1曲目はロックなウエディングソング
──ここからは1stミニアルバム「FOR YOU」について聞かせてください。本作はロックチューン「Last Love」で幕を開けます。
この曲は「結び目」のちょっとあとにできた曲です。もともとはこんなにパンチのある曲ではなかったんです。アコギで作っていたんですけど、最初からブリッジミュートで始まるというのだけは変わっていなくて。私の中ではもともとバンドサウンドのイメージもできていたので、疾走感のあるアレンジになって「イメージと合致した!」と思いました。
──バンド経験が生きているんですね。
確かにアコギを本格的に弾き始めたのはソロになってからだったので、そういうところはあるかもしれないです。いまだにエレキで曲を作ることもあるし。夜中にエレキで作って、スタジオでアコギで鳴らしてみると「なんでこんなコード進行にしたんだろう……腕痛い」みたいなこともよくあって(笑)。
──(笑)。この曲はウエディングソングですが、どういった背景があるんですか?
私、田舎出身っていうのもあって、少し前に周囲の結婚ラッシュが1回来たんです。同級生がポンポンと子供を産んでいって、そのあとには「ケンカした」とか「家を出て行った」「戻って来た」という話も微笑ましいなと思いながら聞いて。そういう周りの話に感化されて、なかなか踏み切らない男性に女性が「早くしておくれ」って言う曲を思い付きました。
──トクヒサさんがウエディングドレスを着てギターをかき鳴らすミュージックビデオも印象的です。
ウエディングドレスを着て、レスポールを弾いて、最後には雨を降らせて……と話だけでもすごくパンチのある感じで(笑)。しかもマネキンに向かって歌うというシュールさもありつつ、曲の趣旨は捉えていて、私としては「なかなか深い」と思うような映像になりました。
──MVの撮影もこれまではメンバーがいたところが、1人になりましたが、それはいかがでした?
最初はガチガチでした。でも監督さんとかに褒めて立ててもらって、最終的には全力でやれました。雨のシーンなんかは最悪で最高ですね(笑)。
「NO REASON」では初めての経験も
──2曲目の「One」は等身大のトクヒサさんの言葉がつづられている印象です。
私としてもこの曲は一番私らしい曲だと思っています。バンド時代に「scarred」という曲を書いたんですけど、あの曲はまだ殻にこもってる状態で、「One」はそこからちょっと扉を開けて書いたみたいな感覚があります。好きなものや大切な人に対して嘘をついたりごまかしたりするのはやめようということを考えながら歌詞を書きました。「壁を超えたい」という思いも込めて。
──ソロに転向して生まれ変わるトクヒサさんの、葛藤のようなものも含まれているのかなと思いました。
それもあるのかも。レコーディングでは思いが強すぎちゃって何度も撮り直しましたし。声が暗くなってしまって。
──それだけご自身の思いをさらけだした曲になったんですね。「NO REASON」は打ち込みのサウンドで、トクヒサさんの新たな一面を感じます。
これはトラックメイカーさんがもともと作っていたトラックに私が歌詞とメロを乗せたという初めての試みで。自分で作曲するときはメロとコードが一緒に出てくるタイプというのもあって、めちゃめちゃ大変でした。コード進行も自分で作ったものじゃないので思った方向にいかないというか。初めて鍵盤を買ってメロを考えたり、本当に挑戦だらけでしたね。
──そうすると歌うのも難しかったのでは?
はい。でもスタッフさんには「声質が合ってるよ」と言われて。キーも無理のないところで、表情が付けやすい曲でした。
「わかる」のひと言がもらえるように
──そのほかトクヒサさんの決意を感じさせる「変わりたい」や、もどかしい恋心を歌った「Your song」と、「FOR YOU」には本当にバラエティ豊かな楽曲がそろいましたね。そんな今作に「FOR YOU」というタイトルを付けたのはどうしてだったんですか?
今作は初めてクラウドファンディングで支援金を募って作ったアルバムで。だから「参加してくれた皆さんへ」という気持ちで、「FOR YOU」と付けました。もちろん参加してない方にも聴いてほしいんですけど今回はその人たちにだけ届けばいいくらいの勢いで作ったところもあって。
──なるほど。とはいえ今後はもっといろんな方に聴いてもらいたいですよね?
もちろん! さっきもお話ししたように、自分がどう見られるかということは取っ払って、とにかく誰かに引っかかってもらえたらと思って、曲調も歌詞のテーマも違う曲を書いたので。「『One』って曲、レナちゃんが作った曲だったんだ」とか「この曲を作った人のことは知らないけど、この曲のあのフレーズいいよね」とかそういうふうに思ってもらえるような曲を書き続ける人でいたいです。
──先ほど、がんばれ!Victoryのときは自分を応援してくれる人がいることがご自身の存在価値になっているとおっしゃっていましたが、今は曲を認められることが存在価値になりつつある?
そうですね。がんばれ!Victoryにはメンバーが5人いたし、いろんなキャッチコピーもあったけど、それがなくなった……というとちょっと違うんですけど、頼れるものがなくなった今はしっかり曲を書いていこうと思っています。
──今回いろいろな曲を書かれていますが、今後はどんなアーティストになっていきたいですか?
「自分が音楽を聴いて救われるなと思う瞬間ってどんなときだろう?」と考えたとき、共感できる音楽を聴いたときだと思ったんです。私はもともと人に喝を入れたり、背中を押すタイプじゃないんですけど、包み隠さず自分をさらけだすことで、誰かの共感を得て、1人でも救えたらいいなと。「わかる」のひと言でいいから、もらえたらうれしいですね。
──4月7日には1stライブがあります。12月のイベントで1曲弾き語りで「結び目」を披露していますが、本格的なライブは初めてですよね。
ソロになってからは初めてです。楽しみもあれば不安もありますけど、精いっぱいやれたらと思います。
──どんなライブになりそうですか?
当日はバンド編成でライブをする予定です。今はセットリストを考えているんですけど、「FOR YOU」の曲が本当にバラバラなのでヤバいなと思っちゃってます(笑)。バンド時代からライブの前には自分の中でシミュレーションするんですけど、今シミュレーションするとプラスなイメージしかないので、当日も楽しい1日になればいいなと思っています。バンドのときからのファンの皆さんはあったかいし、ファンに新しいも古いもないので、がんビクを知らない人も来てくれたらいいなと思います。あと今まではアルバムの制作に精いっぱいだったんですけど、これからはライブもたくさんやっていきたいなと思っているので、気になったらどこかに遊びに来てほしいです。
公演情報
- トクヒサレナ FIRST LIVE~1st Mini Album「FOR YOU」Release Live~
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2019年4月7日(日)
東京都 下北沢CLUB251
OPEN 12:30 / START 13:00
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2019年4月7日(日)
東京都 下北沢CLUB251