「ライフスタイル・メイクスマイル コンパクトディスク」全曲解説

満を持してリリースのミニアルバムを徹底解剖

the chef cooks meのミニアルバム「ライフスタイル・メイクスマイル コンパクトディスク」。ライフスタイルという言葉が指し示すように、「新たな生活」をテーマにした曲が並ぶ。しかしメジャーデビュー作!的な気負いや路線変更は感じられず、「いいクオリティで、tccmらしい1枚が作れたね」と声をかけたくなるような、そんな自然体の作品に仕上がっている。古くからのファンを満足させて新たなファンにもアピールできる、理想的な作品になったのではないか。

01.Oh yeah, music! You are mine!!
(NHK-FM「ミュージック・スクエア」6・7月度オープニングテーマ)
ゆったりと牧歌的な雰囲気で始まった曲が徐々にヒートアップしていく、まさにtccmらしい1曲。tccmのライブの盛り上がりをそのまま表現しているような構成が小気味いい。彼らの音楽への愛情があふれた、軽快な歌詞も楽しい。聴き込んで歌詞を覚えてしまった人なら、ライブできっと口ずさんでしまうだろう。終盤の強引気味な展開も彼らならでは。
02.ライフスタiLL・メイクスマイル
(テレビ東京系「JAPAN COUNTDOWN」6月度オープニングテーマ)
「JAPAN COWNTDOWN」のテーマソングとして現在絶賛オンエア中。サウンドも映像もインパクトありすぎなこの曲をきっかけにしてtccmを知った人も多いのでは? 70年代パンクの影響を漂わせながらも、tccmらしいユーモアセンスがギッチリ詰め込まれたナンバー。リズム隊が奏でるファンキーなグルーヴが印象的。
03.WE ♥ CITY
シモリョーの「似非ラップ」とベーシスト・タカミーの意外な美声のからみあい、巧みなサウンドの変化など、聴き所満載の曲。ちょっととぼけた楽曲と、街から街へ旅を続けるライブバンドだからこそ書ける歌詞とのギャップが楽しい。ライブで観たときには、サビのハンドクラップをみなさんぜひご一緒にどうぞ!
04.レイトナイトスリープエイド
今回の5曲の中でも最もディテールが作りこまれた楽曲。美しく響き渡るひとつひとつの楽器の音が、ファンタジックな世界を作り出しているミディアムナンバーだ。幻想的な夜の想いを豊かな表現力で歌い上げる、シモリョーのボーカルも聴き所。曲後半は畳み掛けるようなツインドラムで緊迫感を盛り上げる。…でも、これライブでどうするんだろう。
05.EVERYWHERE TRIPPER
モンキーズの「デイドリーム・ビリーバー」を彷彿とさせる、ノスタルジックなイントロで始まる曲。朴訥としたアレンジがかえって優しく美しいメロディラインを引き立てている。いわゆる「旅立ちソング」ではあるものの、迷ったりやめようと思ったりする登場人物の心の揺れに、誰もが妙なリアリティを感じそうだ。

なお、このミニアルバムはDVD付。「ライフスタiLL・メイクスマイル」のミュージックビデオのほか、「アワークッキングショー」と題したスペシャル映像が収められている。内容は観てのお楽しみだが、「さすがtccm」的な凝り具合とバカバカしさに満ちた映像に仕上がっている。CDとはまた違った上に音楽とはまったく関係のない角度から、彼らのセンスを垣間見られる1枚だ。

ジャケット写真

amazon.co.jpへ

the chef cooks me 「ライフスタイル・メイクスマイル コンパクトディスク」

2008年6月25日発売 1575円(税込) / DVD「アワークッキングショー」付 2枚組 / SME Records / SECL-645~6

CD収録曲
  1. Oh yeah, music! You are mine!!
  2. ライフスタiLL・メイクスマイル
  3. WE ♥ CITY
  4. レイトナイトスリープエイド
  5. EVERYWHERE TRIPPER
the chef cooks me - Profile

2003年に下北沢で結成された、シモリョー(Vo,Key)、タカミー(B)、ジマス(Dr)、ヨッシー(G)、ニーチェ(G)の5人からなるロックバンド。ポップスやロックなどさまざまな要素を取り入れたサウンドと、個性的なライブパフォーマンスで人気を集めている。2006年11月に1stアルバム「アワークッキングアワー」をリリース。2007年7月に初のワンマンライブを下北沢ERAで開催し、大成功を収めた。同年暮れには幕張メッセで行われた「COUNTDOWN JAPAN 07/08」でフェス初出演を果たしている。