UUUM、ナターシャ、auが共催するライブイベント「SYNERGY」第1回が9月21日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で開催される。
「SYNERGY」は、UUUMに所属するクリエイターとさまざまな世界で活躍するアーティストが出演する新企画。第1回にはかねてより親交のあるアバンティーズとSKY-HIが登場し、それぞれのライブパフォーマンスや「SYNERGY」ならではのコーナー企画を実施するほか、uP!!!ではイベントの模様が生配信される。
イベントに先駆けて、音楽ナタリーでは2組のインタビューを企画。すると取材当日、アバンティーズがSKY-HIに「初対面なら“リクヲが別人”でも気づかない説。」と題したドッキリ企画を仕掛けるという驚きの展開に。アバンティーズでは唯一SKY-HIと初対面のリクヲが、エキストラの方と入れ替わったまま取材が進んでいくというサプライズを行った。ネタばらしを経て現場が笑いに包まれる中、2組にイベント実現の経緯や、ライブ本番への意気込みなどを語ってもらった。
取材・文 / 高岡洋詞撮影 / 朝岡英輔
- UUUM×ナターシャ×au「SYNERGY」第1回
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- 2021年9月21日(火) 東京都 Zepp DiverCity(TOKYO) <出演者> アバンティーズ / SKY-HI
- ライブ入場チケット(ローソンチケット)
- オンライン生配信チケット(uP!!!)※生配信+アーカイブ
「どうかしてる!」と思いました
──ドッキリのネタばらしも済んだことですし、インタビューに入らせてもらいますね。ナタリー読者には最初にドッキリ動画を観てもらうとして、ここからはリクヲさんにも参加していただこうと思います。
リクヲ(アバンティーズ) 今日がはじめましてなのに、ドッキリしてしまってすみませんでした!
SKY-HI 「なんか印象違うなあ」とは思ったんだけど、楽屋挨拶でも「リクヲです」って紹介されたから、もう信じて疑わなかったよね(笑)。結果リクヲくんを傷付けてしまったけど……。
そらちぃ(アバンティーズ) 日高さん(SKY-HI)、もうドッキリ仕掛けられるの嫌ですか?
SKY-HI いや、もうちょっと欲しい。
アバンティーズ あはははは!
──さて、2組はライブイベントで共演するのは今回が初めてですが、どちら側からの働きかけで実現したんですか?
そらちぃ 僕ら側です。誰と共演したいか考えたときに、僕が普段から仲よくさせてもらってる日高(光啓)先輩の胸を借りようと。
SKY-HI 正直、アバンティーズから声をかけてもらったときは「動画でコラボするのかな?」と思ってました。YouTuberの方々はよくコラボをしているイメージがあったので。だからこちらも「胸を借りる気持ちでやらせていただきます」と返事をしたら、今回の共演は意外にもライブイベントだったという(笑)。
そらちぃ 日高さんは僕たちの曲をご存じないと思うので、当日ぜひパフォーマンスを観ていただきたいですね。
SKY-HI 詳しくはないけど、まったく知らないってことはないよ。そらちぃが音楽に強い愛情を持ってることは聞いていたし。でも、「それなら今度『THE FIRST』というオーディション番組を始めるんだけど、受けてみない?」って話したら、断られちゃったよね。
そらちぃ いやあ、受けたかったんですけどね(笑)。
SKY-HI ウソつけ(笑)。3回くらい誘ったのに受けてくれなかったんですよ。まあそれはともかく、そらちぃが音楽に真面目に取り組んでいたのも知っていたし、友人としての関係がありながらライブを観たことないというのは不誠実な気がしたんです。深い付き合いをしている人間ならば、音楽面でも何かしらの関係を生むべきなんじゃないかと思ったというか。なので、動画コラボじゃないと判明したあとも「ご一緒させてください」という気持ちは変わりませんでした。
──そもそもSKY-HIさんとそらちぃさんは、どんなふうに知り合ったんですか?
