韓国のボーイズグループ・THE BOYZが日本での1stオリジナルアルバム「Breaking Dawn」を3月17日にリリースした。
2020年、THE BOYZは韓国で1stフルアルバム「REVEAL」を発表。そしてMnetのサバイバル番組「Road To Kingdom」では優勝を勝ち取り、本国はもちろん日本でも一躍注目グループの仲間入りを果たした。アルバムのリリースを記念し、音楽ナタリーではTHE BOYZメンバーにメールインタビューを実施。アルバムの制作エピソードを中心に、「Road To Kingdom」のこぼれ話やヘアケア、トレーニング事情まで、さまざまな話を聞いた。「Breaking Dawn」の作品レビューと併せて楽しんでほしい。
取材・文 / 宮崎敬太
THE BOYZ インタビュー
国境関係なく楽しめる素敵なアルバムになった
──アルバム「Breaking Dawn」はいつ頃から準備していたんですか?
サンヨン (2020年9月に韓国でリリースした)「The Stealer」の活動をしながらでしたね。
ジュヨン しかも同じ時期に年末の授賞式の練習も重なっていたのでかなりスケジュールがタイトではあったのですが、なんとかやり遂げることができました。
──今作は初の日本オリジナルフルアルバムですね。制作時に韓国盤との違いを意識することはありましたか?
ソヌ 僕たちにとっては毎回のアルバム作りが新しい挑戦です。常に最善を尽くすようにしているので、特に違いを意識するということはありません。
ヨンフン そうだね。制作へのモチベーションは韓国盤とまったく同じですが、歌詞の面で日本語の意味が正確に伝わるようには意識しました。
ジェイコブ 個人的には国境関係なしに楽しめる素敵なアルバムになったと思います。
ジュヨン 日本のアルバムだから日本語でだけレコーディングするという偏見をなくして、ただ1つの「音楽」として楽しんでもらいたいです。
──韓国語と日本語の混ざり方が絶妙で最高でした。ちなみに今回は1stミニアルバム「TATTOO」(2019年11月リリース)よりも日本語の歌詞が増えましたね。皆さんの発音のうまさに驚きました。
チュハンニョン 普段から日本のアニメや歌をいろいろ観たり聴いたりしてるからかな(笑)。
エリック 日本のTHE B(THE BOYZのファンの呼称)とコミュニケーションを取るためにも努力しているしね。
ジュヨン そういう意味では特別に勉強をしたことはないんですよ。今回の作品で僕らの日本語が上達しているのであれば、それは日本での活動で日本語をたくさん聞いてきたから。自然と発音がよくなったんだと思います。
ケビン あと発音だけを覚えたのではなく、翻訳して歌詞の意味を理解しながらレコーディングをしたのでより表現力豊かに歌えたのかも。
ニュー 僕は「つ」が難しかった。韓国にはない発音だから。「つ」が入る歌詞を中心にたくさん練習しましたね。
ヒョンジェ そういうのはあるよね。発音のディテールを何度も聴いて反復練習します。レコーディングのときにディレクターさんからアドバイスをもらったり。
キュー いろいろ質問して細かく指導してもらって、ぎこちなさを修正していきました。日本のTHE Bたちが聴いたとき、最大限自然に感じるように。
「Breaking Dawn」のテーマは未来と光
──タイトル曲「Breaking Dawn」はアルバムリリースに先駆けて先行配信されました。
ヒョンジェ 中毒性のある曲ですよね。レコーディングも楽しかった。韓国語と日本語、両方の歌詞があるのも新鮮で面白かったな。
ジュヨン 曲のテーマは「未来と光」です。今は厳しい状況ですが、僕らの歌やパフォーマンスが皆さんの希望になったら、という思いが込められています。それは「멀리 한줄기 빛을 따라(遠くにある一筋の光に沿って)」という歌詞に集約されているんです。
ヒョンジェ メインビジュアルやMVの衣装も、コンセプトを際立たせるためにダークなものと明るいものの2種類用意しました。
ジェイコブ ビデオゲーム「サイバーパンク2077」のキャラクターみたいな感じ。SFの要素とアジア感を表現しています。
ニュー あと、今回のMVはダンスシーンをメインに構成したMVになっています。
エリック 実は初めての試みという。だからこそ細かい部分まで気を使いました。
ケビン カル群舞(メンバー全員の動きがシンクロしたパフォーマンス)に注目してほしいですね。
ヨンフン 練習期間はだいたい2、3週間でしたが、僕たちが今までやってきたダンスとは違う感じ。
キュー 特にサビのシーンで後ろに倒れこむパートは難しかったね。
サンヨン それな。
チュハンニョン 僕らの腰がどれだけ後ろに折れてることか(笑)。
ソヌ あと、今回はセットもかなり豪華なので、僕らのパワフルなパフォーマンスとともに観てもらいたい部分ですね。
どの曲も違うカラーがあるアルバム
──アルバム「Breaking Dawn」はタイトル曲を筆頭に、新旧さまざまなサウンドがハイブリッドされたアルバムだと思いました。実際に歌ってみた感想はどうですか?
