音楽ナタリー Power Push - つばさFly×野田剛史(WRONG SCALE, ember)×原昌和(the band apart)「Ray Of Hope」発売記念座談会"
より高く飛ぶために、ロック界とのコラボが生んだ新たな武器
亡くなった友達への「ありがとう」の気持ちを書きたかった
──演奏は野田さんがベース、原さんがギター。さらにドラムには柏倉隆史さんが参加されています。その人選も野田さんが?
野田 そうです。バンドサウンドを念頭に置いていたので、誰がいいかなあと思っていたところ、柏倉のことがパッと思い浮かんで。レコーディングはちょっとした同窓会みたいで面白かったですけどね。「ひさしぶりー」つって。
原 僕は普段ベースを弾いてるんですけど、今回は自分が考えたアレンジだから自分でやったほうが早いってことでギターをやって。そんなに時間はかかんなかったけど、なかなか難しかったですよ、レコーディングは。
鹿木 オケのレコーディングにはスケジュールが合わなくて立ち会えなかったんですけど、皆さん仲がいいってことは以前から知っていたので、いい雰囲気なんだろうなあって思ってました。原さんがアレンジしてくださるってことも含め、このメンツがそろったことにはビックリしましたけど。
──作詞は香里さんが手がけていますね。
鹿木 はい。3日間くらいしか時間がなかったので、不眠不休で書きました(笑)。今回は私たちの「Unforgettable days」という曲へのアンサーソングにしたんですよ。あの曲は亡くなってしまった私の友達に対しての悔しさや悲しさを歌っているんですけど、今回は希望や光が見えるように「ありがとう」の気持ちを書きたいなって。実はその友達もWRONG SCALEのことが大好きだったので、絶対に喜んでくれると思ったから。
原 へえ。俺、この歌詞を見て、死んだ人のことを歌ってんのかなって思ったのよ。ほんとにそうだったんだね。
鹿木 ああ、うれしいですね、それがちゃんと伝わっていて。
宮沢 香里はけっこう抽象的な歌詞を書くイメージがあったんだけど、今回はストレートにわかりやすい書き方をしてるんですよね。時間がなかったので勝手に心配していたんだけど、すごくいい歌詞が上がってきたので、作詞に関してもワンステップ上がったんじゃないかなって思いました。
野田 曲を作ったあとに歌詞のテーマを聞いたから、俺の曲はちゃんとそのイメージに合ったものになっているかなって心配してたんだけど、うまいこと彼女たちなりの思いを押し込んでくれたからいい方向に転がったと思いますね。
今までアイドルに興味がなかった人もきっと気になってくれる
──では、歌に関してはいかがでしたか?
野田 俺が最初に作ってたものは、今よりキーが1音上だったんですよ。
鹿木 うん。結果的に1音下げてもらったんですけど、それも自分たちが出せるギリギリのキーだったんです。今までの曲からしたらすごく高い。でもレコーディングのときに原さんが「出せば出るから」って言ってくれたし、実際レコーディングを終えてみれば、「みんな意外と出るじゃん!」ってことに気付けて。力量が上がった気がします。
原 歌い慣れてきたら1音上げてみてもいいしね。
野田 あとね、今回のレコーディングを通して感じたのは、今まではあまり自分のジャッジで歌ってきてなかったんじゃないかなってことで。だから歌に対してのこだわりをもっと持ってもらえるように、アイドルにありがちなユニゾンではなく、それぞれがメインを取るパートをしっかり作ったし、自分の歌のよい悪いも自分で決めてもらうレコーディングの仕方をしたんですよね。
宮沢 野田さんは自分が納得するまで歌っていいよって言ってくださったんで、今回はいつも以上に思いっきり歌えた気がしますね。今までにあんまり出したことのないキーだったから不安もあったけど、いいテイクが録れたなって思います。
鹿木 うん。すごく勉強になったレコーディングでした。
──野田さんにとってもアイドルをプロデュースするという経験は刺激になりましたか?
野田 いやいや、アイドルをプロデュースするみたいなニュースが大げさに出ましたけど、僕にはそんなつもりはなかったというか。メンバーたちも含め、仲間みんなと一緒に作り上げた曲っていう意識が強いんですよね。俺はそういうやり方のほうが絶対いいものになると思っているので。今回もそれでよかったんじゃないかなとは思ってますけど。
鹿木 私たちとしても、ただ単にもらった曲を歌って終わりっていうのではない関わり方ができたことがすごくうれしくて。思い入れもすごく強いから、これから先、どんどん大事な曲に育っていく気がしますね。
宮沢 そのためにしっかり歌っていかなきゃなっていう責任感もありますし。
──つばさFlyは本作のリリースに合わせてワンマンツアーも開催します。意気込みは?
