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愉快で真面目な5人組・tccmの歴史を徹底解説
インディーズシーンでも屈指のカラフルサウンドメイカーとなった5人組バンド、the chef cooks me。彼らの結成のきっかけは2003年、当時シモリョー(Vo,Key)が店員を務めていたライブハウス・下北沢ERAの店長から言われた一言だった。
「この日空いてるから、なんかイベントやって埋めて」
断れなかったシモリョーは必死で友達バンドを召集。そして企画を立てる以上自らも何かやらなければならんだろう、という思いから、ERAを中心としたバンド仲間のジマス(Dr)、ヨッシー(G)、ニーチェ(G)とサポートベーシストでその日限りの穴埋めバンド・the chef cooks meを結成する。
オリジナル曲3曲を携えて行った一夜限りのライブ…のはずが、前述の店長含め周囲からの評判は上々。「誰か歌わないといけないから」という消去法でボーカルをとったリーダー・シモリョーをはじめ、メンバー一同この意外な高評価に気をよくし、tccmの活動が続くこととなった。その後正式メンバーとしてタカミー(B)が加入。マイペースながら、ライブやリリースといったバンド活動をスタートする。
当初は英語詞で内向きのサウンドだったtccm。自分たちが入り込めるような曲を作り続けていた彼らだが、活動を続けるうちに彼らの意識は徐々に変化していく。じわじわと増えるオーディエンスに対し、「何かを伝えよう」「楽しんでもらおう」「参加してもらおう」という気持ちが芽生え、歌詞は日本語を中心としたものに、サウンドは明るく開放的なものに変わっていった。
インディーズ1stアルバム「アワークッキングアワー」のリリースを機に、tccmの名前は全国規模で広がっていく。2007年には初のワンマンライブを古巣・下北沢ERAで開催。さらにBEAT CRUSADERSやFRONTIER BACKYARD、ART-SCHOOLなど大先輩バンドのオープニングアクトを続々と務め、先輩方を目当てに集まったオーディエンスにもその名前と存在感をアピールした。
日常で蓄積されるイライラと、それを発散させる道筋を優しく描いた歌詞。アッパーで軽やかながら、どこか懐かしさを感じさせるサウンド。パンクやエレクトロなど多彩なジャンルからいいとこ取りで味付けした、ポップで小気味よいアレンジ。ライブステージで見せるカッ飛んだパフォーマンスと、同級生のような親しみやすさを漂わせるキャラクター。この5人にしか出せないさまざまな魅力は、現在進行形でたくさんの人々の心を捉えていっている。
そんな彼らが2008年、メジャーシーンに活動の場を移して初のミニアルバムをリリースする。だが彼らからはあまり「売れてやる!」「tccmのサウンドが天下を取るんだ!」「いつかは武道館に!」的な野心や野望は感じられない。5人の作る音楽を聴き、ライブを観ていると「音楽の楽しさを伝えたい」「世間には自分たちをはじめ、面白いバンドがたくさんいることを知ってもらいたい」という意志のほうを強く感じる。7月19日のレコ発ライブに7組も仲間バンドを呼んじゃうのも、きっとそういう意志の表れだろう。
「自分のバンドが天下を取る」というギラギラした欲望ではなく、「いい音楽って世の中にたくさんあるんですよ、ぜひいろいろ聴いてほしいですエヘヘ」というゆるやかな願い。パッと見は地味そうに見えるけど、どっちのほうがデカくて長期的なビジョンを持っているかは言うまでもない。
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2003年に下北沢で結成された、シモリョー(Vo,Key)、タカミー(B)、ジマス(Dr)、ヨッシー(G)、ニーチェ(G)の5人からなるロックバンド。ポップスやロックなどさまざまな要素を取り入れたサウンドと、個性的なライブパフォーマンスで人気を集めている。2006年11月に1stアルバム「アワークッキングアワー」をリリース。2007年7月に初のワンマンライブを下北沢ERAで開催し、大成功を収めた。同年暮れには幕張メッセで行われた「COUNTDOWN JAPAN 07/08」でフェス初出演を果たしている。