ナタリー PowerPush - THE TING TINGS×ねごと
世界的バンドから学ぶ音楽的「地球の歩き方」
野外イベントで雨が降ってきたらすごく燃えた
──フェスでのライブは大変な状況のときもあるんじゃ?
ケイティ そうね。去年の「SUMMER SONIC 2011」は午後に野外ステージでやったんだけど、あまりの暑さに歌うのがやっと、みたいな。
澤村 夏は暑いと、1曲目でもうバテますよね。
蒼山 去年、香川の夏フェスに出たときはすごい雨が降ってきて。もう嵐みたいな感じで、半分濡れながらライブをしたんです。でも逆に、すごく燃えたのを覚えてます。
ケイティ そうね。オーディエンスにはかわいそうだけど、私は雨に降られるのが好きなの。だから野外で雨が降ってきたら、心の中では「やった!」と思いながらやってます。
沙田 ちょっと機材のことが心配になりますけどね(笑)。
ケイティ それと私、大阪の「SUMMER SONIC 2011」で……フライングドッグみたいな、大きな虫がいるじゃない?
澤村 大きな虫?
──なんの虫でしょう? セミかもしれないですね。
ケイティ それにステージ上で追いかけ回されて、転んだことがあるの。
沙田 でも貴重ですよね、そんな姿が観れたなら。ある意味(笑)。
2ndアルバム制作時は外部の人をスタジオに入れちゃダメ
──THE TING TINGSの「SOUNDS FROM NOWHERESVILLE」は4年ぶりのアルバムになるんですが、前作がものすごく支持された分、やはりそのプレッシャーがあったりと自分たちなりの目標を超えるのが大変だったんじゃないかと思います。
ジュールズ 外部からのプレッシャーというよりも、自分たちの内面からのプレッシャーによる葛藤が大きかったね。自分たちに正直なレコードを作りたかったんだけど、それがハードなことだった。最初のアルバム(2008年の「WE STARTED NOTHING」)は「レコードを作る」ということさえ意識しなかったぐらい、どこからともなく生まれたもので、そうしたプレッシャーもなかったんだけど。でも1枚目が成功すると、自分たちがどういうバンドなのかを考えてから取り組まないといけない。そういうプレッシャーをはねのけるのに時間がかかったんだよね。
ケイティ 外部からのプレッシャーをはねのけるために、2枚目を作るときは外部の人をスタジオに入れちゃダメよ(笑)。
──ねごとも2枚目のアルバムにだんだんと向かっていく段階にあると思うんですけど、どうですか?
蒼山 今は新しいことをしてみたい気持ちもあるんです。それと、初めて音源をリリースして1年半ぐらいやってきて、今までのねごととこれからのねごとの……バランスをとるのが難しいときはありますね。
ケイティ なるほどね。私たちはもう、やりたいことしかやらないんです。それがどう捉えられようと、そういう姿勢でやっていくことにしてるんですよね。
蒼山 今お話を聞いていて、結局は自分たち自身との戦いなんだなと、すごく思いました。
ケイティ そうそう。最初に成功するのはとてもラッキーなことだけど、そうしてミュージシャンとして有名になるのは、本当に小さなことなの。それと別に、いい作品を出せるかどうかは、自分自身の問題になってくると思う。
沙田 よくわかります。基本的には、最初は本当に自分のやりたいことをやろうと思って作り始めたんですよね。それが最終的な形で(リスナーにとって)聴きやすいものができていたらいいなと。そう思いながら作っています。
ピラミッドやスフィンクスの上でライブをしたい
──そういえば、ねごとは海外でライブをやってみたいんですよね?
澤村 はい。エジプトでやってみたいです!
ケイティ ワーオ! 私たちは今エージェントにシベリアでライブができないか、そのツテを作ってもらってるところなの。あるバンドが実際にやったみたいで、それがうらやましくなってね。ねごとはつまり、ピラミッドの上でパフォーマンスしたいってこと?
澤村 そうなんですよ! ピラミッドとか、あとは……。
──スフィンクス?
澤村 そうです!
ケイティ 多分私たちのシベリアのライブのほうが早く実現すると思わない? あなたたちがスフィンクスの上でパフォーマンスをするよりも。だってアンプとか機材のせいで何千年かの歴史があるものが損なわれたら大問題じゃない?(笑)
藤咲 あのー、それからTHE TING TINGS のお2人にもぜひ「お口ポカーンフェス?!」に出てほしいんですけど。
ジュールズ 本当に?(笑) じゃあ、こうやって口を開けて止める練習をしとかなきゃね(と、口をあんぐり)。
CD収録曲
- Silence
- Hit Me Down sonny
- Hang It Up
- Give It Back
- Guggenheim
- Soul Killing
- One By One
- Day To Day
- Help
- In Your Life
Bonus Tracks
- We're Not The Same [Japan Only Bonus Track]
- Hands
- Ain't Got Shit
- Give It Back (Demo)
- Silence (Bag Raiders Remix)
- Guggenheim (Got It Right Mix)
- Hang It Up (CKB Remix)
- Hang It Up (Abacus & Vargas 'Predator' Remix)
- Hang It Up (Shook Remix)
- Hang It Up (Vanguard Remix) [Japan Only Bonus Track]
THE TING TINGS(ざてぃんてぃんず)
ケイティ・ホワイト(Vo, G, Bass Dr)とジュールズ・デ・マルティーノ(Dr, Vo)からなるイギリス出身の男女2人組ユニット。自然体でファッショナブルなキャラクターと、クールなDIYスタイルで注目を集め、アメリカとイギリスそれぞれで原盤契約を結ぶ。2008年に1stアルバム「WE STARTED NOTHING」で日本デビュー。本国でも大ヒットしたシングル「Great DJ」はCMやドラマにも多数起用され、大きな話題となった。また、デビューアルバム1枚だけで「SUMMER SONIC」に3度出演という経験を持つ。2012年3月に約4年ぶりとなる2ndアルバム「SOUNDS FROM NOWHERESVILLE」をリリース。
ねごと
蒼山幸子(Vo, Key)、沙田瑞紀(G)、藤咲佑(B)、澤村小夜子(Dr)からなる4人組バンド。高校2年生だった2008年1月に結成し、春に開催された「閃光ライオット2008」に応募。予選を順当に通過し、8月に行われた決勝大会に進出。審査員特別賞を受賞する。同年11月に発売された「閃光ライオット2008」コンピレーションアルバムにも、大会で披露した楽曲「ループ」で参加する。その後勉強に専念するため一時ライブ活動を休止するも、2009年9月に本格活動開始。2010年2月より行っている自主企画「お口ポカーンフェス?!」も毎回好評を博している。2010年9月29日、1stミニアルバム「Hello! “Z”」をKi/oon Recordsよりリリース。2011年3月発表の1stシングル「カロン」はau「LISMO!」のCMソングとしてオンエアされ、幅広い層から注目を集めた。同年7月、初のフルアルバム「ex Negoto」を発売。夏には全国各地の野外フェスに出演し、多くのロックファンから賞賛を浴びた。2012年4月、アニメ「機動戦士ガンダムAGE」アセム編のオープニングテーマに起用されたニューシングル「sharp ♯」をリリース。