ナタリー PowerPush - シュリスペイロフ
北の最終兵器ついにメジャー進出 独自のバンドヒストリーを語る
札幌を拠点にマイペースな活動を続けるロックバンド、シュリスペイロフ。宮本(Vo,G)の描くショートムービーのような心象風景と浮遊感あるサウンドで、ライブのたびにじわじわファンを獲得している3人組だ。そんな彼らが結成10年目の今、ようやく重い腰を上げて本格的な活動をスタートさせる。
10年間の濃い歴史を振り返るにはとても時間が足りないので、今回ナタリーでは重要かつ面白い部分だけをピックアップしてインタビューを敢行! 5月13日リリースの2ndアルバム「もぐる。」について、彼らならではのゆ るーい雰囲気で制作秘話を語ってもらった。
取材・文/川倉由起子 インタビュー撮影/中西求
初期衝動も焦りもなかったです
──結成して10年なんですね。
宮本 はい、気付いたらここまで来ていたっていうか(笑)。
──そもそもシュリスペイロフ結成のいきさつは?
宮本 僕が高校時代にコピーバンドを組んでて、オリジナルもやりたいなって思ったときに、ドラムが叩けるブチョーと一緒にやろうということになって。で、楽器屋さんにメンバー募集の紙を貼っていたら野口がベースで入ってくれたんです。
──ライブを初めてやったのはそれから5年後。どうしてそんなにマイペースでやってきたんですか?
宮本 うーん、単純に引っ張る人がいないんですよね(笑)。特に誰も「ライブやりてー」って言う人がいなくて。しかも「ライブハウスってどうやって出るの?」って感じだったし、ライブハウスにいる人たちって怖いイメージがあったので(笑)。
──バンド結成時によくある初期衝動みたいなものはなく?
宮本 なかったですね(笑)。学園祭で頑張ってるヤツらを見ると、「ナニ頑張っちゃってんの!?」っていう。
──いたってマイペースに。
ブチョー そうですね。焦りは全然なく。「このままで大丈夫かな?」っていうのは、ふと思ったりしましたけど。
帽子かぶったやつらにナメられてたまるか!
──そんな5年間の潜伏期間を経ての初ライブはどうでしたか?
宮本 いやー、とにかく緊張しました。想像どおり、ライブハウスの人たちってみんなオシャレで(笑)。
野口 室内で帽子かぶってるしね。
ブチョー あはは。
宮本 僕ら、リハーサルからかなり本気でやって。「ナメられてたまっか! 帽子かぶりやがって!」みたいな(笑)。
野口 もう意味がわかんなかったですよね。「リハって何?」っていう。セッティングの仕方も、本番と違うって怒られたり。
──でも、ひとつのターニングポイントではあったわけですよね?
宮本 そうですね。あのときは思い切りました。
──そこからは、コンスタントにライブをするようになったんですか?
宮本 はい。ライブハウスの店長とも話ができるようになって、その日のうちに次のライブも決めてもらって。
──それでもまだ、デビューしたいっていう貪欲さはなかった?
宮本 なんか、すごく軽く考えてたんですよね。とりあえず初ライブをしたってことが僕らにとってかなり大きな一歩だったんです。
シュリスペイロフ
宮本英一(Vo,G)、野口寛喜(B)、ブチョー(Dr)によるスリーピースバンド。1999年札幌にて結成。その後5年間にわたってマイペースにスタジオ練習のみを続け、2004年に初ライブを実施。2005年に自主音源「 ダイバー」、2008年に初の正式音源となる1stミニアルバム「シュリスペイロフ」 をリリースする。地元・札幌を中心にアーティストから厚い支持を集め、同郷のサカナクションやmonobright、sleepy.abなどもファンであることを公言。結成10年目の2009年5月に2ndアルバム「もぐる。」をBabeStar Labelよりリリースし、メジャーデビューを果たす。