當山みれい|素直な気持ちを名曲のアンサーソングに乗せて

當山みれいが2ndアルバム「Answer」を8月29日にリリースした。この作品には、清水翔太「My Boo」やKREVA「音色」などの名曲に當山が独自の解釈を加えてアレンジしたカバー曲がアンサーソングとして収録されている。今回のインタビューでは、彼女がアンサーソングという形で曲作りをした理由、そして「Answer」と銘打たれたこのアルバムで伝えたいことを聞いた。

取材・文 / 宮崎敬太 撮影 / 藤井拓

誰かの力になれる曲を歌いたい

──「Answer」はどんなアルバムになったと思いますか?

當山みれい

今回のアルバムはどうやったら自分の曲をいろんな人に聴いてもらえるのか、すごく考えて作った作品だと思います。1stアルバム「My Way」(2016年7月発売)が生まれたばかりのひよこみたいな感じだとしたら、「Answer」はようやく歩き始めた感じ。もっともっと大きなステージに立ちたいというちゃんとした目標が自分の中にできたので、それに向かっていく過程のアルバムですね。

──デビューからの5年間でどんなことを経験しましたか?

自分にとって「音楽をやる人=テレビ出てる人」だったんです。あと洋楽が好きだったから、音楽をやる人はみんなワールドツアーをやるものだとも思ってた。デビュー当時は夏フェスや、清水翔太さんのワンマンに出させていただいたけど、当時はそれが当たり前と言うか、歌手の活動はそういうものだと思ってました。でも、それは完全に間違ってた。2016年に1stアルバムを出したあと、ショッピングモールでリリースイベントをしたんですよ。そこにたまたま椅子があったから座ってるようなおじいさんおばあさんの前で歌いました。自分に全然興味がない人たちを振り向かせるのはすごく大変でした。本当に恥ずかしいけど、デビュー当時の自分がどれだけ恵まれていたのか、そのとき初めて気付いたんです。でも「あなたの曲を聴いて子供が喜んだから」って、通りすがりの人がCDを買ってくれたこともあったんですよ。そのとき「自分の曲が誰かの力になれるかも」って実感できた。これをもっともっと増やしていきたいって。そこから本当に必死でがんばりました。ツアーでもいろんな経験をして、それをどうやって自分の創作につなげようか考えてるときに、アンサーソングというアイデアを思い付いたんです。

着うた時代の楽曲から選曲

──今回のアルバムには、清水翔太「My Boo」やKREVA「音色」、Aqua Timez「等身大のラブソング」などの人気曲に當山さんの解釈を加えたカバー曲がアンサーソングとして収録されていますね。

清水翔太さんの「My Boo」は比較的最近の曲ですけど、基本的にちょっと前の“着うた”が全盛期だった2000年代に流行った曲を選んでるんです。実は私も“着うた”を少し通ってるんですよ。子供の頃からダンスを習ってて、スタジオにはたくさん年上のお姉さんがいました。当時の私は生意気でお姉さんたちと混ざりたかったから、ちょっと背伸びして“着うた”を使ってたんです。私は当時の曲ってすごくロマンチックだと思う。だからその感覚を、自分なりに伝えてみたいと思ったんですよ。それがアンサーソングの始まりですね。

──當山さんにとって着うた時代の曲はロマンチックに感じるんですね? 20歳の感覚だと「古い」とか思ったりしないんですか?

當山みれい

いやいや全然。例えば、“着うた”時代にデビューされた西野カナさんや加藤ミリヤさんの歌には、恋愛のディテールが日記のように詰まってて、聴いてるこっちもニヤついたり切なくなってしまうんですよ。そういうのって、あの時代特有のもののような気がします。ハッピーな恋愛の歌で「私、今浮かれてます!」っていう状態をあんなに言葉にしてる歌は、最近あまりない。素直さの表現方法が違うと言うか。最近は、自分の中にうずまくブラックな部分を刺激的な言葉で吐き出すものが多いという印象で。でも私は素直さや正直さってそれだけじゃないと思う。もちろん誰しも心の中にいろんな思いがあるけど、暗い気持ちと同時に、ロマンチックでハッピーな気持ちも絶対にある。だから、私は聴いてるだけで幸せになれるような素直さを歌おうと思ったんです。

──確かに人間には、暗い気持ちも明るい気持ちも、どっちも普通にありますもんね。暗くイラついてるときもあれば、ハッピーで浮ついてるときもあって、それがどっちも素直な状態だというのはすごく納得できます。

今回カバーした童子-Tさんの「願い」は別れの曲なのに、ネガティブな表現が全然ないんですよ。素敵な思い出を歌ってる。「今は離ればなれになったけど、あなたのことを嫌いになったわけでも、全否定しようとも思わないし、むしろ受け入れていくから」みたいな。それって超強いと思う。実際の私はそんなふうに思えないけど、こういうことを言いたかったんですよね。最近はそういうことを歌にしてる人が少ないと思うんですけど、私は聴いて元気になれる曲を書きたいんです。

當山みれい「Answer」
2018年8月29日発売 / Sony Music Records
當山みれい「Answer」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
3900円 / SRCL-9811~2

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當山みれい「Answer」通常盤

通常盤 [CD]
3300円 / SRCL-9813

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CD収録曲
  1. Dear My Boo
  2. P.S. 等身大のラブソング
  3. Lie
  4. Tiger
  5. 君のとなり
  6. 音色 Regards
  7. 願い ~あの頃のキミへ~
  8. Missing You
  9. キミの好きなうた
  10. The Answer
初回限定盤DVD収録内容
  • 君のとなり -Music Video-
  • 願い ~あの頃のキミへ~ -Music Video-
  • Missing You -Music Video-
  • Dear My Boo -Music Video-
當山みれい(トウヤマミレイ)
當山みれい
1998年大阪生まれの“ダンサーソングライター”。中学1年生でアメリカ・ニューヨークのライブハウスのオープンマイクに出場し大喝采を浴びる。その後中学2年生でニューヨークへ留学。全米トップの名門ゴスペルグループ「Gospel For Teens」に所属し、アジア人として異例のリードボーカルに抜擢される。2013年6月にはシングル「TATTOO」で全米デビューを果たした。躍動感あふれるダンスパフォーマンスとゴスペル仕込みのソウルフルな歌声により注目を集め、日本でもデビュー前から童子-Tのアルバム「T's MUSIC」やDJ和のコンピレーションアルバム「A Girl↑↑」に参加。2014年6月に両A面シングル「Fallin' Out / I Wanna NO feat. SHUN」にて待望の日本デビューを果たす。2016年7月に1stアルバム「My Way」を発売。2017年7月に童子-T「願い feat. YU-A」のアンサーソング「願い~あの頃のキミへ~」を含むCD「願い E.P.」、2018年3月に清水翔太の楽曲「My Boo」のアンサーソング「Dear My Boo」をリリースする。8月に、アンサーソングを多数収録したアルバム「Answer」を発表した。