TRiDENT「BLUE DAWN」|マイファスNob提供曲でメジャーデビュー!新進気鋭のガールズバンドが鳴らす希望の音 (2/2)

“一番の目標”が早くも叶ってしまった

──10月より放送中のテレビアニメ「ポーション、わが身を助ける」でTRiDENTがオープン / エンド両方を手がけるという、新人バンドとしては破格のタイアップも話題です。

NAGISA もう、最初に聞いたときはびっくりで……!

SERINA 大感謝ですね。

ASAKA まずは「ありがとうございます」という気持ちしかないです。「いつかアニソンをやりたい」というのが、バンド人生における一番の目標といっても過言ではなかったので。

SERINA “一番の目標”が早くも叶ってしまったという(笑)。

──しかもオープニングが1991年にリリースされた、すかんちの「恋のマジックポーション」のカバーというのがまた……おそらく世代的に、皆さんにはなじみのない曲かと思いますが。

SERINA そうですね。存じ上げてはいなかったんですけど、私たちのお客さんの間ではすごく愛されている曲で、アニメにも私たちにもぴったりやなって。

ASAKA とはいえ歌メロには“ROLLYさん節”がすごくあるので、どう自分たち流に消化するのかがすごく難しくて。いろんな方にアドバイスをもらいながら、ボーカル録りはなんとかがんばりました(笑)。

TRiDENT

TRiDENT

──しかもこれ、原曲キーのまま歌っていますよね。

ASAKA そうなんですよ! 今まで歌ったことないような音域がずっと続くので、これまたバンドに新たな幅をもたらしてくれたなと思いますね。

SERINA キーをASAKAに合わせて上げるべきかどうかは、けっこう迷ったんですよ。

ASAKA 迷ったんですけど、リアルタイムですかんちさんを聴いてきた世代の方々にはすごく思い入れの強い1曲なので、極力印象を変えたくなかったんです。キーが違うと、どうしても曲の印象ってガラッと変わってしまうので。

──イントロのギターリフが6弦開放を使うフレーズですよね。キーを変えることで、それがまったく違う響きになってしまうのを避けたかった?

ASAKA それもありますね。例えば5弦のAで弾いたりしたら、全然違う曲になっちゃう。

──つまり「ギター優先でボーカルのキーは二の次」という、バンド的な発想に基づく判断であると。

ASAKA はい、そういうことにしておいてください(笑)。

──エンディングの「MIRACRAID」は、「恋のマジックポーション」と同様に“音は激しいけどメロ感はかわいい曲”で、いい相似形をなしていますね。

ASAKA これはバンド初のNAGISA作曲で。

NAGISA 初めてやらせていただきました。まず「ポーション、わが身を助ける」の原作を読ませていただいて、内容的にはけっこうハードなんですけど絵柄はかわいい作品だったので、メロディはかわいい感じにしたくて。「王道J-POPのメロディを自分が作ったらどんなふうになるんだろう?」というイメージで作っていきました。

ASAKA 私も同じく原作をひと通り読ませていただいて、主人公のカエデちゃんの「なんとかなるか」精神で困難を乗り越えていく姿を歌詞に落とし込んでみました。

NAGISA 作曲段階ではもっとかわいい曲になると思ってたんですけど(笑)、編曲家の方がとんでもなくドラマチックに仕上げてくださって。その壮大な感じが、いい感じにアニメにマッチしたなと思っています。

実は一番実力がバレやすい2ビート

──EPの2曲目「NEW ERA」に関しては、どんなふうに作っていったんですか?

ASAKA メジャー1発目ということで、今作にはTRiDENTの新たな一面をいろいろ詰め込んでいるんですけど、その中に“いつもの私たち”も入れておきたかったんです。これまでのリード曲は堀江晶太さんにアレンジしていただくことが多かったので、堀江さんも含めたおなじみの顔ぶれで制作しました。今まで応援してきてくれたファンの方が求めているであろう、いつものTRiDENT……“実家”みたいな立ち位置の曲、って感じです(笑)。

SERINA 堀江さんは毎回、私に試練を与えてくれるんです(笑)。すぐには弾きこなせないような過酷なベースパートをいつも作ってくれて。一度弾けるようになっちゃえば弾きやすくてカッコいいフレーズになってるんですけど、弾けるようになるまでがすごく大変で……そこはやっぱり堀江さんご自身がベーシストなので、ポイントをよくわかってらっしゃるんですよね。今回は今までで一番レコーディングに時間がかかりました。その分、カッコいいベースラインになっているので、音源でもライブでもぜひ注目していただきたいです。

NAGISA ドラムもそうで、堀江さんのアレンジってライブですごく映えるんですよ。「NEW ERA」でいうとサビ前でシングルストロークが延々続くところがあって、決まるとめちゃくちゃカッコいいんですけど、演奏するのはかなりしんどくて(笑)。ライブまでにはしっかり決められるように準備していきたいです。

──堀江さんの遠慮がどんどんなくなってきているわけですね。

ASAKA そうですね(笑)。

SERINA 私たちの実力を信頼してくれているがゆえの遠慮のなさですね(笑)。到底無理なことは要求してこないんですよ。ちょうど手が届かないくらいのものをいつもうまい具合に提示してくださるので、すごくありがたいです。いい師匠です。

