インターネットを最大限に利用する新世代ユニット

東京に住んでいるDaichiがバンコク在住のMayと出会ってから現在に至るまで1年半。国境を隔ててユニットを結成した2人は、インターネットを介したやりとりで曲を作り続けることになる。Daichiが思い描いていた当初の計画は完璧に進行し、彼らは昨年11月にリリースされた1stアルバム「Do the Vacation!!」、そして今回のアルバム「More the Vacation!!」を完成させた。

「住んでいる街の距離が遠いことに不便を感じたことはないです。歌詞や楽曲のコンセプトは会って話すこともあるし、メールのときもある。レコーディングをする前に、メールで音源を聴いてもらって、しっかり工程を詰めるのでスムーズですよ。Sweet Vacationはインターネット経由でさまざまな人に知ってもらっていますが、それだけでなく2人の間のコミュニケーションもネットのおかげでうまくいっています」（Daichi）

まさにネット時代ならではの活動形態。ちなみに彼らは自身の楽曲にクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを採用し、動画サイトなどへのアップロード＆ダウンロード、リミックス制作などを非営利に限り許諾している。結果としてユーザーによるブログパーツやリミックスがネット上にて増殖するという現象が勃発。口コミによる評判がますます加速することになった。そんなSweet Vacationのスタンスは、今後現れるだろうフォロワーたちにとってもひとつの指針となるのかもしれない。

J-POPの枠を超えて世界で通用する最強ポップス

Sweet VacationのサウンドはJ-POPという枠組みの中にありながら、その照準は海を越えてあらゆる場所へと向けられている。実際、彼らのキャッチーでハイブリッドなサウンドは日本国内のみならず世界規模で支持を拡大中。もともとDaichiはSweet Vacationというユニット自体をグローバルな視点で結成したようだ。

「商業音楽の歴史って日本がアジアで一番長いんですよね。なので、プロデュース力という意味では、今のところ他のアジア諸国に比べて日本にちょっと軍配が上がると思っています。でもシンガーっていうのは生まれ持った声とかキャラクターとか、そういうもので決まるじゃないですか？　ということは日本人プロデューサーが国籍に関係なく才能のあるシンガーと手を組んだら、J-POPの枠を超えて世界で通用する最強ポップスを作ることができるんじゃないかなと」（Daichi）

目標は自分たちが自慢に思える作品を作ること

ニューアルバム「More the Vacation!!」に収録される「Sexy Girl」は、ティーン向けへアコロン「Sexy Girl」とのCMタイアップを獲得。テレビCMにはMay本人が出演しており、いよいよ本格的なブレイクの気配を感じさせている。これまでDaichiの描いた設計図どおりにすべての駒を進めてきたSweet Vacationだが、これから先の活動について彼らは今どのような計画を企てているのだろう。最後に今後の展望について尋ねてみた。

「活動の計画はスタッフといっしょにしっかり立ててますよ。だけどきっとMayに振り回されるでしょうね(笑)。計画通りでなくてもいい。彼女のエネルギーに引っ張られて良い方向に進んでいくんじゃないかな」（Daichi）

「有名になったり成功することを目標とは考えていません。とにかくベストを尽くして仕事をすることが自分にとってのゴールだと思っています。自分たちが自慢に思える作品をこれからも作っていきたいですね」（May）