音楽ナタリー PowerPush - tacica×ハイキュー!!

ヒナガラスがtacica猪狩&小西を直撃! 異色のインタビューを敢行!

徹底検証! “難産”が生まれるワケ

ヒナガラス 2人とも「ハイキュー!!」は好きピヨ?

猪狩翔一(Vo, G)

猪狩 もちろん。オレ、もともとマンガ大好きなんだけど、オレの好きなマンガってあんまり非現実的なものじゃない気がしていて。「ハイキュー!!」だったらバレーボールを通じて言ってることって、みんなで1つの目標に向かって力を合わせる、とかそういう根本的な人間の本質みたいなことですよね。オレはそういう現実的なことをきちんと描くマンガが好きなんですよ。

小西 確かに好きなシーンや共感できるところって、今、猪狩が言ってたみたいな精神性の部分。人間くさい感じなんかがオレも好きかな。

猪狩 高校生でもなければバレーボールもやってないオレらがなんで「ハイキュー!!」の原作マンガを読んだりアニメを観たりして、鳥肌が立ったり感動したりするのかっていったら、結局生きていく上で大事な部分を描いてるからなんですよね。オレもそういうことを大事に曲を書こうって思ってるから、「LEO」と「ハイキュー!!」がうまいことリンクしてくれたんじゃないかな?っていう気はします。

ヒナガラス ところで作詞や作曲は大変だったピヨ?

猪狩 どうだったかなあ……。時間がかかったような気もするし、かからなかったような気もするし(笑)。

ヒナガラス もう忘れちゃったピヨ?

猪狩 「忘れちゃった」というよりも、曲を作り終えたら、その作っていた環境や状況からあえて抜け出すようにしないと、気持ちが新しいものを作る方向に向かわない。新しい曲を作ることが難しくなっちゃうから。ただ思い出してみると歌詞は歌入れ直前、ギリギリまで書いてたかな。それは「LEO」のときだけじゃなくて最近ずっとそうなんだけど。最後の1行ができないとか、そういうことが多々あるし。

ヒナガラス 猪狩さんがそういう感じだと小西さんは困らないピヨか?

小西 でも毎回いい歌詞と曲ができあがってくるから(笑)。しかもそこからアレンジを詰めていく作業にはいっつも時間がかかってる気がするし。

猪狩 そもそもがよかったらアレンジも早いんだけどね。

小西 うん。1回スタジオに入ってアレンジが完成させられる。

ヒナガラス 「そもそも」ってどういうことピヨ?

猪狩 オレがスタジオに持ってったデモ、アコギ1本で歌った音源を聴いてオレと小西とレコーディングスタッフとが同じ方向を向けたらっつうか、「こういう曲にしたい」ってイメージできたらアレンジも早いんですけどね。まだ発売になってないんだけど、ライブでは何回かやってる「LUCKY」っていう曲があるんだけど、それはタイトル通り、相当「LUCKY」で(笑)。トントントントンって進んでいく感じ。そういう曲もあるから、ほかの曲のアレンジは時間がかかる、難産だなあって思っちゃうのかもしれない。全部の曲が難産だったら「オレらはアレンジにこのくらい時間がかかるんだな」って思うだけ。難産だとは思わないはずだから。なのにアレンジが難産だった気がしてるのは、まれに安産な曲が出てくるからなんですよね。しかもそういう曲ってホントに安産だから、難産という発想が生まれちゃう(笑)。

これからも「グッとくる曲」を作り続けるだけ

ヒナガラス 「ハイキュー!!」ファンの中には「LEO」でtacicaのことを知った人も多いと思うピヨ。

左から小西悠太(B)、猪狩翔一(Vo, G)。

猪狩 アニメのテーマソングに選んでもらうことって、さっき言ったように自分たちの曲を誰かが大切にしてくれてることを実感できる上に、点が2つできることになるからうれしいんですよね。音楽が好きな人が「LEO」を聴いて、それ以外のオレらの曲を聴いたりライブに来てくれたりするようになるっていう点、アプローチの仕方のほかにもう1つ、今言ってくれたように、アニメのファンがオレらを知ってくれるっていう点、アプローチの仕方も生まれるわけだから。

ヒナガラス そういうファンって実際増えてるピヨ?

