音楽ナタリー Power Push - トゥライ

20のQ&Aから見えてくる「ブラックボックス」の中身

トゥライがメジャーデビューアルバム「ブラックボックス」をリリースした。

minato名義ではVALSHEのサウンドプロデュースやほかのアーティストへの楽曲提供を行ってきたトゥライ。今作「ブラックボックス」は“何が入ってるか解らない不気味な作品”をテーマに制作されており、「ハルノハテ」「チョコレート・ホリック」といった提供曲のセルフカバーや、トゥライがボカロ曲として発表した「magnet」のセルフカバーなど全11曲が収録されている。

音楽ナタリーではTwitterを通じてファンから寄せられた質問にトゥライが答える特集を企画。Q&A方式で彼のルーツやアルバムに込めた思い、今後の活動についてなどを語ってもらった。

構成・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 上山陽介

ルーツ編

トゥライ

“歌ってみた”を最初に投稿したきっかけは完全にノリというか、遊びだったんです。すでにminatoとしてボーカロイド楽曲を発表していたので、別のアカウントで投稿してちょっと反応が見たかっただけというか……。「再生数100くらいかな」とか思ってたら、結果的にニコニコ動画のランキングに乗るくらい再生されて、すごく驚いた記憶があります。それと今回トゥライとしてこのアルバムを作りたいと思ったのは「単純に自分で歌を歌いたい」「自己表現をしてみたい」という欲求が出てきたからです。もう2年くらい前に構想が持ち上がったんですけど、発表したい曲が1曲じゃなかったから出すのであればアルバムを出すべきだなと考えていました。

ド直球のJ-POPを聴いて育ちました。メロディアスなものが大好きで、すごくオシャレなサウンドよりも大衆的なものが好きでしたね。ちょうど小室さん世代、ビーイング世代だったのでシングルからアルバムまでいっぱい買っていましたね。

うーん……、僕は自分が共感した曲じゃないと歌わないのでどれも思い出深いんですけど、強いて上げるなら5年くらい前に歌った「magnet」。僕はずっと自分で作った曲は歌わないって言ってたんですけど「magnet」の発表1周年のときに「歌ってみれば」と友人から薦めてもらって、歌ってみたんです。結果それが今につながっているので、初めてという意味でも印象深いですね。

トゥライ

音楽が好きなことには変わりがないので、結局は同じような仕事をしている、目指していると思います。すでに僕はサウンドプロデュースだったり、楽曲提供だったりいろんなことをやらせてもらってますが、今だからこういう手段で音楽に携わっているというだけで。きっかけが違えば別のアプローチで活動していたんじゃないでしょうか。

メロディアスな曲が大好きなので、まずキャッチーであること。覚えやすいメロディ、気持ちのよいメロディであることが一番だと思っています。基本的に曲の核となるサビから作り始めて、そこから広げるように作ることが多いですね。あと歌詞にもこだわっていて、今回のアルバムではあまり小難しい比喩表現をなるべく使わずにストレートなフレーズを入れようと意識しました。言葉選びも大事にしています。

メジャーデビューアルバム「ブラックボックス」 / 2015年11月11日発売 / Being
初回限定盤 [CD+DVD] 3500円 / JBCZ-9021
通常盤 [CD] 2800円 / JBCZ-9022
CD収録曲
  1. ブラックボックス
  2. 求めた忘却
  3. 全心麻酔
  4. ハルノハテ
  5. アイ
  6. パンドラ
  7. 数センチの隙間
  8. チョコレート・ホリック
  9. スプーンと波紋
  10. もうひとりの僕へ
  11. magnet-repeat over again-
初回限定盤DVD収録内容
  • 「ブラックボックス」MUSIC VIDEO
  • メイキング
トゥライ
トゥライ

男性シンガー、サウンドプロデューサー。2008年よりminatoとしてVOCALOIDを使用した楽曲をニコニコ動画に投稿。このほかトゥライとして“歌ってみた”動画を投稿していた。2010年にボーカリストとしての活動を停止し、サウンドプロデュースや楽曲提供の仕事に活動の軸足を移す。2015年11月にアルバム「ブラック・ボックス」をリリースしメジャーデビュー。2016年からは自身がサウンドプロデュースを手掛けるVALSHEとのユニット・ViCTiMに、minatoとして参加することを発表している。