上坂すみれ×清竜人|♡キュートでポップな初コラボ♡

「ボン♡キュッ♡ボン♡」ができるまで

──では「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」について具体的に聞かせてください。楽曲の方向性、サウンドアプローチ的な部分はすんなりと決まりましたか?

竜人 実は最初ちょっと迷ったんです。最近のすみれちゃんの楽曲を聴いていると、デジタル的なサウンドがベーシックなところにある曲が多い印象を受けたので、その路線を踏襲したほうがいいのかなという考えもあって。ただまあ、せっかく僕にお話をいただいたのだから、ある程度サウンドのベクトルも今までのすみれちゃんとは一線を画すもののほうがいいのかなと。

──きらびやかでクラシカルなストリングスは新鮮ですね。

上坂 今までは全然なかったですね。凶暴な音はいろいろありましたけど、美しいストリングスやオルゴールの音色……私の10枚のシングルの中で一番住み心地がいい作品なのではないでしょうか。朝聴いても大丈夫な曲です。

竜人 ははは(笑)。ただ、ライブのセットリスト的に浮かないようにというのは考えました。これで生ドラムにしちゃうと、ほかのデジタルな曲と並べた場合浮いてしまうかなと思って、リズムは打ち込みにしたり。

左から上坂すみれ、清竜人。

──楽曲について上坂さんから何かリクエストすることはなく、完全に清さんにお任せで?

上坂 はい。ガイドデータとして届いたのが、インストと清さんの仮歌と歌詞の3点セットだったので、まずそれにびっくりしました。私はいつもシンセメロを聴いて曲を覚えていたので。清さんの歌がめちゃめちゃかわいくて、ちゃんとセリフも入っていて、しばらく純粋に聴いてましたね。清さんの新曲だあ、みたいな気持ちで(笑)。

竜人 ちゃんとおじさんが「ボン♡キュッ♡ボン♡は貴方のモノだよ♡」って歌ってるんですよ。

上坂 感動しました。レコーディングのときもずっと清さんのガイドをベースに歌ってましたね。

──清さん楽曲の歌い回し、ニュアンスにはすぐになじみましたか?

上坂 清さんの曲は聴き慣れていたのですぐになじみました。ただ、自分でハモを付けてコーラスをたくさん入れる曲が今までなかったので、そこは苦労しましたね。かわいらしく英語でコーラスを入れるなんて今までなかったので、今回初登場です。かわいいコーラス隊。

竜人 コーラスパートは確かにかなり多いので、大変だったかもね。Aメロのウィスパーボイスはファン垂涎の、耳が幸せになる感じがあるかなと思います。

こんなキャッチーな死語があったかと

──レコーディングでは清さんが直々にディレクションを?

竜人 はい。すみれちゃんは声自体に個性的な魅力があるので、それは壊したくなくて。ちょっとしたピッチ感とかリズムの取り方ぐらいはディレクションしましたけど、そんなに大きなディレクションはせず。

上坂すみれ

上坂 清さんはご自身がシンガーなので、疲れないレコーディング術を心得ていらっしゃるのか……私は「このピッチが合うまでやりますよ!」みたいなことを言われると「もう帰りたいです……」と思ってしまうのですけど、そういうところには突っ込まず、出したいニュアンスだけ言ってくださるので、最後まで気力が持ちました。

竜人 あはは(笑)。よかった。

──特別優しくしたわけではなく、いつも通り?

竜人 そうですね。そんな変な意味での気遣いはしなかったと思います。

──歌い回しは清さんの仮歌を元に?

上坂 はい。文字にすごくパワーのある歌詞だったので、普通に歌うだけでも自然とニュアンスが強調されるというか。言葉がすごく平易なので、聴くだけで歌詞が伝わる。♡の部分をいかに伝えるかは難しいところですけど。

──清さんの外部発注ではもはやトレードマークになっていますよね、♡。清さん自身の中に♡をトレードマークとして打っておきたいという意識があるんですか?

竜人 いや、最近まで特に考えてなかったんですけど、そのイメージが定着してきたところもあって。言わなかったら勝手に付けるんだろうと思われているみたいで、最近は「♡はなしでお願いします」と言われることもあります(笑)。

上坂 ♡を付けなきゃ気が済まない人みたいになっちゃってるんですね(笑)。

清竜人

竜人 「言わなきゃ付けてくんだろこのジジイ」と思われているみたいで。もちろん作品あってのことなのでマストで考えてるわけじゃないんですが、今回はアニメのテーマ的にも歌詞的にもマッチするんじゃなんじゃないかなと。

──「なんでここに先生が!?」という作品自体には昔からあるエロ表現を継承しているようなところがあって、楽曲のムードにもそれは感じます。さっき「エッチスケッチワンタッチ」という、まったく世代ではないフレーズが清さんから自然に出てきたことに少し驚きましたけど。

上坂 そうですね。よみがえりし死語。

竜人 はっはっは(笑)。ちょうどいいバランスのドスケベさみたいなものをよく表した言葉ですよね。

上坂 ボンキュッボンもひさびさに聞きました。こんなにもキャッチーな死語があったかと。よみがえらせて正解だと思います。最新のエロじゃないところが素晴らしい。映像がちょっと擦り切れてる感がありつつ、メロディは美しくて。ミュージックビデオも同じように、雰囲気はすごくピンクなんですけど、とってもポップな味わいがあるというか。

半ズボンの竜人少年

──清さんはMVはご覧になりましたか?

竜人 はい。すごくいい塩梅ですよね。冒頭の話にもつながりますけど、すみれちゃんがやるからこそ保たれる品性があって。少年役で出たかったけどね、僕も(笑)。

上坂 そこに全部意識持ってかれちゃいますよね(笑)。

竜人 5月25日の「ハーレム♡フェスタ」にも出てくれるし(清竜人のデビュー10周年と30歳の誕生日を記念して企画された、清以外全員女性のライブイベント「清 竜人ハーレム♡フェスタ2019 10th ANNIVERSARY & 30th BIRTHDAY」。参照:清竜人ハーレムフェスタに堀江由衣、上坂すみれ、あーりん、でんぱ大集合)、そこで何かやろうかなあ。まずステージにエロ本が置いてあって、そこに僕が現れて「おい、スゲーぞ!」ってところから始まる(笑)。

上坂 いいですね。半ズボンで(笑)。虫取り少年みたいな格好で。この曲は1人で歌うより、人がたくさんいたほうがステージ映えしそうなので、ポンポンを持って踊るスクールメイツみたいなダンサーさんがいたらいいなあ。やたら笑顔の人たちを従えて歌うやつ。