SKY-HI (不満そうに)ちゃんみなが……なんか……。
そらちぃ ちゃんみなのせいみたいに言うな(笑)。去年、ちゃんみなが対バンツアーに呼んでくれたんですけど、東京公演にSKY-HIさん、大阪公演にACE COLLECTION、愛知公演に僕らが出るという組み合わせで(参照:ちゃんみな対バンツアーのペアチケットが当たる、モンスターエナジーコラボ)。ツアー前の「がんばろう会」みたいな集まりに僕とツリメで行ったんです。
SKY-HI そうそう、ツリメさんとファラオくんがね。
そらちぃ 当時僕が動画の罰ゲームでファラオの格好をしていたという。
SKY-HI 東京のド真ん中に妙な服装で来たんで「どうかしてる!」と思いましたね。
そらちぃ 正気だわ(笑)。ツリメのことも「ツリメです」ってちゃんと紹介したのに、なぜかずっと本名でしか呼びませんでしたよね。
ツリメ(アバンティーズ) 僕、あのとき日高さんからもらったバレンタインチョコを置き忘れて帰っちゃったんです。帰りに「あれ? なんか手持ち無沙汰だな」と気付いて。あのときは本当にすみませんでした。
SKY-HI いえいえ、僕がおいしくいただきましたよ(笑)。
「SYNERGY」当日の差し入れは
──そらちぃさんとSKY-HIさんはこれまでにコラボ動画も公開されていますよね。そらちぃさんと一緒にいるときのSKY-HIさん、ボケ倒していてすごいなと思いました。
SKY-HI いやいや、けっこう僕がツッコんでると思いますよ。
そらちぃ ウソつけ(笑)。
SKY-HI ハイボールのくだりは完璧だったでしょ? あれは気持ちよかった。前に2人でいろんな質問に答えるという動画を上げたんですけど、僕がずっと質問にふざけて回答していて。でも「好きなお酒は何ですか?」という質問に「ハイボール」と即答したら、そらちぃに「そこだけストレートなのかよ!」とツッコまれたんです。それに対して、「ハイボールはソーダで割ってんだからストレートじゃねえよ」と切り返したという。
ツリメ うわ、めっちゃうまい(笑)!
SKY-HI その動画、ちゃんと埋め込んどいてくださいね。
そらちぃ そんなこともありましたね(笑)。そういえば、僕も実はまだ謝ってないことがありました。あの動画の最後、じゃんけんで負けた僕が日高さんに空気清浄機をプレゼントすることになってたけど、まだ渡せてなくて。
SKY-HI (そらちぃを見ながら)事務所も引っ越したし、ちょうど空気清浄機が欲しいなって思ってたんですよ。
ツリメ ヤバいヤバい。すぐあげなきゃね。
そらちぃ 「SYNERGY」の当日に、「差し入れです」って楽屋に空気清浄機を持って行こうと思います。
SKY-HI いっちばん高級なやつを頼みますよ。プラチナ製。
そらちぃ 1万6000円くらいのでいいって言ってたじゃん!
SKY-HI 1万6000ドルですけどー?
ツリメ 1万6000ドル分、いっぱいあげればいいじゃん。
そらちぃ お前が買えよ(笑)。とまあ、こういう感じで普段から仲よくさせていただいてます。
持って行ったのはヘッズの心
──そらちぃさんにとってSKY-HIさんはどんな先輩ですか?
そらちぃ 友達みたいな感じで入っちゃいましたけど、もともとは普通に曲を聴いてましたし、ファンでした。だから憧れの先輩というか。
SKY-HI 俺の後輩にファラオはいないっすよー。
そらちぃ いつもこんな感じ(笑)。僕、たぶん珍獣として認識されてるんですよ。ファラオで入っちゃってるから。
SKY-HI いや、人類の長い歴史から見たらファラオはむしろ先輩か。見たことのない実際のファラオが先輩で、見たことのある偽物のファラオが後輩だから、相殺して俺らは友達くらいがちょうどいいのかなって。
──アバンティーズは動画クリエイターとしての活動の傍ら、2019年に1stアルバム「old color」、2021年8月には2ndアルバム「Fresh Color」をリリースしていますよね。皆さんはもともと音楽好きなんですか?
