ナタリー PowerPush - THE GROOVERS
祝・デビュー20周年! ベスト盤に刻んだバンドの“現在地”
THE GROOVERSがデビュー20周年を記念して2枚組ベストアルバム「Nothin' But The Best」をリリースした。本作はメンバー自身が選曲を行い、新曲「存在理由」も収録したオールタイムベスト。1990年代から現代までを一気に駆け抜ける充実の作品に仕上がっている。エッジの効いたギターと言葉の力、うねりをあげる強力なリズム隊が放つ純度100%のロックンロールの魅力。リードボーカルとギターを担当する藤井一彦に話を聞いた。
取材・文 / ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
横ノリのグルーヴをあえて目指していた
──1993年7月24日にアルバム「Top Of The Parade」でメジャーデビューしてから20年が経ちましたね。
そうなんですよ。ちょうど20年です。
──結成は1988年だそうですが、ちょうどバンドブームのタイミングになるんですか?
インディーズブームとイカ天の間みたいな時期でしたね。
──当時のTHE GROOVERSはどんな存在だったんでしょうか?
バンドシーンではお客さんがぴょこぴょこ跳ねてるようなライブが多くて。なのでもっと態度の悪いロックバンドをやりたいと思っていました。だけど無理して強面にするんじゃなくてっていう……そういうイメージはボンヤリとありましたね。横揺れのグルーヴ感というか。
──他のバンドとの差別化みたいなことも考えていた?
いわゆるホコ天っぽいバンドとどうしても一線を引きたかったんです。天邪鬼とも言えるけど60~70年代の質感や横ノリのグルーヴをあえて目指したりとかはあったかもしれないですね。
──THE GROOVERSは洋楽的なセンスも曲ごとに取り入れていたと思うんですが、今振り返ってどうですか?
そうですね。けっこう実験はしたかな。1枚目のアルバム(1993年7月「Top Of The Parade」)は初期衝動と溜まった鬱憤でとにかく出した感じで。3枚目(1995年6月「Rosetta Stone」)くらいから曲のストックがなくなって煮詰まって、いろいろやりはじめたんですよね。
最低10年は続けないとバンドじゃない
──デビュー当時、THE GROOVERSをどんなバンドにしていきたいと思っていましたか?
最初のボーカリストが脱退して、同時に最初のレコード会社との契約も切れてというタイミングで、でも止まりたくないという思いが強くて。ただ何も考えず、名前もあえて変えずに続けたいという思いで再出発しました。本当に走り始めてからいろいろ全部考えていった感じですね。とにかく続けたいという思いは人一倍強くて、最低10年くらい同じメンバーで続けないとバンドとは呼べないとさえ思っていました。
──そういうバンド像というのは一彦さんが好きな70年代、80年代のバンドからの影響が大きかったんですか?
大きかったですね。やっぱり長くやっているバンドが好きなんですね。THE ROLLING STONESが好きですし。日本のバンドだとギターヒーロー的な存在はチャボ(仲井戸麗市)さんでした。
──20年間THE GROOVERSをやり続けていてよかったと思うことは?
やっぱり同じメンバーでずっと活動できてるのはかけがえがないことですね。バンドって不思議なもので、うまい人を集めただけじゃうまくいくとは限らないですからね。
──バンドを長く続ける秘訣は?
あんまり長く続けようと強く思いすぎないことですね(笑)。
──THE GROOVERSのメンバーについても一言ずつもらえますか。
僕と藤井ヤスチカ(Dr)が同級生で、高橋ボブ(B)は少し年上なんですけど、最初にバンドを作るってときにボブさんは下北沢屋根裏ってライブハウスのスタッフだったんです。照明とか場内整理をやっていました。実際、音を合わせてみたらすごくよくて現在に至ります。ボブはメンバーの中でも一番たくさん音楽を聴いていますね。藤井ヤスチカは文化祭バンドの延長みたいなものを含めると、高校の頃から一緒にバンドをやってます。なので30年くらい一緒にやってることになります。阿吽の呼吸以上のものがあるかな。
- ベストアルバム「Nothin' But The Best」 [SHM-CD2枚組] / 2013年5月29日発売 / 3200円 / ユニバーサルミュージック / UPCY-6692~3
- ベストアルバム「Nothin' But The Best」
DISC1 収録曲
- 現在地(アルバム「Top Of The Parade」)
- 行列の先頭(アルバム「Top Of The Parade」)
- 鉄の旗(アルバム「Top Of The Parade」)
- 12月だけのクリスチャン(シングル「12月だけのクリスチャン」)
- ウェイティング・マン(アルバム「MONOCHROME CHAMELEON」)
- 魔法のサムシング(アルバム「MONOCHROME CHAMELEON」)
- モノクローム・カメレオン(アルバム「MONOCHROME CHAMELEON」)
- めずらしく冴えている(アルバム「Rosetta Stone」)
- 俺はスピード上げるだけ(アルバム「Rosetta Stone」)
- RIDE ON, BABE!(アルバム「Rosetta Stone」)
- SWEETHEART OF MY SOUL(シングル「SWEETHEART OF MY SOUL」)
- 欠けた月が出ていた(アルバム「ELECTRIC WHISPER」)
- The Longest Night(アルバム「ELECTRIC WHISPER」)
- プリテンダー(アルバム「ELECTRIC WHISPER」)
- 無敵の日々(アルバム「CHARGED!」)
- ウィリー(アルバム「CHARGED!」)
- ONE FOR THE ROAD(アルバム「CHARGED!」)
DISC2 収録曲
- 春だったね ’97(シングル「春だったね '97」)
- 狂おしきこの世界(アルバム「TRINITY」)
- 放浪の運命(アルバム「TRINITY」)
- GOOD NIGHT, SLEEP TIGHT(アルバム「TRINITY」)
- Groovaholic(アルバム「SETZNA」)
- 車輪の上(アルバム「SETZNA」)
- ミスター・デザイア(アルバム「SETZNA」)
- 情炎(アルバム「SETZNA」)
- 乱気流ガール(アルバム「Modern Boogie Syndicate」)
- 最後の煙草に火を点ける (アルバム「Modern Boogie Syndicate」)
- ロザリー(アルバム「Modern Boogie Syndicate」)
- 奇跡のバラッド(アルバム「Modern Boogie Syndicate」)
- Savanna(アルバム「ROUTE 09」)
- 独断(アルバム「ROUTE 09」)
- SPEED QUEEN(アルバム「ROUTE 09」)
- 美しき人よ(アルバム「ROUTE 09」)
- 存在理由(新曲)
THE GROOVERS(ぐるーばーず)
1988年に4人編成で結成。1989年のデビュー後に3枚のアルバムをリリースするが、初代ボーカリストの西村茂樹が脱退。その後ギタリストだった藤井一彦がボーカルを兼任し、トリオ編成で活動を継続する。横ノリのロックンロールをベースに、藤井一彦、高橋ボブ(B)、藤井ヤスチカ(Dr)という3人の強烈な個性がぶつかり合うサウンドが魅力。2000年にはメジャーレーベルを離れ、自主制作を中心とした活動をスタートさせる。またメンバーはそれぞれバンド活動と並行して、さまざまなアーティストのサポートなども精力的に行なっている。