鈴木瑛美子|ミュージカルで成長したゴスペル女子高生、亀田誠治と再タッグ

欲が出ちゃった

──2曲目にはトオミヨウさんがアレンジを手がけた「You gotta be」が。

鈴木瑛美子

最初のデモを聴いたときから「これ歌いたい!」って思いました。全体的なグルーヴ感とかコーラスの感じとか、この曲が持っている魅力は自分のルーツにあるゴスペルやソウルな雰囲気にハマるなと思ったんですよね。で、トオミさんがアレンジしてくださったものは、まさにそういった仕上がりになっていて。レコーディングは、もう最高でしたね。ギターのカッティングやベース、トオミさんが弾いてくださったピアノなど、1つひとつの音すべてに対して感動してしまいました。この曲もアレンジ面は基本的にお任せしていたんですけど、トオミさんと作業していく中で、「ここをこうするのはどうですか?」みたいな感じでお願いをして、欲が出ちゃったんでしょうね(笑)。

──ジャズテイストを持つソウルなサウンドが鈴木さんの歌声にマッチしていますよね。

この曲は、自分の進むべき道に対して悩みを抱えている人に「大丈夫!」と言ってあげられる曲になっているので、そのメッセージをどう伝えるかを考えましたね。ちょっとラフな感じもありつつ、でも聴き手を強く説得できるような声を出すことをイメージして。

──トラックに強さがあるので、そこに負けない歌唱を求められたところもあったんじゃないですか?

そうそう。ほかの曲もけっこうそうだったんですけど、クリエイターの方々は鈴木瑛美子が歌うことを意識して、しっかり強いインパクトを持った曲作り、アレンジをしてくださるんですよ。これだけ作り込んでも、それに負けない歌を歌ってくれるはずだって期待してくださっているのかもしれないんですけど(笑)。なので、負けない歌を歌うことはすごく意識しました。それと、この曲では、ただ強いだけの表現にならないように気を付けて歌いましたね。

──3曲目の「Back Home」は、デビュー曲「FLY MY WAY」も手がけられていた渡辺善太郎さんのアレンジになっていますね。

カッコいい曲ですよねえ。私自身すごく大好きだし、きっと皆さんも気に入ってくれるんじゃないかなと思っています。「FLY MY WAY」のときもそうだったんですけど、善太郎さんは想像を超えた旋律を持つ、すごくきれいなコーラスを作ってくださるんですよ。それが毎回新鮮なんですよね。今回はDメロに行く前のコーラスをかなりこだわって作りました。私もいろいろアイデアを出させていただいて、何度もブラッシュアップしていったので、すごく思い入れがありますね。

──終わった恋への思いがつづられた歌詞の世界を、歌でどう表現しましたか?

「まだ好き」っていう未練と一緒に、前を向いて立ち直る気持ちも描かれている歌詞になっているので、それをちゃんと歌でも表現しようと思いました。悲しさや寂しさを込める部分と、前を向いた強さを込める部分、そのコントラストをすごく考えながら表現していきました。

“cheer up!”にこだわり

──そして4曲目には多保孝一さんがサウンドプロデュースを担当した「Hail! Mr. Happy Days」を収録。ゴスペル要素を盛り込んだ、ハッピーなアッパーチューンです。

さっきも言いましたけど、私はアップテンポの曲があまり得意ではないんです。でも多保さんが私のルーツであるゴスペルや、Queenのようなロック感をアレンジに加えてくださったので、アップでメジャーなサウンドだけど、しっかり曲の世界に入り込んで歌うことができましたね。ちなみにレコーディングされたオケを聴いたとき、私はけっこう疲れてヘロヘロ状態だったんですけど、再生した瞬間、パーンと一気に明るくなって疲れが吹き飛んだんですよ(笑)。そんな力を持った曲だと思います。

──歌声にもテンションの高さが滲み出ていますよね。本当にハッピーになれる歌。

この曲は多保さんが歌のディレクションもしてくださったんです。音程はもちろん、歌い回し、勢い、表現に強いこだわりがあって、「もうちょっと!」「惜しい、あと1回!」みたいに繰り返し何度も歌ったところもあります。自分的には“cheer up!”の歌い方にこだわりましたね。最初は音程が下がる歌い方だったんですけど、応援する言葉だったらやっぱり音程を上げるべきなんじゃないかなと思って。実際、上げて歌ってみたところ、多保さんにも「そっちのほうがいいね」と言ってもらえたのがうれしかったです。早くみんなにも聴いてもらって、私のように元気になってほしいですね。

──本作に収録されたタイプの違う4曲でそれぞれ歌の表現を突き詰めたことで、ご自身としては大きな達成感を味わえたんじゃないですか?

ホントに味わえました! 提供曲を自分なりに最大限表現したいという目標はしっかりこの作品で叶えられたと思うし、そのうえで将来的にはさらに異なるジャンルや歌詞で自分がどんな表現をするのかが楽しみになったところもあって。新たな可能性が見えたような気がしますね。

──ひさびさのリリースを経て、ここから先に何かやってみたいことはありますか?

今回は提供曲でしたけど、また自作曲でも今の私の世界観をみんなと共有したいですね。まだまだ出せていない私の中の要素はたくさんあるはずなので。あとはやっぱりライブかな。今はまだ難しくても、近い将来には改めて歌声をお届けできる機会も持てると思います。私の声の響きを、またみんなに直接聴いてほしいですね。

鈴木瑛美子