今年アーティストデビュー10周年を迎えた戸松遥が、9月5日にニューシングル「TRY & JOY」をリリースする。
5月にアルバム「COLORFUL GIFT」をリリースし、現在全国ツアー「LAWSON presents 戸松遥 5th Live tour 2018 ~COLORFUL GIFT to YOU~」を行っている戸松。今回彼女が“10周年記念シングル”と銘打ってリリースするシングルの表題曲はアップテンポでキャッチーな楽曲でありながら、これまでにないノスタルジックなテイストのサウンドが取り入れられている。さらにカップリング曲「グラデーション」はシャッフルビートが印象的なR&Bナンバーだ。彼女が10周年という大切なタイミングで発表するこれらの楽曲は、どのように制作されたのか? ファイナルの中野サンプラザホール2DAYSを目前にしたツアーの手応え、そして来年2月に再始動するスフィアについても話を聞いた。
取材・文 / 須藤輝
自分の歌が誰かの力になれる
──アーティストデビュー10周年おめでとうございます。
ありがとうございます!
──戸松さんは前回のインタビューで、デビュー5周年には気付かなかったけれど、10周年には自覚的だったとおっしゃっていました(参照:戸松遥「COLORFUL GIFT」インタビュー)。同じ節目の年でも、やはり10周年は重みが違いますか?
5周年は、あっと言う間すぎて忘れていたんですよ。何をするにしても初めての挑戦でしたし、不安だらけでもあったので。でも、6年目以降はだんだん自分の中で声優業とアーティスト業の両立というものが馴染んできたと言うか、落ち着いて自分自身を見つめられる余裕が出てきたんです。だからこそ今年が10周年だということも自覚していたし、「このタイミングで何かやりたい!」とも思っていました。実際、年始からことあるごとに「私、今年で10周年なので」と自分から主張してましたから。
──この10年間で、ボーカリストとしての変化はあります?
一番大きいのは、自信がついたことですかね。デビュー当時は人前で歌を歌うことにもすごく抵抗があったし、正直、自分の歌に商品価値はないと思っていたんです。「これを聴いて誰がいいと思うんだ?」って。
──いや、とてもいいですよ。
ありがとうございます。今だったらそうやって褒めていただけたときに「でしょ?」くらい言えるんですけど(笑)。それは歌唱力がどうこうという話ではなくて。例えばファンの方から「落ち込んでるときに戸松さんの曲を聴いて救われました」とか「いつも元気をもらってます」みたいなお手紙をいただいたりするうちに、自分の歌が誰かの力になれるんだということを実感して、歌を歌うことが楽しいと思うようになっていったんです。
──それは具体的にいつ頃からですか?
心からそう思えるようになったのは、ここ2、3年ですね。それ以前は「みんなの期待に応えなきゃ」とか勝手にプレッシャーをかけてる自分がいたんですけど、たぶん私のお客さんって、本気で楽しんでいる私を見るのが好きなのかなって。
──それは当たっていると思います。
だったら、まず自分自身が楽しまなきゃダメですよね。特にライブにおいては。そのライブも、今ちょうど5回目のツアー(「LAWSON presents 戸松遥 5th Live tour 2018 ~COLORFUL GIFT to YOU~」)の最中なんですけど、ツアーのたびに必ず何か発見があるし、「次はこうしたい」というアイデアも湧いてきて。そうやって場数を踏んで、いろんなことをやらせてもらえていることも今の楽しさにつながっていますね。
──「次はこうしたい」と思えるのはいいですね。マンネリ化しませんし。
私が飽き性だからというのもあるんですけど(笑)。同じことはあんまりしたくないと言うか、「どうしたらもっと面白くできるかな」みたいなことを常に考えてるタイプで。あと、自分の歌に満足するということもないんですよね。だから今回のツアーも発見と反省の連続です。
これまで自分が歌ってきた楽曲にはないもの
──そのツアーのお話ものちほどお伺いしたいのですが、まずはニューシングルについて聞かせてください。表題曲「TRY & JOY」は戸松さんらしいアップテンポでキャッチーなナンバーでありながら、今までとは雰囲気が違う部分もありますね。
実は今回のシングルは急遽リリースが決まって、その瞬間から一気にことが動きだしたんですよ。私がしつこく「10周年なので」と言い続けていたのが届いたのか、ある日、ツアーの打ち合わせのあとにプロデューサーから「ちょっと時間ある?」と呼び止められまして。「まずは何も言わずにこれを聴いてほしい」と「TRY & JOY」のデモを流して、「で、戸松はどう思った?」と(笑)。
──唐突ですね。
いきなり「どう?」って言われても……という話なんですけど、率直な感想としては、なんだか懐かしい感じがしたんです。20年くらい前、私が小さい頃に周りで流れていたような音楽みたいと言うか。でも、だからといって古臭いわけじゃない。
──僕の感想も戸松さんに近いかもしれません。要は1990年代的なサウンドを現代にアップデートしたような楽曲だなと。
そうなんです。ただ、世代によって感じ方が違うみたいで、プロデューサーはもう少し前の時代を想定していたらしく、一方で私より下の世代だと「初めて聴くサウンドです」という人もいたり。いずれにしても、この曲のテイストはこれまで自分が歌ってきた楽曲にはないものだし、それを今の私が歌ったらどうなるのか興味があったので「ぜひ歌いたいです」と。
──いわゆるコンペではなく、決め打ちでこの曲だったんですね。
はい。10周年にふさわしい曲をいただけたと思います。
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今の自分を物語るタイトル
- 戸松遥「TRY & JOY」
- 2018年9月5日発売 / ミュージックレイン
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初回限定盤 [CD+DVD]
1850円 / SMCL-557~8 -
通常盤 [CD]
1340円 / SMCL-559
- CD収録曲
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- TRY & JOY
- グラデーション
- TRY & JOY(Instrumental)
- 初回限定盤DVD収録内容
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- TRY & JOY Music Clip
- TRY & JOY TV SPOT 15sec+30sec
- ツアー情報
「LAWSON presents 戸松遥 5th Live tour 2018 ~COLORFUL GIFT to YOU~」
(※終了分は割愛) -
- 2018年9月8日(土) 東京都 中野サンプラザホール
- 2018年9月9日(日) 東京都 中野サンプラザホール
- 戸松遥(トマツハルカ)
- 1990年2月4日、愛知県生まれの声優アーティスト。2005年10月に行われた「第1回ミュージックレインスーパー声優オーディション」の合格をきっかけに声優としての活動をスタート。2008年9月にはシングル「naissance」でソロアーティストとしての活動を始め、2009年2月には同じミュージックレインに所属する寿美菜子、高垣彩陽、豊崎愛生とともに声優ユニット・スフィアを結成した。以降はソロとスフィアを並行して精力的に活動し、CDリリースとライブを重ねる。2016年6月には初のベストアルバム「戸松遥 BEST SELECTION -sunshine-」「戸松遥 BEST SELECTION -starlight-」を2枚同時にリリース。同年8月よりベストアルバムを携えてのライブツアー「LAWSON presents 戸松遥 BEST LIVE TOUR 2016~SunQ&ホシセカイ~」を行った。2018年5月に約3年2カ月ぶりのオリジナルアルバム「COLORFUL GIFT」をリリースする。本作を携えて、7月より東京・中野サンプラザホール2DAYSをファイナルとしたライブツアー「LAWSON presents 戸松遥 5th Live tour 2018 ~COLORFUL GIFT to YOU~」を開催。9月5日にシングル「TRY & JOY」をリリースする。