ナタリー PowerPush - のび太(WHITE ASH)×田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)

the pillowsを語る

さわおさんから「何かやってほしい曲ある?」ってメールが来て

のび太 僕らが初めてさわおさんにお会いしたのは、新宿のライブハウスだったんですよ。さわおさんはほかのバンドを観に来てたらしいんですけど、「めっちゃ挨拶したい!」と思って。

──バンド名(WHITE ASH)がピロウズの曲名ですから。ちゃんと挨拶したほうがいいですよね(笑)。

のび太

のび太 そうそう(笑)。で、さわおさんのところに駆け寄って、「WHITE ASHっていうバンドをやってます。ピロウズが大好きで、バンド名もそうですけど、ライブの登場SEも『White Ash』を使わせてもらってます」って言って。そこから交流が始まったんですけど、去年の2月にバレンタインのコンセプトCD(「Would You Be My Valentine?」)を出したときも「すごいよかったよ」っていうメールをいただいたんですよ。すごいうれしかったし、僕らみたいな若手のバンドもホントに聴いてくれてるんだなって。

田淵 俺は最初、全然会話できなかったですね。初めて会ったのは「DELICIOUS BUMP SHOW!!」(the pillows主催イベント)のときだったんですけど、まったく記憶がなくて……。今もロクに話せないですけどね。

──でも、対バンしたこともありますよね?

田淵 自主企画ライブ(2012年2月に行われた「UNISON SQUARE GARDEN presents “fun time HOLIDAY 4”」)に呼ばせてもらったんですよ。ライブのひと月前くらいにさわおさんから「何かやってほしい曲ある?」ってメールが来て。「うわ、参ったな」と思いながら、ウワーッと書いて送ったら……。

──田淵さんのリクエストにかなり応えてましたよね、あのとき。

田淵 ピロウズはちょうど「トライアル」(2012年)が出たばかりだったんですけど、(収録曲の)「エネルギヤ」と「トライアル」以外は全部僕が「やってほしい」って言った曲だったんですよね。第2期の「NAKED SHUFFLE」もセットリストに入ってて、すごく驚いた覚えがあります。

のび太 すごいな。

「これは1曲目だな」

──今回のトリビュートに参加するとき、選曲には迷いませんでしたか?

田淵 15周年のトリビュート(2004年発売「シンクロナイズド・ロッカーズ」)が出てたとき、「俺がやるんだったら何かな?」って考えてたんですよ。そのときは「UNISON SQUARE GARDENでプロになる」みたいな気持ちは全然なかったんですけど、そういうことを考えるのは楽しいじゃないですか。そのとき考えたリストから、斎藤くんに合いそうで、アレンジして面白い曲を選びました。欲を言えば、1曲目が取りたかったんですけどね。「Fool on the planet」はアルバム(「Fool on the planet」)の1曲目だし、ピロウズにとってもメモリアルな曲だと思ったから。

田淵智也

のび太 「1曲目にしてほしい」って言ったんですか?

田淵 言ってない。

のび太 実はですねえ……。

──もしかしてのび太さん、「1曲目にしてほしい」って言ったんですか?

のび太 はい(笑)。トリビュートアルバムの中で「バンド名と曲名が一緒」って、そんな面白いことはないなって思ったし、「だったら1曲目だな」って。ディレクターの方にも「1曲目のために気合いを入れてガッツリ仕上げるんで、よろしくお願いします」って言ったんですよ。さわおさんからも「『1曲目がいい』って言ってるのは知ってたけど、『そんなの知らねえよ』って思いながら(WHITE ASHの『White Ash』を)聴いてみたら、『これは1曲目だな』と思った」っていうメールをもらって。

田淵 素晴らしい。参りました(笑)。

トリビュートアルバム「ROCK AND SYMPATHY -tribute to the pillows-」2014年2月26日発売 / 3150円 / avex trax / AVCD-38831
収録曲 / アーティスト
  1. White Ash / WHITE ASH
  2. この世の果てまで / グッドモーニングアメリカ
  3. インスタント ミュージック / 9mm Parabellum Bullet
  4. Funny Bunny / Base Ball Bear
  5. スケアクロウ / WEAVER
  6. エネルギヤ / Scars Borough
  7. ノンフィクション / 東京カランコロン
  8. 開かない扉の前で / カミナリグモ
  9. Fool on the planet / UNISON SQUARE GARDEN
  10. カーニバル / シュリスペイロフ
  11. Blues Drive Monster / a flood of circle
  12. ハイブリッド レインボウ / ふくろうず
  13. ストレンジ カメレオン / 髭
  14. No Substance / THE BOHEMIANS
参加アーティスト

「ROCK AND SYMPATHY -tribute to the pillows-」参加アーティスト

the pillows(ぴろうず)
the pillows

山中さわお(Vo, G)、真鍋吉明(G)、佐藤シンイチロウ(Dr)の3人からなるロックバンド。1989年に結成され、当初は上田ケンジ(B)を含む4人編成で活動していた。1991年にシングル「雨にうたえば」でメジャーデビュー。初期はポップでソウルフルなサウンドで好評を博すが、上田脱退後の1994年以降は徐々にオルタナ色を取り入れたサウンドへと変化していく。一時は低迷するが、精力的なライブ活動を続ける中で固定ファンを獲得。2004年には結成15周年を記念してELLEGARDEN、BUMP OF CHICKEN、ストレイテナー、Mr.Childrenなどが参加したトリビュート盤が制作され、the pillowsの存在を知らなかった若年層にもアピールすることに成功する。また、2005年にはアメリカ、2006年にはアメリカとメキシコでツアーを敢行。海外での人気と知名度も獲得する。結成20周年を迎えた2009年9月には初の日本武道館公演を行い、大成功を収めた。2012年にはバンドを一時休止し、山中と真鍋はそれぞれソロアルバムをリリース。翌年再始動してからは再び精力的な活動を展開している。2014年2月には結成25周年を記念してトリビュートアルバム「ROCK AND SYMPATHY -tribute to the pillows-」が発表された。キャリアを重ねるごとに勢いと力強さを増し、今や日本のロックシーンには欠かせないバンドとしてリスペクトされている。