──そしてEPにはもう1曲、「カントリー・ロード」のカバーも収録されています。

NAGISA 「恋のマジックポーション」が入るということもあって、もう1曲カバーを入れたいねって話になって。

ASAKA みんなが大好きなアニメにまつわる曲がいいかな、と話し合った結果……。

NAGISA 3人ともにちゃんと思い入れのある大好きな曲ということで、共通するのが「カントリー・ロード」だった。

SERINA すごくいい曲だし、誰もが知っているので、これを自分たちの曲として出せるのは光栄に思っています。

NAGISA アレンジの基本的なアイデアはASAKAが考えてきて……。

ASAKA コツコツと2ビートをDAWで打ち込みました(笑)。「ここは8ビートにして、ここはハーフで」みたいな感じで。

NAGISA こういう“ザ・2ビート”みたいな感じの曲も意外とやってきていなかったので、自分はこの曲が一番苦戦しました。2ビートって勢い任せなイメージもあると思うんですけど、実は一番実力がバレやすいビートなんですよ。本当にうまくやらないとグルーヴが出ない。

SERINA ベースも同じくですね。2ビートのベースって意外とめちゃくちゃ難しくて……しかもサビとかはコーラスを歌いながらなんで、わけがわからなくなる(笑)。

ASAKA とにかくテンポが速いのでギターもずっと忙しいんですけど、歌メロ自体は朗々としていてメロディアスだから、手元と口元のギャップが……辻褄が合わなくて(笑)。そこの塩梅は今でもまだ練習中です。

SERINA 最後にシンガロングのパートを付けたりして、ライブを想定したアレンジになっているので、ライブで演奏したら盛り上がると思います。そこはすごく楽しみです!

TRiDENT

TRiDENT

武道館を無理やり通過点にしちゃう、という考え方

──全5曲がものすごくバラバラなEPで……。

一同 確かに(笑)。

──それでこれだけまとまっているのもすごいですよね。ちゃんと一貫して「初めまして、これがTRiDENTです!」というEPになっている。

ASAKA 私たちとしても、こんなにバラバラなジャンルを1枚にしたのは初めてです。メジャー1発目のタイミングで、本当にいろんな私たちを見てもらえる1枚になったなと思っています。

NAGISA バンドとして譲れないところは確固としてありつつ、「なんでもやってみる」精神ももちろんあるので。「まだこんな一面があったんだな」と、自分たちでも新しい発見がたくさんありました。

SERINA 今までのTRiDENTは本当にロック一色という感じでやってきましたけど、今回初めてカバー曲を入れたりもして。メジャーというタイミングで、今まで全然私たちのことを知らなかった方々にも届いてほしいという思いが強いですし、それができる力を持った1枚になっています。

──確実に間口は広げていつつも、大衆に媚びている感じがまったくないのもいいですよね。この作品を聴いて「メジャーに屈したか!」と思うファンはいないんじゃないでしょうか。

NAGISA ありがとうございます!

SERINA ポップな曲をやっていても、相変わらずリズム隊はめちゃくちゃなことをやっていますし(笑)。

ASAKA あははは。

──さて、メジャーデビューを果たしたTRiDENTは、今後どんなところを目指していくのでしょうか?

NAGISA ライブでずっと言っているのは、「目標は東京ドーム」という……。

──東京ドームなんですね。最初は「日本武道館」と言うバンドが多いですけども。

ASAKA 前身バンドのときは「武道館」と言ってたんです。でも、目標をそこにしているうちはたどり着けなさそうな気がしてきちゃったんですよ。なので、一番でかい「東京ドーム」と言っておけば、武道館にはスッと行けそうじゃないですか?(笑)

SERINA 無理やり通過点にしちゃう、という考え方です(笑)。

──なるほど(笑)。

NAGISA あとはやっぱり、具体的な目標をハッキリ言葉にすることでファンの皆さんも「一緒にがんばろう」という気持ちになってくれるので。同じ目標へ向かって、私たちが先陣を切って走っていきたいなと思っています。

SERINA 今回アニメタイアップをいただけたのは、海外の方からも注目していただけるチャンスだと思っていて。日本が誇る文化であるアニメを背負って、海外にも進出していきたいですね。

──なんなら「海外でブレイクする」を目標に掲げておいて、東京ドームすら通過点にしちゃうのもいいかもしれません。

ASAKANAGISA 確かに!(笑)

SERINA そのぐらいの勢いで行きたいですね!

TRiDENT

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プロフィール

TRiDENT(トライデント)

同じ高校の軽音楽部に所属していたASAKA(Vo, G)とSERINA(B, Cho)によって結成。2020年5月にサポートメンバーにNAGISA(Dr)を迎え、バンド名を“TRiDENT”に改名した。同年12月にNAGISAが正式加入。改名後に公開した初のミュージックビデオ「Continue」は、インディーズながらYouTubeにてわずか3カ月で100万回再生を突破した。2025年9月放送開始のテレビアニメ「ポーション、わが身を助ける」のオープニングテーマとエンディングテーマを両方担当。11月に新作EP「BLUE DAWN」をリリースし、キングレコードからメジャーデビューを果たした。