ナタリー PowerPush - THE COLLECTORS
新春3本勝負! vs. MONGOL800、TRICERATOPS、BRAHMAN
1月20日 THE COLLECTORS vs. BRAHMAN
3週続いたウイークリーライブ最終日、1月20日の対戦相手に選ばれたのはBRAHMAN。音楽のタイプも客層も異なる両バンドだが、お互いを認め合うような信頼関係を感じさせるツーマンライブとなった。
暗闇に灯るオレンジ色の照明とSEが物々しい雰囲気を醸し出す中、BRAHMANのメンバーがゆっくりとステージに登場。2月20日リリースのニューアルバム「超克」から「俤」を挨拶代わりに演奏した4人は、「新年1発目、思い残すことねえように。BRAHMAN始めます」というTOSHI-LOW(Vo)の言葉からライブを一気に急加速させた。
「THE ONLY WAY」からの流れはまさに息つく間もない怒涛の展開。フロアには男性のみならず女性のクラウドサーファーも次々と飛び交い、クアトロはたちまち興奮のるつぼと化す。演奏隊の猛々しいプレイ、TOSHI-LOWの鬼気迫る咆哮がさらなる熱狂を呼び、オーディエンスは急き立てられるように拳を高く突き上げた。そのまま8曲目の「BASIS」までノンストップで駆け抜けた4人は、切なげなミドルナンバー「空谷の跫音」で場内の熱気をクールダウンさせる。しかしそれも束の間、直後の「ANSWER FOR・・・」の途中でTOSHI-LOWがフロアに飛び込み、観客に支えられたまま続く「警醒」を絶唱した。
11曲が終わったところで息を切らしながら口を開いたTOSHI-LOWは、独特の語り口でコレクターズとの出会いを回想。13歳のときTHE BLUE HEARTS目当てで観ていたテレビ番組にコレクターズが登場し、「外国の国旗柄着たおかっぱのおっさんがくねくねしながら歌ってる。なんて気持ち悪いんだ!」と衝撃を受けすぐにCDを買いに行ったというエピソードをはじめ、ぶっきらぼうながら愛情にあふれた言葉で先輩への思いを語った。その後バンドは「霹靂」「鼎の問」と胸を打つナンバーを立て続けに披露し、毅然とした態度でステージを去っていった。
ここからはいよいよ本イベントの大トリの時間に。「GROOVE GLOBE」のスペーシーなイントロをSEに、例によって古市コータロー、小里誠、阿部耕作の3人が先に現れ、後から加藤ひさしが堂々とした足取りでマイクスタンドの前にやってくる。加藤は後輩の熱演を受けてか、うれしそうな表情でエネルギッシュな声を響かせ、最終戦のスタートを切った。
「ティーンエイジ・フランケンシュタイン」「プロポーズソング」と新旧のナンバーで攻めたあと、早速1回目のMCへ。加藤はBRAHMANのライブでTOSHI-LOWが自身のスーツを「テーブルクロスみたい」と発言したことに触れ、「TOSHI-LOWくんもひどいこと言うよね! 『一番派手な衣装を着てる加藤さんが見たい』って言ったから、ビニール地でできてるテーブルクロス(のような服)でやってきたら、ネタにされて終わりかよみたいな(笑)」とまくし立てる。また、今回演奏曲の一部がTOSHI-LOWのリクエストによるものだと明かすと「あんなおっかない男がリクエストしてくる曲がみんなかわいいんだよ! 人は見かけによらないということで、油断してるとBRAHMAN好きなお兄ちゃん……ハマっちゃうよ?」と笑い、BRAHMANファンまでも自分のペースに巻き込んだ。
そこから披露された、TOSHI-LOWリクエスト曲の「明治通りをよこぎって」。ここでは加藤がアコースティックギターを奏で、バンドのアンサンブルに深みを与えた。その後も陽気なメロディが小気味良い「プ・ラ・モ・デ・ル」、かわいらしさ全開の「恋のカレイドスコープ」と今回初披露の名曲を連発。コレクターズの真骨頂ともいえるモッズサウンドで観客を魅了した。
2度目のMCではコレクターズとBRAHMANとの共通点についての話題に。加藤は「霊長類以外に共通点が何もない。ただ、ひとつ……熱い! TOSHI-LOWくんが熱いなら、俺は暑苦しい。彼はしゃべりだけで皆を熱くさせる。俺たちはもう、見ただけで暑苦しい」と本気とも冗談ともつかないトークでオーディエンスを煙に巻いた。
続けて再びTOSHI-LOW が選曲したナンバー「夢見る君と僕」が鳴らされると、客席からはわあっという歓喜の声が上がる。「僕は恐竜」ではシンプルな演奏とダイナミックなボーカルで聴かせ、先輩バンドとしての風格を漂わせた。そして最後のブロックでは、3週間分を総括するかのようなアッパーチューンがフロアを席巻。「TOUGH」での手拍子や掛け声が会場中をひとつにし、「NICK! NICK! NICK!」がこの日一番の爆発を生み出した。