宮沢 「Ray Of Hope」という強力な武器ができたことで、グループとしての攻撃力も上がったと思うんですよ。なので、それをしっかりツアーでも証明していきたいですね。
鹿木 この曲ができたことで、今までアイドルに興味がなかった人もきっと気になってくれると思うし、ライブにも来てくれることがあると思うんですよ。なので、そういった人に対してもしっかり勝負していきたいなって。
──つばさFlyをきっかけにWRONG SCALEやthe band apartに興味を持つ人が出てくる可能性もあるわけですからね。
原 ああ、そうっすね。そうなったらうれしいですよね。
野田 変な先入観なく、ちゃんと1つの音楽として捉えてくれるリスナーの力があれば、いろんな垣根は壊せると思うんですよ。簡単なことではないとは思うけど、つばさFlyがその担い手になってくれたらいいなと。最近のアイドルってほんとにバカにできないというか、下手なバンドマンよりもよっぽどマジメでストイックだと思うんでね。
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- つばさFly ニューシングル「Ray Of Hope」2016年6月7日発売 / WE LOVE RECORDS
- 「Ray Of Hope」
- 初回A盤[CD+DVD] 1944円 / WLR-1028
- 初回B盤[CD+DVD] 1944円 / WLR-1029
- 通常盤[CD] 1080円 / WLR-1030
初回A盤・初回B盤CD収録曲
- Ray Of Hope
- GLEANING
- タイトル未定
- タイトル未定
通常盤CD収録曲
- Ray Of Hope
- GLEANING
- タイトル未定
- Ray Of Hope -inst-
初回A盤DVD収録内容
- タイトル未定
初回B盤DVD収録内容
- タイトル未定
ライブ情報
つばさFly 全国ワンマンライブツアー "Shining Road 2016"
- 2016年5月14日(土)大阪府 新神楽
- 2016年5月15日(日)愛知県 DAYTRIVE
- 2016年5月21日(土)宮城県 PARK SQUARE
- 2016年5月22日(日)岩手県 盛岡club change
- 2016年6月5日(日)群馬県 GUNMA SUNBURST
- 2016年6月12日(日)東京都 下北沢GARDEN
5th Single「Ray Of Hope」予約イベント
- 2016年3月11日(金)東京都 ポニーキャニオン1階イベントスペース
つばさFly(ツバサフライ)
藤井勇綺、相奈まい、宮沢野乃香、鹿木香里、神谷彩乃の5人からなるアイドルグループ。2012年11月にBOAT RACE平和島のイベントステージで活動する“大田区応援アイドル”として結成され、2013年9月より現在の体制となる。2014年1月に初の全国流通シングル「START IN MY DREAM / DON'T WORRY BE ALRIGHT」を発売。同年3月には初のワンマンライブを、10月には初の主催イベント「FLYING FESTIVAL」を開催し大成功を収める。2015年5月には1stフルアルバム「BLACK & WHITE」をリリースし、これを記念した初のワンマンツアーも開催。2016年6月にはニューシングル「Ray Of Hope」を発表し、このリリースと前後した全国ワンマンツアーも行う。
野田剛史(ノダツヨシ)
1999年6月にWRONG SCALEを結成し、ベースボーカルを担当。2009年2月に解散する。同年12月にはivory7 chordを結成しベースボーカルを担当。翌2010年12月に脱退した。2012年頃からはemberのベーシストとして活動し、PIZZA OF DEATH RECORDSよりアルバムをリリース。2014年6月に新木場スタジオコーストにてWRONG SCALEが再結成し、限定期間ながらライブ活動などを展開した。そのほかさまざまなアーティストのサポートや楽曲提供など、多方面で活躍している。
原昌和(ハラマサカズ)
the band apartのベーシスト。1998年にバンドを結成し、2003年に1stアルバム「K.AND HIS BIKE」をリリースする。最新アルバムは2015年1月リリースの「謎のオープンワールド」。2015年には増渕謙司(G / SCAFULL KING、FRONTIER BACKYARD)、George(Piano / MOP of HEAD)、櫛引彩香(Vo)、山崎麻由美(Vo)とともに新バンド・MINEを結成。このほか坂本真綾への楽曲提供など、多方面で活躍している。