ナタリー PowerPush - suzumoku

躍動の2013年を締めくくる変革のニューシングル

自分以外の人を考えながら制作するようになった

──サウンドに関しても、今までのsuzumokuさんのテイストとはかなり違っている印象を受けました。

suzumoku

「零ドライブ」に関しては、今までにやったことのないリズムで勢いのある感じを意識しました。さらにシンセサイザーが入ったことで、この曲のカラーがしっかり決まったと思います。曲の前半部分ではシンセの音が誰かの愚痴みたいに耳障りな感じで鳴っているんですけど、サビに入ったらスカッと消えるんです。人には言えないけど叫びたくなるような気持ちを、暗いトーンじゃなく前向きに表現できたんじゃないかなと思ってます。

──「グライダー」はボブ・ディランのスタイルが下敷きになってますよね。

最初はアコギで作り始めたんですけど、エレキギターに持ち替えたらボブ・ディランみたいになりました(笑)。こういうテイストも初めてかもしれないですね。僕はThe Beatlesとボブ・ディランが大好きなんですけど、今まではこういう感じの曲を作ってなかったから。

──似てると思われるのがイヤみたいな感じもあった?

あったかもしれないですね、ちょっとヒネくれてるところがあるので(笑)。エレキだから「こういう感じもいいかな」って思えたのかもしれないです。エレキを弾くようになってから2年くらいしか経ってないんですけど、その頃から曲の幅も広がって、少しずつリスナーにメッセージを届けられているっていう実感があって。あとバンドでライブをやるようになったのも大きいと思います。アコギ1本でやってると、どうしても曲が自分だけで完結しがちなんですけど、最近は曲を作ってるときに頭の中でほかの楽器の音をイメージすることが増えてきたので。「ここでベースが入ってきたらカッコいいだろうな」とか、自分以外の人のことを考えながら制作するようになったっていうのは、明らかに変わってきた部分ですね。

──どんどん外に向かって開いている感じがビシビシ伝わってきます。2014年のsuzumokuさんの展開もめちゃくちゃ楽しみです。

今までは“自分のためにやっている”という感覚が拭い切れないところがあったんです。でもそういった感覚も、今年のバンドツアーあたりから少しずつ変わってきたかな。自分が歌うことでお客さんが笑ったり、拳を挙げて盛り上がったりするのって、すごくいいなって思うようになって。今回のシングルもそうですけど、曲のメッセージを受け取った人が、何か行動を起こせるようになったらいいなとも思うし。やっぱり音楽は誰かのためにやるものなんだと実感しました。そこを信じてやっていこうと思いますね。

零ドライブ / suzumoku

平成25年度[静岡県]人権週間×suzumoku スペシャルムービー

配信限定シングル「グライダー / 零ドライブ」 / 2013年12月4日発売 / apart.RECORDS
配信限定シングル「グライダー / 零ドライブ」
収録曲
  1. グライダー
  2. 零ドライブ
下記サイトにて配信中!
レコチョク
mora
suzumoku(すずもく)
suzumoku

1984年生まれ、静岡出身のシンガーソングライター。名古屋の楽器制作の専門学校で、ギターやベースの製作を行いつつ、自身もロックやカントリーに影響を受けた音楽を制作するようになる。駅前のストリートやライブハウスでの活動を始めるものの、就職と同時に音楽活動を休止する。その後再び音楽の道を志し、2007年1月に上京。同年10月にアルバム「コンセント」でデビューを果たす。その後、弾き語りやバンドスタイルでのライブを展開しながら2011年7月にエレキギターによる弾き語りアルバム「Ni」を、2012年7月にアコースティックギターによる弾き語りアルバム「80/20 -Bronze-」を発表。2013年3月にはオリジナル曲のみで構成された作品としては初となるフルアルバム「キュビスム」を発売し、3月から6月にかけて47都道府県ツアーを開催した。7月にライブアルバム「たどり着いた景色はどうだい?」、9月にクラシックギターの弾き語りによるコンセプトアルバム「Rusty Nylon」を発表した後、12月に配信限定シングル「グライダー / 零ドライブ」をリリース。