ツリメ みんな好きではあるよね。
そらちぃ 音楽活動を始めようと言ったのは僕なんです。小学生の頃に和太鼓を6年やって、中学時代にヒップホップが好きになって、高校と大学時代にはサイファーに行ったりもしました。
SKY-HI サイファーには撥(バチ)を持ってね。
そらちぃ 撥じゃねえし(笑)。持って行ったのはヘッズの心です。SKY-HIさんが「フリースタイルダンジョン」のED曲「Enter The Dungeon」(2015年11月発表)をリリースされてた頃で、そういう先輩たちを見てヒップホップにのめり込んでいった世代です。僕はBuddyという名義でラッパーとしても作品を出しているんですが(参照:Kick a Show人気曲MV公開、アバンティーズのそらちぃがBuddy名義で参加 / JABBA DA FOOTBALL CLUBのROVINとアバンティーズそらちぃがユニット結成)、僕にとって活動のスタート地点はアバンティーズだったから、地元をレペゼンするよりも僕らがネットから始まったんだという文脈を大事にしたほうがいいだろうと思って。「一緒に音楽やってみない?」とメンバーを誘ったのが始まりですね。
ツリメ ファンに喜んでもらうために何か新しいことをやりたいねと話していたときに、ちょうどそらから話があったので、「それじゃあやってみようか」とスタートしました。
そらちぃ それで2018年4月に「アバみ」という曲を出したのが最初です。
──ニューアルバムの「Fresh Color」、前作以上に曲のバリエーションが豊富で面白かったです。
そらちぃ ありがとうございます。「old color」は僕が全曲作ったんですけど、今回はメンバーそれぞれのやりたいことをやろうと話して、1人につき2曲ずつ作ったんです。なので前作よりもそれぞれの色が出ている作品になったかなと思います。今後の音楽活動でも、アバンティーズとしては僕たちの関係でしか伝えられないことをやるべきかなと。
リクヲ 僕とツリメがもうちょっとスキルアップして、みんなでどんどん作っていけるような形になればいいなと思います。
SKY-HI もともとみんなは小さい頃からの同級生なんだっけ?
そらちぃ ツリメとは小学校、リクヲとは中学校からの同級生です。その関係性の延長線上で始めたことなんで、やっぱり仕事としてうまく割り切れない部分もまだあるんですけど、それを僕らの長所と捉えて、音楽にもYouTube活動にも反映させていけたらいいなと思ってます。
──かたやSKY-HIさんは、9月1日にTHE ORAL CIGARETTESの山中拓也さんを迎えたデジタルシングル「Dive To World」をリリースされますね(取材は8月中に実施)。今回はどんな曲に仕上がっていますか?
SKY-HI 自分的にはメロコアのつもりで作りました。(山中)拓也と自分を足して2で割ったら、この落としどころが必然なのではないかと思って。ビートはKMくんに作ってもらったんですけど、最近僕が海外のインディーロックにハマっていることもあって、ロー成分バッチバチの現行のインディーロック的なサウンドにしてもらいました。
──それは楽しみですね。
SKY-HI そのうえで、「上モノでいかに遊ぶか」というテーマのもうちょっと先に行きたいと思って。力強い音に乗せて「前へ前へ」と行こうとする精神そのものが、メロコアっぽいじゃないですか。ここ最近漂っている鬱屈とした気持ちを、「うるせえ!」と気持ちよく一蹴するような曲を作りたかったんですよね。
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未知の文化の担い手と作る空間