音楽ナタリー Power Push - 0.8秒と衝撃。×丸佳浩(広島東洋カープ)

赤ヘルのスター選手がハチゲキを選んだ理由

プロ野球のベンチの様子

塔山 僕はプレッシャーを味方にする方法を知りたいですね。

0.8秒と衝撃。

 「打たなきゃヤバイ!」って考えすぎると、だいたいいい結果が残らないんですよね。ただ試合を重ねることである程度感覚が麻痺してくるというか、第三者視点で自分のことを見れるようになったんです。そこからすごくうまく回る感じになったんです。

塔山 第三者視点かあ。すごいなあ。

 先ほど塔山さんがおっしゃったことと同じです。「あまり細かいことに捉われないように」って言うのが大きいですね。ズルズル引きずってしまうのが一番ダメですから。まあ打てなかったら次がんばろうくらいの軽さがあったほうが、僕はいいと思っています。

塔山 球場ってとにかく大きいじゃないですか? たくさんのお客さんに見られていることに対して、緊張はしないんですか?

 最初は見られていることに対するプレッシャーもありましたけど、今はもう景色の一部みたいな感覚になっています。

塔山 やっぱりそうなんですね。

 お客さんが見ていることも含めて球場なんだって感じですね。

塔山 お客さんが景色の一部になって、やっぱりピッチャーと1対1の世界になるんですね。

0.8秒と衝撃。

 野球って間があるスポーツなんですよ。例えば1回1回投手がボールを投げる間に、すごくいろいろなことが考えられるんです。だからプレッシャーを感じすぎちゃうと、いちいち気が散ってしまう。なるべく目の間のことに対して集中して、対処するってことが大事なので。

塔山 すごい気概で挑んでるんですね。

野菜くん ベンチの雰囲気とかってどうなんですか?

 意外とプロ野球選手って淡々としているイメージをお持ちかもしれないですけど、選手みんなめっちゃ声を出すんですよ。

J.M. へー! そうなんだ!

 若手はみんな声出しですね。広島は特に声出しをしっかりしているチームかもしれません。声が出てないと「声出さんかい!」って叱られますから。

野菜くん めっちゃアツいですね。

 相手チームを揺さぶるようなかけ声もありますから。「ピッチャービビッてるで!」みたいな。

なぜ「野菜くん」なのか

 僕からも質問していいですか?

塔山 どうぞどうぞ。なんでもお答えします。

左からJ.M. (女性ボカル)、野菜くん(B)、丸佳浩、塔山忠臣(パンク作曲家)。

 僕、ずーっと野菜くんさんって、どうして「野菜くん」って名前なんだろうって気になってて。

塔山 野菜くんを認識していただいているところが、もうちょっとうれしいですからね。

野菜くん ありがとうございます。

 野菜がメッチャ好きか、野菜がメッチャ嫌いかのどっちかなのかなと思ってるんですけど……。

塔山 野菜くんはね、僕が命名したんですよ。彼の本名が「ヤナイ」なんですけど、「ヤナイくん」とか「ヤナくん」とかだとなんだか普通だな、と思って。いろいろ考えていたら「ヤナ」を漢字にするとき「野」に「菜」で表せるなってことを思い付いたんです。それで「野菜くんって呼ぼう」ってことにしました。

 じゃあ野菜が大好きとか、そういうわけではなくて?

野菜くん どちらかと言うと、肉が好きです。

塔山 でも名前が「野菜くん」になったら、バンドの中でも人気が出てきたよね。

野菜くん 本当に突然「野菜くん」になったんですよ。「次のライブから野菜くんだから」って言われて。

塔山 最初は嫌がってたもんね。でもライブ中にお客さんから「野菜くーん!」って呼ばれたりしているとき、まんざらでもない顔をしてたから(笑)。あ、これは結果オーライだって。

 いやー、スッキリしました。ずっと気になってたので。

野菜くん 覚えてもらえていただけでも「野菜くん」にしてよかったと思います。

曲のタイトルは「結果」

 ハチゲキってもともとライブをするようなバンドではなかったんですよね?

