音楽ナタリー Power Push - 上杉周大

北海道の人気者、ソロでポップスに挑戦

北海道愛を詰め込んだ後半

──続いては「ファイターズ讃歌」。この曲については前回のインタビュー(参照:上杉周大「ファイターズ讃歌」特集)でもお話を伺っていますが、北海道日本ハムファイターズの公式の応援歌です。

上杉周大

球団歌をオフィシャルでアルバムに入れられる人ってなかなかいないですよね。だったら入れないと!と思って入れました。あと純粋にいい曲なので、僕は日本全国の人に「ファイターズの曲なんだけどどう?」って紹介したいなと思って。この機会をいただけたことを、改めて光栄だなと思いました。

──歌うときにご自身で作る曲との違いはありましたか?

歌い方は変えましたね。球場でもそうなんですけど、この曲は初代のボーカリストがいて2代目がいて、僕は3代目という感じで代々受け継がれてる曲なので、それぞれに味がなくちゃいけないじゃないですか。じゃあ自分が期待されてるものってなんだろうって考えたら、やっぱり力強さや、選手の背中を押せる歌い方だろうなと思ったのでそれを意識しました。今思いつきましたけど、ファイターズのユニフォームを着てレコーディングすればよかったな(笑)。

──続いては1971年にトワ・エ・モワさんが歌唱した「虹と雪のバラード」ですね。1972年の札幌オリンピックのテーマソングです。この曲では南壽あさ子さんと共演しています。

同じ事務所というのがきっかけなんですけど、南壽さんが札幌でライブをする際に僕も共演者で出ていて。そのときに「1曲何かでデュエットしたい」と話をもらって、そのときに南壽さんが持ってきてくださったのがこの曲だったんです。そのあともライブでご一緒するときはちょこちょこ歌ってきて。僕が普段よりも低いトーンで歌っているんですけど、それが面白いってスタッフから言われていたこともあったので今回入れてみました。

──最後は、札幌市の「ポイ捨て等防止条例10周年啓発キャンペーン」のテーマソング「優しさも捨てているんだぜ」です。

キャンペーンソングなんで、とことん「ポイ捨てだめよ」っていう歌詞にしようと。なかなか「条例違反」って単語は歌詞に出てこないと思うんですけど(笑)。ただ、条例違反だからダメっていうだけじゃなくて、なんでポイ捨てがダメかというところに自分の気持ちも乗せたいと思って、このタイトルを付けました。「ファイターズ讃歌」以降の3曲は“北海道愛のゾーン”ですね。

──できあがった作品を聴いて、ご自身ではどのようなアルバムになったと思いますか?

1曲ずつテーマを持って書いたのもあって、バラエティに富んだ1枚になったなと思います。自分で言うのもなんですけど、飽きがこないような気がします。初めにも話しましたが、テレビを観て興味を持ってくれた方にも聴きやすい作品になったんじゃないかな。いいアルバムなのでたくさんの人に聴いてもらいたいですね。

ソロ活動から見えたTHE TON-UP MOTORSのよさ

──「バンドではできないことをやる」という思いのもと今作を完成させたわけですが、THE TON-UP MOTORSというバンドを客観的に見る機会にもなったんじゃないかと思います。離れたところから見たTHE TON-UP MOTORSはどういうバンドでした?

上杉周大

やっぱりTHE TON-UP MOTORSにしかできないことをやってるんだなって思いましたね。今回ポップスをテーマにわかりやすく作ったんですけど、逆にわかりにくいよさっていうのもあると思うんです。THE TON-UP MOTORSはまさにそれで、1曲を通して聴くとわかりやすいけど、どこかに難解さがある。あといい意味ですごく難しいことをやってるなあと。いろんなことに常にトライしてるんだなと気付きました。今もバンドでスタジオに入ってるんですけど、僕が今回ポップスをやったことで、わかりやすさとマニアックさのさじ加減を少しつかめているんですよね。今までの脳みそを持ちながら今までになかった発想が出始めてるんで、バンドもいい感じになっていく気がします。

──最後に上杉さんにとってTHE TON-UP MOTORSとはどういった存在か教えてください。

家族みたいなものですね。18歳からバンドを始めてるんで、大人になってからの人生すべてがTHE TON-UP MOTORSなんですよね。東京に出てきてからは実際の家族よりも一緒にいる時間が長かったりもするし。そのぶん衝突も多いですけど。バンドは音楽をやるものだし、音楽を通じてつながってはいるんですけど、やっぱりメンバーのことを人として好きですし。メンバーのことを考えない日はないんですよね。気持ち悪いですけど。一緒に夢を見て歩いている以上、上杉と一緒にやっててよかったなと思ってもらいたい。幸せにしたい一番身近な存在です。

上杉周大
ソロアルバム「You Are The MAN!!」2015年11月11日発売 / VAP
初回限定盤[CD+DVD]2700円 / VPCC-80676
通常盤[CD]2160円 / VPCC-81853
CD収録曲
  1. イエス!ソウルミュージック
  2. ハートビート
  3. サマーデイズ
  4. 銀のピストル
  5. ライク・ザ・リヴァ―
  6. ファイターズ讃歌
  7. 虹と雪のバラード
  8. 優しさも捨てているんだぜ
DVD収録内容
  • 「イエス!ソウルミュージック」MV
  • 「ファイターズ讃歌」MV
  • 特典映像
THE TON-UP MOTORS 15th ANNIVERSARY ワンマンショウ 俺とあんたのソウル物語
  • 2015年11月22日(日)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
    OPEN 16:00 / START 17:00
  • 2015年12月6日(日)北海道 札幌市教育文化会館 大ホール
    OPEN 16:00 / START 17:00
上杉周大(ウエスギシュウタ)
上杉周大

1982年2月11日生まれ、北海道出身。2000年に北海道札幌市で結成されたソウルロックバンド・THE TON-UP MOTORSのボーカル。バラエティ番組「ブギウギ専務」(STV)で主役を務めて人気を博し、ラジオのパーソナリティやテレビCM出演など、幅広く活躍している。バンドとしても全国各地のライブハウスでの公演のほか、野外音楽イベントや学園祭などに多数出演。2013年12月発売のニューアルバム「THE TON-UP MOTORS」でバップよりメジャーデビューを果たした。さらに2014年には北海道日本ハムファイターズの応援歌「ファイターズ讃歌」の3代目ボーカリストに起用される。そして 2015年11月に初のソロアルバム「You Are The MAN!!」をリリースした。