INI田島将吾がテイラー・スウィフトに向ける“共鳴”の眼差し|「The Life of a Showgirl」発売記念インタビュー (2/2)

最新作の感想「この感じ、大好きだ!」

──以前にはテイラーの“変化する歌声”が好き、ともお話しされていましたが、具体的にどういった部分で変化を感じましたか?

例えば「1989(テイラーズ・ヴァージョン)」(2023年)は、2014年リリースの「1989」を再レコーディングした作品ですが、聴き比べてみると、やっぱり深みが増しているんですよね。最近リリースされたニューアルバム「The Life of a Showgirl」でも同じことを感じました。

田島将吾

──新作「The Life of a Showgirl」を聴いた際の第一印象は?

すごく明るい雰囲気のアルバムで、「この感じ、大好きだ!」と思いました。やっぱり婚約したことによって生じたテイラーの中での変化が楽曲にも現れたんじゃないかなと思います。あと、音もすごくいいですよね。僕はドラムが好きなんですが、1曲目の「The Fate of Ophelia」はドラムの音から始まったので「おっ」とうれしくなりました。

──ほかに田島さんが特に好きな曲は?

「Wi$h Li$t」です。テイラーがお気に入りの曲と話していたので、僕も好きになりました(笑)。これは結婚してから叶えたいウィッシュリストを歌った曲だと思うんですけど、普通の幸せを求めるようなムードがすごくよかったです。今のテイラーはすごく心が安らいでいるんだな、と感じました。

──全体的に、テイラーの心が安定している印象を受けるアルバムですよね。

「Wood」という曲もあって、まさに木のような安定感を感じます。テイラーのパートナーが木のように温かい方で、彼女自身がそういう環境にいることを感じられるのもいちファンとしてうれしいですね。

──ちなみにテイラーが婚約を発表されたとき、田島さんはどんな気持ちになりましたか?

それはもう普通に、「おめでとうございます!」です。嫉妬は1mmもなく(笑)。心から祝福していました。

“勝つために休む”ということ

──今回のアルバムは、テイラーが2023年3月から2024年12月まで行っていたワールドツアー「The Eras Tour」中、テイラーの内面で起こっていたことを描いた作品です。田島さんもツアーを回るアーティストとして、共感する部分はありましたか?

はい。特にタイトル曲の「The Life of a Showgirl (Feat. Sabrina Carpenter)」が象徴的ですよね。アウトロにコンサートの音源がそのまま使われているのもすごく素敵で。「But you don't know the life of a showgirl, babe(でも、あなたはショーガールの人生なんて知らないでしょ)」と、ステージの向こう側の現実を描きつつ、自分の仕事に向き合って戦って、カッコよく“ショーガール”をやっている、という誇りを感じました。だからこそテイラーは素晴らしい音楽を生み出して、こんなにもみんなに愛されているんだなと。「テイラーが打ち克ってるんだから、僕も悩んだりはするけどがんばらなきゃ」と思わされました。

田島将吾
田島将吾

──なるほど。いちリスナーとして聴くと、歌詞からスターの苦労が伝わってきて少し胸が痛む感覚もあったんですが、アーティスト目線だと鼓舞されるんですね。

僕はそうでしたね。これまでもテイラーは苦しんでいる時期もあったけど、それでも、絶対に後ろには下がっていない感じがしたんです。姿を見せなかった時期も、きっと「あーあ……」と気が落ちているというよりは、勝つために休むというか、自分の状況を一度整理して、前に進む準備をするために休んでいたんじゃないかなって。僕はそういう時間も必要だと思うし、そんな選択をするテイラーが素敵だなと思いました。

──Netflixドキュメンタリー「ミス・アメリカーナ」でも、そうしたテイラーの姿が映し出されていますね。“いい子”であろうとしたテイラーが、政治的な発言も含め、自分の考えを臆せず表現するようになっていく姿が描かれていました。

作品も含め、社会の一員として自分の政治的なスタンスまでも言葉で示す姿勢は本当にすごいです。INIの中にも自分の考えをはっきり表明するメンバーが何人かいるので、誇らしく思います。僕もいつかはそうなりたいという思いがありますね。

──テイラーは多くの人に影響を与えてきましたが、田島さんも同じくアーティストとして、人々にどんな影響を与える存在になりたいですか?

