ナタリー PowerPush - 宇宙人
曲を作る秘訣は「音楽が好きじゃないこと」
ライブは「歌のテスト」みたいです
──ライブをするのは苦手なんですか?
苦手ではないです。車で長距離移動するのだけがイヤです。
──電車とかも嫌いですか?
電車は大好きです! 飛行機も電車と新幹線の次に好きです! 便利です!
──車はどこがダメなんですか?
高速道路は景色が変わりません。ゴウゴウうるさいです。あと、高速道路の隅っこが嫌いです。
──隅っこ? 路肩のことでしょうか?
隅っこです。なんか……かゆくなるんです。
──よくわかりませんが、それは大変ですね。前のアルバムを出すまではほとんどライブ経験がなかったと言っていましたけど、その後ライブの数が増えましたよね。それによってライブに対する気持ちの変化はありましたか?
変わりません。「歌のテスト」みたい。みんなの前で歌わされてる感じです。でも最近は、終わった後にスタッフがおいしいものを食べさせてくれるのでライブは好きです。
──わはは(笑)。打ち上げがあるからライブが好きになってきたということですか。
打ち上げには参加しません。人が集まるところは苦手です。
──今までライブでいろいろな人と共演してきたと思うんですけど、仲良くなった人はいますか?
いません。音楽系の人には興味ないです(笑)。
──本当に音楽が好きじゃないんですね(笑)。
嫌いなわけではないです。でも私の中では、趣味は文房具と映画だけです。
──自分で映画を作ろうとは思わなかったんですか?
そんなの恐れ多いです! 好きすぎて無理です! 多分、音楽はそんなに好きじゃないからできるんだと思います。
映像作家として売れたら文房具買い放題です
──主題歌の書き下ろしみたいな形で映画に関わるというのはどうですか?
うーん、主題歌かあ。音楽担当のほうがいいです。坂口修(音楽プロデューサーとして「時効警察」「インスタント沼」など三木聡監督作を担当)と同じ種類の人になりたいです。尊敬する音楽家です。坂口修さんに会いたいです。
──音楽的に坂口さんから影響を受けている部分はあるんですか?
ないです(笑)。
──映画が好きなら、例えば宇宙人のビデオクリップに自分の趣味性を反映することもできますよね。
そっか、そこで趣味を出していけばいいのか。……じゃあ監督やります。
──おお、いいですね!
いやーでも、それですごいものができちゃったらどうするんですか(笑)。
──良いものができればその界隈からもオファーが来るようになって、夢の実現に近づきそうですね。
文房具買い放題ですか!?
──ダンボールで買えますよ(笑)。映像作家としてスペースシャワーTVの「MUSIC VIDEO AWARDS」も狙えますね。
モントリオールには行けますか!? カンヌは行けますか!?
──多分行けないと思います。
でもPVは三木聡さんに監督してもらいたいです。あとはライブも……あっ、これを言ったら誰かに先にやられるかもしれないので言いません。
──いやいや教えてくださいよ!
……三木さんにライブを演出してもらいたいです。そしたらライブが「歌のテスト」じゃなくなります(笑)。
──それ、むしろ積極的にいろんなところで言ったほうがいいですよ! そういうのは回りまわって本人に伝わるものです。言っておきましょう。
じゃあナタリーに「宇宙人はライブに演出家をつけようと考えてます。先に誰かやったら許さないよ!」って大きく書いておいてください(笑)。あとはフードスタイリストの飯島奈美さんとも一緒になにかしたいです。
ライブ写真は使い捨てカメラがいいです
──5月31日には東京・赤坂BLITZでN'夙川BOYS、私立恵比寿中学とのスリーマンライブ「西向く侍」がありますよね。
あっ、N'夙川BOYSのシンノスケBOYsとは仲良しです!
──どんな話をするんですか?
一緒に歌ったりします。あと「ふとん祭り」とか。一緒に「ふとん祭り」やりますか?
──ふとん祭り……?
「♪ふっとーん、まっつーり、敷いて敷いてかっけかっけ、マックラでグーッ!」です。シンノスケBOYsは「枕でグー」担当です。
──なんなんですかそれは。
シティボーイズのコントに「新しい祭り」というのがあって、そこに出てくる祭りです。ふとんを振り回します。来月あたりナタリーに「ふとん祭り」をしに行っていいですか?
──楽しそうですね(笑)。ところで赤坂BLITZ公演はライブレポートを載せられればいいなと思うんですが、写真掲載は難しそうですか?
ライブ写真って斜め下からのカットで撮る人が多くって、あれが嫌いなんです。角度を付けずに真正面から使い捨てカメラで撮るならいいです。
──なぜ使い捨てカメラ?
奥行きのない平面的な写真のほうがいいです。あと、ライブ中に目の前で写真を撮られると気が散るので、ライブハウスの一番後ろとか、ものすごく遠くから撮ってほしいです。
──暗いライブハウスだと、遠くから使い捨てカメラで撮影したら何も映らないと思いますよ。
撮るなら「撮るぞ!」って感じで撮ってほしいので、ライブ写真はイヤなんです。「この曲とこの曲の間のこの瞬間だけは撮影OK」みたいな時間を作りたいです。そうしたらその間はメンバー全員で決めポーズをとります。
──歌ってる姿は1枚も撮れないじゃないですか(笑)。ではビデオクリップに出るのもイヤなんですか。
メンバーみんながPVに出るって、なんだかバンドっぽくなりそうですね。
──バンドっぽいのがイヤなんですか。
イヤです。バンドマンって言葉を今年中になくしたい。熱い感じがイヤ。
──じゃあ自分はなんて呼ばれたいですか?
バンドをやっている人。あ、でも「バンド」って言葉もやめたいな。4人組。これに変えましょう。
──斜め下からのライブ写真がイヤっていうのは、「バンドマン」という言葉が嫌いなのと同じ理由なのでは?
あ、そうです! バンドマンみたいで絶対イヤだ!
──もしかして、あさこさんは顔出しするのがイヤなだけでなく、写真を撮られること自体が好きじゃないんですか?
うーん、どうだろう。わかりません。今まであまり写真を撮られたことがないです。
宇宙人(うちゅうじん)
しのさきあさこ(Vo)、こまつけんた(G)、にいやひでひろ(B)、わだまこと(Dr)の4人のメンバーによるポップバンド。2008年頃に結成され、地元でのライブ活動やデモ音源の配布、販売などを全く行わないまま、2010年に「FUJI ROCK FESTIVAL '10」のROOKIE A GO-GOステージに出演した。2011年7月に初の音源となるシングル「アメーバダンス / あこがれのネクタイ」をパーフェクトミュージックから、同年8月に1stアルバム「お部屋でミステリーサークル」をGYUNNE CASETTEからそれぞれリリース。「お部屋でミステリーサークル」は「第4回CDショップ大賞」で中国四国ブロック賞を受賞した。2012年にはスターチャイルドからメジャーデビューを果たし、ミニアルバム「慟哭」を発表する。不思議な世界観と中毒性の高いポップセンスで、じわじわと人気を拡大している。