3週にわたるイベントを締めくくったのは「世界を止めて」。冒頭では観客の大合唱が起こり、会場は多幸感で満たされた。アンコールにはおなじみ「僕の時間機械」が届けられ、イベントはついにフィナーレへ。全ての戦いを終えたコレクターズの4人は、場内に沸き起こる惜しみない拍手を受けながら、晴れ晴れとした顔で"NEW YEAR CHAMPIONSHIP"の幕を引いた。
BRAHMANセットリスト
1 | 俤 |
---|---|
2 | THE ONLY WAY |
3 | CHERRIES WERE MADE FOR EATING |
4 | BEYOND THE MOUNTAIN |
5 | 露命 |
6 | SPECULATION |
7 | 賽の河原 |
8 | BASIS |
9 | 空谷の跫音 |
10 | ANSWER FOR・・・ |
11 | 警醒 |
12 | 霹靂 |
13 | 鼎の問 |
THE COLLECTORSセットリスト
1 | GROOVE GLOBE |
---|---|
2 | ティーンエイジ・フランケンシュタイン |
3 | プロポーズソング |
4 | 明治通りをよこぎって |
5 | プ・ラ・モ・デ・ル |
6 | 恋のカレイドスコープ |
7 | 夢見る君と僕 |
8 | 僕は恐竜 |
9 | 未来地図 |
10 | TOUGH |
11 | NICK! NICK! NICK! |
12 | 世界を止めて |
13 | <アンコール> 僕の時間機械 |
- THE COLLECTORS ニューアルバム「99匹目のサル」 / 2013年1月23日発売 / 日本コロムビア
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3675円 / COZP-733~4
- 通常盤 [CD] / 2625円 / COCP-37694
CD収録曲
- 喜びの惑星
- 未来地図
- プロポーズソング
- 99匹目のサル
- 誰にも負けない愛の歌
- オスカーは誰だ!
- ドーナツソング
- ごめんよリサ
- 残像恋人
- 雨と虹
- 電気を作ろう!
- COME ON LET'S GO!
初回限定盤DVD収録内容
- プロポーズソング(MUSIC VIDEO)
- 99匹目のサル(MUSIC VIDEO)
- COME ON LET'S GO!(MUSIC VIDEO)
- オスカーは誰だ!(MUSIC VIDEO)
- 未来地図(MUSIC VIDEO)
- 誰にも負けない愛の歌(MUSIC VIDEO)
- BRAHMAN ニューアルバム「超克」 / 2013年2月20日発売 / TOY'S FACTORY
- 初回限定盤[CD+DVD] / 3500円 / TFCC-86425
- 初回限定盤[CD+DVD] / 3500円 / TFCC-86425
- 通常盤[CD] / 2625円 / TFCC-86426
CD収録曲
- 初期衝動
- 賽の河原
- 今際の際
- 俤
- 露命
- 空谷の跫音
- 遠国
- 警醒
- 最終章
- Jesus Was a Cross Maker
- 鼎の問
- 霹靂
- 虚空ヲ掴ム
初回限定盤DVD収録内容
- TONGFARR
- THE ONLY WAY
- SEE OFF
- BEYOND THE MOUNTAIN
- CHERRIES WERE MADE FOR EATING
- SPECULATION
- 鼎の問
- 露命
- 警醒
- ANSWER FOR・・・
- 霹靂
- 賽の河原
- 初期衝動
- 警醒
THE COLLECTORS(これくたーず)
加藤ひさし(Vo)、古市コータロー(G)、小里誠(B)、阿部耕作(Dr)の4名からなるロックバンド。1986年に加藤を中心に結成。1987年に「僕はコレクター」でデビューすると同時に、ブリティッシュロック、サイケデリック等のエッセンスを取り入れたサウンドが話題を集め、日本のモッズシーンを代表するバンドとして認知される。ポップなメロディと洗練されたアレンジ、激しいライブパフォーマンスは、モッズの枠を超えて多くのロックファンの支持を集め、結成から20年以上経つ今もシーンの第一線で活躍し続けている。2013年1月23日、19枚目となるオリジナルアルバム「99匹目のサル」をリリース。
BRAHMAN(ぶらふまん)
1995年に東京で結成された4人組ロック / パンクバンド。ハードコアと民族音楽をベースにしたサウンドを特徴とする。1996年に初めての作品として「grope our way」をリリース。1998年に発表した1stアルバム「A MAN OF THE WORLD」はトータル60万枚以上のセールスを誇り、90年代後半にひとつの社会現象になったパンクムーブメントにて絶大なる人気を集める。日本以外にもヨーロッパやアジアでもツアーを行うなどワールドワイドな活動を展開している。