僕たちのパフォーマンスやコンテンツを観た人が、明るい気分になって「明日もがんばろう」と思えるような、エナジーを与える存在でありたいです。でもそれだけではなく、テイラーのように自分の内面をしっかりとさらけ出して、ファンの皆さんと一緒に人生を歩んでいけるようなアーティストになりたいですね。

田島将吾

悩んだ末のオススメ曲3選

──MINI(INIファンの呼称)の皆さんの中にはテイラーの音楽をまだ聴いたことがない方もいると思うので、田島さんのオススメの曲を3曲ほど教えてもらえますか。

うーん、何がいいだろう。……じゃあまずは、「All Too Well」。特にロングバージョンの「All Too Well (10 Minutes Version)」のほうを聴いてほしいです! 失恋を描いた歌詞ですが、すごくストーリー性があって想像力が膨らんで、映画を観ているような気持ちになれるんですよ。すごくテイラーらしい曲です。あとは「You're on Your Own, Kid」もオススメです。

──今日、私物のレコードをお持ちいただいたアルバム「Midnights」に収録されている楽曲ですね。

はい。このアナログは去年ライブを観に行ったときに買いました。ジャケット、カッコいいですよね。「You're on Your Own, Kid」は、一歩踏み出したい時に勇気をくれるような、背中を押してくれる曲です。残る1曲は……やっぱり今は「The Life of a Showgirl (Feat. Sabrina Carpenter)」ですかね。さっき話した通り本当に素敵な曲なので、ぜひ聴いてほしいです。

──最後に、テイラーに何かひと言伝えられるとしたら、何を伝えたいですか?

ええー! うーん……「日本でまたライブしてください!」。

──ファンを代表するように(笑)。

はい(笑)。これに尽きますね。婚約もして、今回のアルバムでひとつの集大成を迎えたのではないかと思うので、次のフェーズでテイラーがどんな音楽を生み出してくれるのか、すごく気になります。

田島将吾

プロフィール

田島将吾(タジマショウゴ)

1998年10月13日生まれ、東京都出身。サバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN SEASON2」を経て2021年6月に結成されたグローバルボーイズグループ・INIのメンバー。INIとして同年11月にデビューシングル「A」をリリースし、「第63回日本レコード大賞」で新人賞を受賞した。以降リリースしたシングルはすべて初週1位を獲得。6thシングル「THE FRAME」はINI初のミリオンシングルに認定され、今年6月リリースの3rdアルバム「THE ORIGIN」は自身最高となる初週売上45万枚を記録しハーフミリオンを突破した。11月19日にはグループ初のWINTER SINGLE「THE WINTER MAGIC」をリリース。個人としては、自身が作詞作曲を手がけたソロ曲「The sky make me slow」「SOMEDAY」「Noise」を発表。アルバム「THE ORIGIN」の収録曲「Pineapple Juice」の振付制作をメンバーの木村柾哉、西洸人ともに担当するなど、歌とダンスの両軸でクリエイティビティを発揮している。

テイラー・スウィフト

1989年、アメリカ・ペンシルバニア州出身のシンガーソングライター。グラミー賞を14度獲得、また同賞史上初めて「年間最優秀アルバム賞」を4回受賞、さらに2025年リリースのアルバム「The Life of a Showgirl」の売上が発売初週で400万枚を突破するなど、名実ともにアメリカを代表するソロアーティストとして知られる。日本では、2010年2月に初来日し、2024年2月に行われたライブツアー「TAYLOR SWIFT | THE ERAS TOUR」では、海外女性アーティストとしては初となる、4日連続での東京ドーム公演を開催した。