なんか胸にくる人は1人いればいい

ヒナガラス　なんで2人はメジャーデビューできたと思うピヨ？

猪狩　なんでなんだと思います？（笑）

ヒナガラス　……意地が悪いピヨ。うーん……カッコいいからピヨ？ 「LEO」にしたって甘えたり言い訳したりしないで夢に向かって走るっていう歌詞がカッコいいピヨ。あと音がだんだん重なっていって熱くなっていく曲もカッコいいピヨ……。

猪狩　じゃあそれで（笑）。でもね、シングルだからとか、アニメのテーマソングだからとかっていうことは特に意識してないんですよ。どの曲も、シングル曲になってもカップリング曲になってもアルバムの1曲になってもいいなって思ってる。できあがった曲は、どこでどんな形で誰に聴いてもらっても大丈夫な曲、全部いい歌詞、いいメロディ、いいアレンジの曲だと思って作ってるから。それを誰がどう聴いて、どう感じるかはオレらには関与できないことだし。例えば「LEO」もオレ、直してないんですよ。

ヒナガラス　「直してない」とはどういうことピヨ？

猪狩　自分が思ってることをバーッと書いただけ。何かアニメのスタッフの人の要望を受けて書き直す、みたいなことはしてない。これは別に「LEO」のときだけじゃないんだけど、オレはいつも自分の心にあることをそのまま歌詞にしようと思ってて。その詞を聴いて「なんかわかる」「なんか響く」「なんかわかんないけどグッとくる」って言ってもらえることを目指したいんですよ。そもそもバンドだって誰かに頼まれて始めたことじゃないし、誰かに合わせようとは思ってない（笑）。極端な話「なんか胸にくる」って言ってくれる人が1人でもいればそれでいいって思っちゃってる。

tacicaと「ハイキュー!!」の幸せな出会い

ヒナガラス　でも「LEO」はどう聴いても影山の歌だピヨ！ しかもムカつくことに、みんな「カッコいい」って言ってるピヨ！

猪狩　だからオレらが「ハイキュー!!」に対して感謝してるのは、そういうところなんだと思う。オレがカッコいいと思ってバーッと書いた歌詞や曲と、オレと小西がカッコいいと思ってやったアレンジをアニメのスタッフの人たちが見つけてくれて、そこに含まれている意味とか感情をしっかり汲んだ上で「『ハイキュー!!』や影山に似合うかも」って思ってくれたわけだから。

ヒナガラス　うーん……。いい話ピヨ。それなのにアニメのエンディングには影山しか出てこないピヨ。

小西　あの映像はカッコいいですよね。曲ともすごくリンクしてるし。

猪狩　あと、観てる人たちはビックリしないんですかね？ エンディングの映像には全員出てくるものだと思うから。

ヒナガラス　6月までのエンディングにはちゃんと日向とか烏野バレー部のみんなも出てたピヨ。7月から影山だけになってしまったピヨ！

猪狩　でも、あの映像は愛があるなって思った。たぶん小西もそうだと思うんだけど、オレが一番悲しいことは何かっていうと、曲をどうこうされることなんですよ。バンドのことをどう言われてもいいんだけど、曲をないがしろにされるのが一番悲しい。自分たちの作ったものに対して愛のない対応をされたことは一生忘れないから（笑）。逆に曲を尊重してくれた人のことも一生忘れないし。そういう意味で今回の「ハイキュー!!」のエンディングは一生忘れない。曲をすごく大事にしてくれてる、そういう絵だったから。

「一番はあの女子マネージャーだけど」

ヒナガラス　猪狩さんも小西さんもそんなに影山が好きピヨか！

小西　いやオレは「ハイキュー!!」なら田中（龍之介。烏野高校バレーボール部のウイングスパイカー）かなあ。ああいう熱くてシンプルなタイプが好きですね。

猪狩　オレ、及川（徹。烏野高校のライバル校・青葉城西高校バレーボール部のキャプテンにしてセッター）。

ヒナガラス　“王様”（影山のニックネーム）じゃなくて、“大王様”（及川のニックネーム）ピヨか!?

猪狩　うん。このあいだアニメのサブタイトルにもなってたし、マンガにもそのサブタイトルがあったと思うんだけど「及川徹は天才ではない」っていうフレーズがスゲー好きで。影山は天才だし孤独かもしれないけど、その影山の曲だって言われてる「LEO」を書いたオレは別に天才じゃないし孤独じゃないし（笑）。きっと中学時代の後輩である影山にコンプレックスがあるはずなんだけど、スゲー努力したり、キャプテンとしてチームをまとめることにがんばったりして、影山以上のセッターになれてる及川のほうが観ててグッとくるんですよね。まあ一番は烏野のあの女子マネージャー（清水潔子）だけど（笑）。

小西　それは間違いない（笑）。