塔山 はい。最初は「ライブはしなくていい」ってことになっていたくらいですから。それがいつの間にやらライブをするようになって、フェスにまで出てるわけですから、世の中何が起こるかわからないですね。

左からJ.M. (女性ボカル)、野菜くん(B)、丸佳浩、塔山忠臣(パンク作曲家)。

 やっぱりステージに立つのは楽しいですか?

J.M. 楽しいです!

塔山 面白いですね。もともと僕は部屋で曲を作って満足するタイプだったんですが、皆さんの前でライブをするのは、また違った喜びがあります。

野菜くん 普通に生活してたら経験できない、“非日常的な経験”ができるっていうのは面白いです。

 そうなんですね。僕は人前で歌ったりとか絶対にできないですから、イメージできないですね。

塔山 ヒーローインタビューとかで歌ってみたらどうですか?

J.M. 聞いてみたいですね。

 僕は無理ですけど、歌に自信のある選手はファン感謝祭とかで歌うんですよね。

野菜くん ああ、ありますね。

 3万人くらいのお客さんの前で歌うわけですから、すごい度胸ですよね。

塔山 うわ、スタジアムライブだ! 僕らよりすごい!

 話している間に、書いてもらう曲のタイトルが思い付きました。

塔山 なんですか?

 「結果」ってどうですか? 僕、あまり座右の銘とかはないんですけど、ヒーローインタビューとかでよく「結果が出せてよかった」とか「結果がすべてです」って言うことが多くて。「結果」という言葉が曲になったらうれしいですね。

塔山 わかりました。「結果」ですね。「KEKKA」みたいにローマ字にしてもカッコいいですね。誠心誠意、曲を書きますので気に入ったら登場曲にしてください。

 絶対気に入ると思います。ぜひよろしくお願いします!

0.8秒と衝撃。 ミニアルバム「つぁら﹆とぅ﹆すとら」 2017年3月15日発売 / 1620円 / HAGATA / HAGT-004
「つぁら﹆とぅ﹆すとら」
収録曲
  1. ブレイクビーツは女神のために
  2. 狂音ミク
  3. レボリュ。
  4. 饅頭こわい
  5. 痛みの犬
つぁら﹆とぅ﹆すとらTOUR“永遠回帰”
  • 2017年5月12日(金)
    愛知県 ell. SIZE
  • 2017年5月20日(土)
    大阪府 LIVE HOUSE OSAKA BRONZE
  • 2017年5月28日(日)
    東京都 新代田FEVER
0.8秒と衝撃。(レイテンハチビョウトショウゲキ)
0.8秒と衝撃。

塔山忠臣(パンク作曲家)とJ.M.(女性ボカル)の2人を中心にライブは野菜くん(B)、有島コレスケ(Dr)、ユータテレキャスター(G)、クッキー(G, Syn)の4人を迎えて行われる。2009年に1stアルバム「ZOO&LENNON」を発表。独自の音楽性と過激なライブパフォーマンスで人気を集め、「ARABAKI ROCK FEST.」「RISING SUN ROCK FESTIVAL」「MONSTER BaSH」「COUNTDOWN JAPAN」など、数々のロックフェスティバルに出演した。2017年3月に新作ミニアルバム「つぁら﹆とぅ﹆すとら」をリリース。同年5月には東名阪を回るツアー「永遠回帰」を開催する。

丸佳浩(まるよしひろ)

1989年4月11日生まれ。右投げ左打ち。外野手。千葉経済大学附属高等学校を経て、2007年の「プロ野球ドラフト会議」で広島東洋カープから指名を受けて同チームに入団した。2013年にはセ・リーグの盗塁王を獲得。2014年には19本塁打、166安打、打率.310を記録し、初のベストナインに選出される。2014~2016年まで東洋広島カープの全試合に出場を果たし、2016年には自己最多となる20本塁打を記録した。