が行くって言うからついていっただけで(笑)。

──あははは(笑)。

YUTO いや、本当にそんな感じで(笑)。気付いたらベルリンにいたんです。

──海外での反響はどうでしたか?

YUTO 国を問わず、目の前にいる僕らをありのまま受け入れてくれたというか。いいと思ったらすごく盛り上がってくれるし、興味がなかったらそれらしい反応をしてるし。僕らの世界観に共鳴してくれたと感じられた瞬間は、すごく幸せでした。

──海外でも日本語詞で歌ったかと思いますが、そこについては指摘はありませんでしたか?

LEONEIL 言語は通じなくても、何か感じてもらえてるな、という手応えはありました。

いかにLEONEILの頭の中にある世界を具現化するか

──ここからはシングル「Cosmic Night」について聞いていきたいと思います。収録されている3曲はどれもどこか懐かしさを感じさせつつも、2013年の音楽シーンを見渡すと似たタイプのサウンドが見当たらず、すごく新鮮に感じました。KENTさんも楽曲制作に携わっていますが、最初の曲作りの時点で指針みたいなものはあったんでしょうか?

VANIRU

LEONEIL 1曲1曲にコンセプトはあるんですけど、まず自分がいいと思う音を追求しました。

──こういう曲にしたい、こういう音が欲しいと伝えながら?

LEONEIL ええ。まず最初に歌詞や曲の世界観を渡して。

──歌詞も耳に残る印象的なフレーズや言葉が多いんですが、作詞においてこだわっている部分は何かありますか?

LEONEIL 「こういう表現のほうがいいのでは」とか少しは考えますけど、基本的には自分の中から出てくるものしか書けないので。

──それをストレートに表現していく?

LEONEIL ストレートかどうかは、聴いた人の判断に委ねたいと思っています。

──YUTOさんは今回の制作において、こだわった部分は何かありますか?

YUTO まず基礎となる彼のコンセプトがあって、そのイメージにいかに近付けるか、いかに彼の頭の中にある世界を具現化するかを考えながらギターを弾いてます。それが僕のテーマでもあり、生きがいでもあるので。

──YUTOさんはLEONEILさんが頭の中に描いている世界について説明を受けるんですか?

YUTO 直接聞いたりはしないですけど、普段から彼といろいろ話しているから、自然と共有できている部分は多いと自分では思ってるんですが。もちろん手探りな部分もあって難しいんですけど、そのぶんやりがいが大きいし、楽しいです。

──そんなYUTOさんの色が加わった作品は、LEONEILさんの頭の中にあるイメージに近いものなんですか?

YUTO どうなんでしょうか?(笑)

LEONEIL まあ……近いときもあるし、想像していたものと違ったものができあがってくるときもあって。でもそれが予想外の仕上がりで新鮮だったりもするので、そこは面白いというか。KENTさんが作った曲も、そうやって完全にVANIRUの曲に変化していくわけですから。

YUTO そういう意味じゃ、最初のデモから肉付けしていく作業が楽しいです。結果、相当変わっちゃってますから。だからKENTさんの曲を聴きたいとか、LILLIES AND REMAINSに興味があるとか、そういう人がVANIRUを聴いたら期待を裏切られるかもしれないです。

音楽は本当に“No Border”だなって

──CDリリース直後の12月5日には都内で初のライブイベント「Tokyo Cosmic Night vol.01」も行われます。今後のVANIRUはどういう活動を行っていくんでしょう?

LEONEIL やれることを、やれるだけやってこうと思います。

YUTO もう、僕らにできることを、ただただやっていくだけですね。

──それは作品のリリースであったり、ライブであったり?

YUTO そうですね。まだ未知なことばかりですけど。ほかにもいろいろ思うことはあります。

──VANIRUの場合、普通だったら驚くような活動でも、「なるほど、VANIRUだしね」で納得してしまうような気がしていて。そういう不思議な説得力があるんですよね。

YUTO フフフ(笑)。

LEONEIL まあ、これからいろいろと境界を超えていきたいなと思ってます。

YUTO 海外でライブをやったときに感じたんですけど、音楽は本当に“No Border(国境がない)”だなって。初めて会う人たちばかりなのに、音楽で共鳴し合えるわけですから、今後もその共鳴を広げていきたいです。

VANIRU(ゔぁにる)
VANIRU

LEONEIL(Vo)、YUTO(G)からなる音楽ユニット。2013年5月からドイツ、オランダ、イギリスなどの音楽フェスに出演し、まずは海外で注目を集める。70~80年代のニューウェイブ、ポストパンクからの影響を感じさせる耽美なサウンドと、LEONEILによるドラマチックかつ哲学的な歌詞が特徴。9月にはマレーシアで行われた「J-Rock no Tamashii」にゲスト出演し、刺激的なライブパフォーマンスで現地のロックファンを魅了した。12月4日に日本での1stシングル「Cosmic Night」をリリース。翌5日にはライブイベント「Tokyo Cosmic Night vol.01」を実施する。