猪狩 それはオレらにはわかり得ないことなんじゃないかな? ライブに来てくれるお客さんの顔は肉眼で確認できるけど、それにしてもオレらは単に「この人たちはオレらのことを好きで観に来てくれる」ってことを知ることができるだけだし。その人がどういう人なのかっていうのはわからない。

ヒナガラス なるほどピヨ。「『ハイキュー!!』で『LEO』を聴いてファンになったピヨ」っていうファンレターやメールをいただかないとわからないピヨ。

猪狩 それにしても「ハイキュー!!」をきっかけにtacicaを知ったことしかこっちにはわからないっすよね。年齢や細かな趣味のことが書いてあるとは限らないから、どういう人なのかはわからない。メッチャ字は若い感じなんだけど、けっこう歳いってるってこともあるだろうし(笑)。だってオレの詞だけを読んでも「これは今年31歳の男が書いた詞だな」っていうところまではわからないはずだから。それと一緒じゃないかな。ただ、さっきの話に戻っちゃうんだけど「LEO」が「ハイキュー!!」のエンディングテーマになったことで、tacicaを知ってもらうためのアプローチの手段が増えたことは間違いなくて。だからオレらはこれからもいい曲を作り続けるだけ。いろんな人に「なんか胸にくる」「グッとくる」って言ってもらえる曲を書き続けてれば、今回「ハイキュー!!」のスタッフがオレらのことを見つけてくれたように、いいことがあるはずだから。

ニューシングル「LEO」/ 2014年9月10日発売 / SME Records
初回限定盤 [CD] 1400円 / SECL-1577
通常盤 [CD] 1400円 / SECL-1578
初回生産限定盤 CD収録曲
  1. LEO
  2. 鈍色の邂逅
  3. LEO(TV edit)

「ハイキュー!!」描き下ろしイラスト スリーヴ仕様

通常盤 CD収録曲
  1. LEO
  2. 鈍色の邂逅
  3. anaphylaxis

通常盤初回仕様限定封入おまけ 特製「LEO」コード譜

アニメ「ハイキュー!!」 毎週日曜日17:00よりMBS / TBS系全国28局ネットで放送中! / © 古舘春一 / 集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS
「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の古舘春一のマンガを原作にもつテレビアニメ。主人公・日向翔陽、影山飛雄ら、宮城・仙台の烏野高校バレーボール部の奮闘と友情を描く。2014年4月からの第1クールではオープニングテーマにSPYAIR「イマジネーション」、エンディングテーマにNICO Touches the Walls「天地ガエシ」を、7月からの第2クールではオープニングにスキマスイッチ「Ah Yeah!!」、そしてエンディングにtacica「LEO」を採用していることから音楽ファンの注目も集まっている。
tacica(タシカ)
tacica

猪狩翔一(Vo, G)、小西悠太(B)のロックバンド。2005年、元ドラマー坂井俊彦とともに札幌で結成。以来札幌を拠点にライブ活動をスタートしながら、叙情的な世界観と骨太のロックサウンドを武器に知名度を全国区のものに。2007年6月リリースの初音源「Human Orchestra」は各種インディーズチャートで1位を記録し、2008年10月には所属レーベルをSME Recordsに移し、さらに活動を活発化。2009年には2ndフルアルバム「jacaranda」をリリースし、バンド史上最大規模の全国ツアー「パズルの遊び方」も大成功のうちに終了させる。以降精力的にライブ活動、フェスへの参加などをする傍ら2011年には3枚目のフルアルバム「sheeptown ALASCA」、2013年には4thフルアルバム「HOMELAND 11 blues」を発表し、また2014年に至るまで「命の更新」「newsong e.p.」「HALO」などシングルもコンスタントにリリース。そして2014年9月にはアニメ「ハイキュー!!」の第2クールエンディングテーマ「LEO」を発表する。