8月17、18日に東京・ザ・プリンス パークタワー東京でライブイベント「TOKYO MUSIC CRUISE 2018」が開催される。
2015年に初開催され、今年で4度目の開催となる「TOKYO MUSIC CRUISE」。ザ・プリンス パークタワー東京のバンケットホールやチャペルなどを利用して行われるこのイベントには土岐麻子、黒沢薫(ゴスペラーズ)、JiLL-Decoy association、I Don't Like Mondays.、さかいゆう、BRADIOといった30組以上のアーティストが出演する。音楽ナタリーではイベント出演経験のある土岐、黒沢、chihiRo(JiLL-Decoy association)の3人にインタビューを実施し、ホテルを舞台に開催される「TOKYO MUSIC CRUISE」の魅力を語ってもらった。
取材・文 / 北野創 撮影 / moco.(kilioffice)
汗をかかない夏の大人イベント
──本日は皆さんに「TOKYO MUSIC CRUISE」というライブイベントの魅力をお伺いできればと思います。
黒沢薫(ゴスペラーズ) そもそもこの3人で改まったお話をするのは、今回が初めてなんですよね。もちろんそれぞれ知り合いではありますけど。
土岐麻子 確かに。以前、黒沢さんのお家のカレーパーティにお招きいただいたことはありましたけど、食べ物とかお酒がないところでお話したことはないかもしれません(笑)。
chihiRo(JiLL-Decoy association) 私も、皆さんとこうしてゆっくりお話するのは今回が初めてですね。
──「TOKYO MUSIC CRUISE」は、ザ・プリンス パークタワー東京を会場に行われるイベントです。さまざまなイベント出演経験のある皆さんから見て、ホテルを会場にした「TOKYO MUSIC CRUISE」の特徴はどんなところにあると感じていますか?
土岐 私、「TOKYO MUSIC CRUISE」には2015年の第1回から毎年出演させていただいてるんです。「ボールルーム」というバンケットホールを使った大きいステージにはシャンデリアが備え付けられてたり、床や廊下に絨毯が敷いてあったりして、こんなにラグジュアリーな空間でのライブイベントはとても珍しいですね。
黒沢 要は“ラグジュアリーな夏フェス”と呼べるイベントだと思うんだけど、虫に刺されないし、暑さ対策もしなくてOK。
土岐 「汗をかかない夏の大人イベント」という感じで、快適度がすごいんですよ。それと会場の天井が高いので音の響きも素敵で、いわゆるホールやライブハウスとは違ったリバーブを体感できますし、そういう意味では、出演する側もお客さんも、いつもよりちょっと気持ちのアガる雰囲気があるんです。ホテルでのライブなのでお洒落もできますし、“ピンヒールを履いて行ける夏フェス”はここしかないんじゃないかと思います。
chihiRo 出演者の視点の話になってしまうんですけど、楽屋もすごく楽しいんですよ。会場が一流のホテルなので、スタッフさんのホスピタリティは素晴らしいですし、お料理もおいしい。去年私はイベントの司会をさせていただいたので、あまり楽屋でゆっくりはできなかったんですが、空いた時間に覗くと皆さん本当に楽しそうなんです。楽屋での楽しい雰囲気ってステージにも表れると思いますし、皆さん楽屋で楽しんだ分、ステージ上のパフォーマンスも気合いが入っているようで。皆さん本当にプロだなあと思いました。
土岐 chihiRoさんもそのプロの一員じゃないですか(笑)。
黒沢 僕はお二人ほど何度も出演していないんだけど、2016年に行われた第2回に出させていただいて。このイベントを知ったきっかけが土岐さんのSNSでの投稿だったんですよ。「何これ!? すごく楽しそう!」と思って、実は自分から出演のアプローチをしたんです(笑)。僕、ゴスペラーズでは“自分たちが皆さんに会いに行く”というスタンスで活動しているんですけど、ソロとしては少し偉そうな言い方をすると “皆さんに来ていただく”というスタンスで活動していて。具体的には非日常的な場を体験していただきたくて、ジャズクラブでのライブがメインなんですけど、僕のソロのスタンスにも「TOKYO MUSIC CRUISE」はピッタリ合ってるんですよね。しかも出演者同士も気心が知れた方々ばかりで、楽屋もすごく楽しそうだし(笑)。
──実際にイベントに出演してみて、いかがでしたか?