ケビン THE BOYZの多様性や柔軟さを感じてもらえるアルバムだと思います。僕はこれまで以上にレトロな感性が高まった作品だと思う。1曲目の「PRISM」でフィーチャーされたギターの音とか。
──スタジアムロックを思わせる壮大なギターと1990年代のハウスがミックスされていてびっくりしました。
ケビン わかります(笑)。準備中に「コンサートができるようになったらこの曲を登場曲にしたら面白いかも」と思いました。トラックも盛り上がるしメロディも独特ですし。
チュハンニョン 僕は2曲目の「EINSTEIN」かな。ハスキーな声を生かして強い歌声の表現に挑戦しました。これからはもっとパワフルな曲にも挑戦したいと思いましたね。
ソヌ 「Kiss Me If You Can」はとてもパワフルなビートが特徴だよね。走り抜けていくような感じで歌いました。
エリック わかる。僕は「Kiss Me If You Can」で感情を込めてラップをすることに集中しました。
ヨンフン 「FLAG」「Penalty」「HUSH」はすべて日本語詞なので難しかったですが、その分やり甲斐もありましたね。
ジェイコブ 個人的には「FLAG」のレコーディングがすごく記憶に残ってるかな。発音に集中してレコーディングしたのに、曲が心地よくて自然と感情が込み上げてきたんです。
ニュー 僕は「Closer」だな。歌いながら、聴きながら、自分も癒やされる曲。皆さんに優しい気持ちになってもらえたらいいなという気持ちを込めて歌いました。
キュー 僕も「Closer」のレコーディングでは目を閉じて、歌詞に集中しましたね。
サンヨン どの曲も違うカラーがあるアルバムだよね。レコーディング中は「これから日本のファンの皆さんにこの曲を聴いてもらえるんだ」と考えてましたね。
練習生時代から積み上げてきた努力が形になった
──2020年は皆さんにとってどんな1年でしたか?
ケビン 韓国で初のフルアルバムを出した途端にコロナで状況が変わってしまったんです。やっぱりTHE Bの歓声が直接聞けないのは寂しかったですね。
チュハンニョン ポジティブな側面に目を向けると、僕らのパフォーマンスをオンラインで世界中に発信できた1年だったかな。
キュー THE Bの皆さんも大変な1年だったと思うから、僕らが力になれるようにさらにがんばろうと思ったよね。
ソヌ うん。たくさんの愛を注いだ。
サンヨン あとTHE BOYZとしての成果を出すことができたことも大きい。賞もたくさんいただきましたし。
エリック 練習生時代から積み上げてきた努力が形になって、いろんな方々に認めていただけたことはとても幸せでした。
ヒョンジェ その中で僕ら自身も成長できました。
ヨンフン 始まりの1年とも言えるかもね。まだまだお見せしてない魅力もたくさんある。
ジェイコブ 僕は土台を作る1年だったと考えてる。2021年はそれをしっかり引き継いで幸せな年にしたいですね。
ニュー そうだね。たくさん愛をいただいた分、恩返しをしていきたいよね。
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常に「THE BOYZの黄金時代を作っていきたい」と思っている