音楽の“変態”と“天才”と“赤ちゃん”

──では、3人が持っているそれぞれの個性について、ご自身たちで分析をしていただきたいなと思うのですが。

ZEN　じゃ僕が分析します。まずGAKUさんは“音楽の変態”だと思いますね。音楽についてのさまざまなことをものすごいスピードで吸収して、細かいところまで追求し出すと止まらない。しかも努力大好き。聴いてきた音楽ジャンルも多岐にわたってますから。

GAKU　いやあ、変態って言われるのはうれしいですね（笑）。確かに、J-POPから始まってヴィジュアル系、海外の速弾き系メタル、テクノ、プログレッシブロック、レゲエ……いろんな音楽を聴いてきました。どうやったら共感してもらえる音楽が作れるのかってことを考えながら。

ZEN　で、次。TAMAちゃんは“音楽の天才”なんですよ。ジャズという基礎があるので、音楽理論に精通してるんです。何か質問すれば絶対答えが返ってくるので、僕らにとっては神様……ちょっと言い過ぎか（笑）。でも、ほんとにすごいヤツだと思いますね。

GAKU　そうだね。ただ、音楽の天才でありながらも、少年のような心も持っているので、どっかでぶっ壊してやろうみたいなことを常に考えてたりもするんですよ。音楽的にもそうだし、日常生活の中でも突然とんでもないギャグをかまして場を和ませたりとかね。そういうところがすごく人間らしくもあって。

──じゃZENさんの個性は？

ZEN　僕はもともと、音楽をほとんど聴いてこなかった人で、感情表現の手段として音楽をやってきただけだったんです。でもUNISTを始めてからは、3人で音を重ねる気持ちよさや音楽の楽しさっていうものをどんどん学べている感じで。だから僕は“音楽の赤ちゃん”みたいな感じかもしれないですね。

GAKU　あとZENは楽しいことがすべてなんですよ。僕とTAMAちゃんは、音楽が楽しい理由や、聴き手にどう感じてもらえるかっていうことをこれまでにものすごく考えてきたんですけど、ZENはそれを感覚でジャッジできてしまうというか。僕なんかが理論的に「これは最高なんだ」って持っていったアイデアに対して、「いや、でもパッと聴き、そんなよくないよね」ってズバッと切り捨てたりするんで（笑）。

──なるほど。理屈ではなく感覚で良し悪しを判断するというのは、ある意味リスナーの感覚に近いのかもしれないですね。

GAKU　そうだと思いますね。でも、その感覚がどこまでも信頼できるんですよ。いい意味で、俺やTAMAちゃんには見えていないステージが見えているというか。それがZENの一番の個性だと思いますね。

ZEN　ありがとうございますっ!! 感覚で生きている人なので人に伝わりづらいところがあったりもするんですけど、とにかく楽しいことが大好きですね。2人から出てくるマジメな楽しいことに、僕がどんどんふざけた楽しいことを足しています、いつも。

僕らにとってUNISTが終の棲家なのかも

──そんな異なる個性を持った3人での曲作りはどう行っているんですか？

GAKU　大本になるアイデアを誰かが持ってきて「いいね、やろうよ」ってことになったら、「じゃ俺はAメロ作ってみるわ」「俺、Bメロ作ってみる」みたいな感じで各自がパートごとに持って帰るんですよ。で、それをあとでパズルみたいに組み合わせればもう1曲になっちゃってる感じで。そういう作り方が一番多いですね。

──全体としてならす作業はないんですか？

ZEN　歌詞に関して最終的にブラッシュアップすることはたまにあるけど、それも微々たるもので。メロやサウンドは基本、それぞれに任されてます。そこはもう信頼し合えてるので、それが正解なんだなって。

TAMA　UNISTになって初めてそんな作り方しましたけどね（笑）。

GAKU　うん。今までだったら、他人の意見が自分の曲に入ってこようものなら拒絶しかなかったもん（笑）。

──UNISTではそれが許せてしまうのはどうしてなんでしょうね。

TAMA　なんでだろう。自分が作った曲に、自分では思い付かないアイデアが入ってくることがよしと思えるんですよね、この3人だと。

ZEN　たぶんそこには、それぞれが10年くらい音楽をやってきたことが関係してるんだと思うんですよ。それぞれの音楽人生をひと回りもふた回りもしたことで、人を許せるというか、何かを許せるようになったんだと思うんです。だって10年前だったらきっとこの3人でも一緒にできてたかどうかわからないですからね。みんな我の塊だったと思うんで（笑）。

──人間的な成熟がUNISTというグループを生んだのかもしれないと。

GAKU　うん、そうですね。

ZEN　そういう意味では、僕らにとってこのUNISTが終の棲家なのかもしれないですよね。