ナタリー PowerPush - シュリスペイロフ
北の最終兵器ついにメジャー進出 独自のバンドヒストリーを語る
バンド名は、しりあがり寿さんの漫画から取りました
──ちょっと話は変わりますが、バンド名の“シュリスペイロフ”は、宮本さんが愛するマンガ家・しりあがり寿さんの作品のワンシーンから取ったんですよね。
宮本 「真夜中の弥次さん喜多さん」っていうマンガのある登場人物の名前から取ったんですけど、見たとき「コレだ! コレしかない!」って。
──なぜこの言葉を?
宮本 わかりやすくないもの、他にないものにしたいっていうこだわりがあって。名前からイメージしにくい響きが良かったんですよ。で、2人に「コレに決めたから!」って言ったん ですが、次の練習日には誰も覚えてませんでした(笑)。
ブチョー シュ、シュ……何? って。
宮本 それまで宮本バンドって呼んでたんですよ。ライブが決まったから名前も決めようみたいなノリで付けたので、結成5年越し(笑)。
ブチョー なんだかんだで名前が決まったので「やっと決まったー!」って少しテンション上がりました。
──バンド名の良し悪しじゃなくて、決まったことにホッとしたっていう。
ブチョー そうっす(笑)。
5年くらい、野口の下の名前知らなかったんです
──そして、去年の3月には初の正式音源「シュリスペイロフ」をリリース。
宮本 これを出して、CDを出してるバンドだっていうふうに周りの反応がちょっと変わりましたね。ライブに来てくれるお客さんに「音源作ってくださいよ!」って怒られてたんで(笑)。
──なるほど。じゃあ晴れて、っていう感じで。
宮本 そうですね。そのへんから音楽で食べていくぞっていう意識も出てきたような気がします。
──他のお2人も、その気持ちにブレはなかったですか?
野口 僕はなかったですね。
ブチョー はい、僕も。
宮本 まあ、長いこと一緒にいますからね。
──無意識に向いている方向は一緒っていう。
宮本 ええ。でも僕、5年くらい野口の下の名前知らなかったんです。
──ええっ!?
野口 ライブか何かでフルネームを書くタイミングがあって、宮本に「下の名前何だっけ?」って聞かれて。普通にショックでした。
2ndアルバムは全部出した感じ
──今回リリースする2ndアルバム「もぐる。」ですが。今作は聴いていて自然に生活の中に溶け込むというか、本当に気持ちが良くて。
宮本 ありがとうございます。もう、全部出したって感じです。今出せるもののベスト!
──今作も含め、シュリスペイロフの音源作りってどんな感じなんですか?
宮本 だいたいは僕がざっくりした感じを歌って、それに合わせて2人が弾いていく感じですね。
ブチョー 意見を提示しあって、それをキャッチボールするっていう。
宮本 こんなイメージで、とかは特に言わないことが多いです。何も言わないでやったほうが面白いものができたりするので。
──やはり10年やってきた、あ・うんの呼吸みたいなものってあります?
宮本 あるかもしれないですね。2人から出てくる音を聴いて、(イメージが)伝わってるなってわかりますから。やりやすいですね。
シュリスペイロフ
宮本英一(Vo,G)、野口寛喜(B)、ブチョー(Dr)によるスリーピースバンド。1999年札幌にて結成。その後5年間にわたってマイペースにスタジオ練習のみを続け、2004年に初ライブを実施。2005年に自主音源 「ダイバー」、2008年に初の正式音源となる1stミニアルバム「シュリスペイロフ」 をリリースする。地元・札幌を中心にアーティストから厚い支持を集め、同郷のサカナクションやmonobright、sleepy.abなどもファンであることを公言。結成10年目 の2009年5月に2ndアルバム「もぐる。」をBabeStar Labelよりリリースし、メジャーデビューを果たす。