黒沢 まずはどんなイベントなのかちゃんと知りたかったので、自分の出番の直前までステージを観て回ったんですよ。それこそプリンス芝公園の野外ステージも、ラウンジ奥のステージ「メロディーライン」も含め、ライブレポートを書けるぐらい観ました(笑)。出演者の皆さんの衣装がいつもより気合いが入っていると感じましたし、お客さんもピンヒールで来られている方がいて、これはザ・プリンス パークタワー東京じゃないと実現できないイベントだと思って感心しました。ずっと歩いてたから、自分のステージが終わったあとはもうクタクタでしたけど(笑)。
ホテルって実はフェス向きな場所
──ほかの夏フェスと比べて来場者の年齢層も少し高めな印象を受けました。
黒沢 やっぱり少し大人の方が多いですね。ただチケット代も一般的なフェスと同じか、むしろそれよりも抑えめな価格帯なんですよ。なので若い世代の方も気軽に来れるんじゃないかなと思うんです。
土岐 家族連れでいらっしゃる方もいますね。パリッとしたワンピースを着たお子さんを連れて、ご家族でお洒落していらっしゃる方も多かったと思います。chihiRoちゃんは初出演のときは妊婦さんだったしね。
chihiRo そうなんです。次の年は産まれた子供を連れてきて。
土岐 快適な環境だから子供がいても大丈夫なんですよ。
黒沢 それと単純にほかの出演者がクールなので、出演者側もみんなステージを観てるよね。僕は観すぎたほうだと思うけど(笑)。
土岐 一昨年のイベントで言うと、黒沢さんとさかいゆうくんのステージをよく覚えています。
黒沢 さかいくんはけっこうアゲアゲでした(笑)。
chihiRo 楽屋で突然「最後にみんなで歌おうよ」と提案してましたね。「『上を向いて歩こう』ならみんな歌えるよね?」って。
黒沢 そうそう。「お前、急に何を言うんだ!?」と思って(笑)。そういうことは早めに言っとくものなのに。でもそういうことが気軽に言えるくらい、アーティスト同士がコミュニケーションを取ることができて、楽屋は本当に楽しいですね。
──会場には「ボールルーム」「メロディーライン」「森のチャペル」「プリンス芝公園」「スカイチャペル」といったそれぞれ雰囲気の異なるステージが用意されています。
黒沢 なんせフェスですからね。最初は「ホテルでフェスってどうやるんだろう?」と思ったんだけど、パークタワーでのイベントを観て、「1つの施設の中でこんなに多彩なステージが作れるのか」と驚きまして。ホテルって実はフェス向きな場所なのかなと思いました。
土岐 そういえば芝公園のステージはまだ観たことないんですけど、どんな感じなんですか?
黒沢 ちょっとした屋根があるだけの野外ステージで、基本的にアコースティックセットのライブが行われている感じかな。お客さんは芝生に寝っ転がりながらライブを観ることができるんです。夕日の時間は景色も素敵だし、子供たちも遊べるから、すごくいいよ。
土岐 フェス感があっていいですね。素敵だなあ。
黒沢 僕が観たときは竹のオブジェが飾ってあって、すごく素敵な空間でした。このフェスは“インスタ映え”もすごいんですね(笑)。
土岐 私は1年目にスカイチャペル(宿泊プラン限定の深夜ステージ)でライブをしたんですけど、ライトアップされた東京タワーがすぐ目の前にあるシチュエーションなんですよ。今年はスカイチャペルで私とアン・サリーさん、畠山美由紀さんの3人でライブをするので、ぜひこちらも観ていただきたいです。それこそインスタ映えすると思います(笑)。
chihiRo スカイチャペルは宿泊者限定だから、みんな帰る必要もないし、すごくリラックスしてるんですよね。ライブが終わったあとはもうホテルの部屋で寝るだけなので。
黒沢 僕が観たときは澤田かおりちゃんがライブをしてましたね。そのときも隣にテンション高めのさかいくんがいて(笑)。
土岐 出演者の方々がすごく素敵ですよね。私、澤田かおりさんとこのイベントで初めてご一緒したんですけど、「TOKYO MUSIC CRUISE」がきっかけでその方の音楽を知ることも多くて。いつも気になる方が出てる印象があります。
黒沢 ミュージシャンもすごい人たちばかりが出てますね。
土岐 ラインナップのセレクトに、選んでる人の趣味が見えるんですよね。毎年楽しみにしてます。
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アゲアゲなセットリストじゃなくても成立する空間
- TOKYO MUSIC CRUISE 2018
- 2018年8月17日(金)
東京都 ザ・プリンス パークタワー東京 -
- 出演者
-
- ボールルーム
Unlimited tone / 黒沢薫(guest:竹本健一) / 土岐麻子 / bird / paris match / PUSHIM - メロディーライン
JiLL-Decoy association / Hanah Spring / fox capture plan / ミトジョンテ(ミトカツユキ×JONTE) - 森のチャペル
澤田かおり - プリンス芝公園
JILLE / JYONGRI / Michael Kaneko / Lisa Halim / 廣田なお(リラックスヨガ) - スカイチャペル
アン・サリー×畠山美由紀×土岐麻子
- ボールルーム
- 2018年8月18日(土)
東京都 ザ・プリンス パークタワー東京 -
- 出演者
-
- ボールルーム
I Don't Like Mondays. / アン・サリー×畠山美由紀 / さかいゆう / 佐藤竹善×露崎春女×鳥山雄司 / 野宮真貴 / BRADIO - メロディーライン
Kan Sano / ジャンク フジヤマ / JiLL-Decoy association / Philip Woo Band & Sowelu - 森のチャペル
JONTE - プリンス芝公園
草ケ谷遥海 / TAKUJI / Takman Rhythm with Mario Takada / 藤崎理映子 / 廣田なお(リラックスヨガ) - スカイチャペル
ミズノマリ(paris match)×JiLL-Decoy DUO×澤田かおり
- ボールルーム
※会場内の「プリンス芝公園」以外は未就学児入場不可のイベントとなります。
- 土岐麻子(トキアサコ)
- 1976年東京生まれ。1997年にCymbalsのリードボーカルとして、インディーズから2枚のミニアルバムを発表する。1999年にはメジャーデビューを果たし、数々の名作を生み出すも、2004年1月のライブをもってバンドは惜しまれつつ解散。同年2月には実父にして日本屈指のサックス奏者・土岐英史との共同プロデュースで初のソロアルバム「STANDARDS ~土岐麻子ジャズを歌う~」をリリースし、ソロ活動をスタートさせた。2014年11月には「STANDARDS」シリーズの最新作となる「STANDARDS in a sentimental mood ~土岐麻子ジャズを歌う~」を発売。2017年7月には土岐自身がセレクトしたベストアルバム「HIGHLIGHT - The Very Best of Toki Asako -」をリリースした。2018年5月に最新アルバム「SAFARI」を発表し、同年7月から9月まで今作を携えた全国ツアー「TOKI ASAKO LIVE 2018 "SAFARI TOUR"」を開催している。
- 黒沢薫(クロサワカオル)
- 1994年に北山陽一、酒井雄二、村上てつや、安岡優と共にボーカルグループ・ゴスペラーズとしてメジャーデビュー。以降、「永遠(とわ)に」「ひとり」「星屑の街」「ミモザ」など、多数のヒット曲を送り出す。2005年にシングル「遠い約束」を発表し、ソロ活動をスタート。これまで2枚のシングル、2枚のアルバムをソロ名義でリリースしている。
- JiLL-Decoy association(ジルデコイアソシエーション)
- chihiRo(Vo)、kubota(G)、towada(Dr)の3人からなるジャズバンド。2002年に結成し、2006年6月にシングル「like ameba」でメジャーデビューを果たした。2013年発売のアルバム「ジルデコ5」は「第55回日本レコード大賞」の優秀アルバム賞を受賞した。2018年5月にはchihiRoとkubotaの2人によるJiLL-Decoy DUO名義でミニアルバム「Zinger」を発表。同年8月には、新作アルバム「ジルデコ8~Golden Ratio~」をリリースする。