Sunny Sunnyインタビュー|あさぎーにょが別名義で表現する、人々を優しく照らす音楽

あさぎーにょによる新たなプロジェクト・Sunny Sunnyが、新曲「One Sunny Day」でソニーミュージックよりデビューした。

クリエイティブアーティストとしてSNSやYouTubeで人気を集め、音楽活動も行ってきたあさぎーにょ。彼女がSunny Sunnyとして“サニーの日”である3月2日に配信した「One Sunny Day」は、親交のあるましのみと歌詞を共作し、ましのみが作曲を手がけた1曲だ。「One Sunny Day」を皮切りに、Sunny Sunnyは5カ月連続の配信リリース企画を展開中。4月にはましのみとの再タッグで新曲「神さまお願い」を発表する。

あさぎーにょとして人気を獲得しながらも、なぜSunny Sunnyという別名義での活動を始めたのか。本人に話を聞くと、彼女の音楽活動に対する真摯な思いが見えてきた。

取材・文 / 西廣智一撮影 / 大川晋児

10年経って見つけられたもの

──あさぎーにょ名義でも音楽活動をされていたのに、なぜ新たにSunny Sunnyというプロジェクトを立ち上げたんですか?

「このタイミングで名前を変えて歌手デビューしよう」ということはもともと考えていなくて、単純に素敵なメンバーに巡り会えて、自分が考える世界観を一緒に作ることができるチームなのでプロジェクトにしようと思ったんです。Sunny Sunnyという名前は、温かみのある、包み込むような“おひさま”の光の雰囲気をテーマにしたくてつけました。Sunnyを2つ並べたのは、光と影を表現したかったから。今までもあさぎーにょとしてSNSで活動してきましたが、そこだけでは表現しきれない、光の裏にある影も織り交ぜた音楽を作りたかったんです。

──なるほど。

影の部分、どちらかというとネガティブな部分も、最終的にはポジティブなメッセージに変換できるのが音楽だと私は捉えているので。あと、もともと私は子供の頃から歌手になりたくて、ちょうど10年前に上京してきたので、10年経った今、このように改めてデビューさせてもらえることはすごく感慨深いです。

Sunny Sunny

──そういう意味では、ご自身の原点を振り返ると言いますか、音楽活動をもう一度見つめ直すというテーマも多少なりともあったんでしょうか?

そうですね。10年前にオーディションを受けたり路上ライブをしたりしていたんですけど、そのときに音楽をやる意味みたいなところを考えすぎてつまずいてしまっていて。「歌うことは大好きなんだけど、これに人生を懸けて何をしたいのか」とか、オーディションでの「なんで歌手になりたいんですか?」という質問に対しても「ちょっと本当の自分の気持ちとは違う、美化した言葉を並べてしまっているんじゃないか」と悩むようになっていたんです。でも、当時は出てこなかった「歌手になって何がしたいか?」という思いが今は確実に存在していて。それは新たに見つかったものではなくて、10年前に思っていたけどしっかり言葉にできなかったこと、10年活動して遠回りはしてきたんですけど、今見つけられたものなんです。

“あさぎーにょ”を使わない理由

──あさぎーにょという名前がすでにあるのに、あえてSunny Sunnyという名前で活動する、その差別化についてはどのように考えましたか?

音楽活動を今のチームでやっていきたいと思ったときに、どのような曲を届けていきたいか、そのメッセージまで深く考えていくと、まずはその音楽で作り出す世界観を多くの方に好いてもらいたいしファンになってもらいたい。だったら名前も変えて作っていくのがいいのかなと思ったんです。これをあさぎーにょ名義で発表したら、その名前から受けるイメージが曲に混ざってしまって、こちらが意図したものが伝わりにくくなるんじゃないかと思って。あさぎーにょのイメージを抜きに、単純に曲を好きになってほしいという思いも込めて、名義を分けました。

──見方によっては、すでに知れ渡った名前があるのに、それを使わないのはもったいないんじゃないかという考え方もありますよね。

確かに。でも、これはあさぎーにょとしてのいちチャレンジ企画というわけではないので。これまでもファッションブランドやSNS活動をやってきましたが、それぞれ伝えたいことは少しずつ違っているけど「ワクワクを抱きしめよう」という軸にあるメッセージは一貫していて。だから、作りたい世界観によってちゃんと分けたいなという気持ちが大きいんです。

──となると、ビジュアル面にもこだわり、見せ方も普段のあさぎーにょさんとは違ったものを見せようと考えた?

はい。例えばお洋服で光と影をイメージしてもらうために白を基調にしたり、髪色は金髪だったり……いろいろ考えながら作っています。

──写真に関しても、顔をあえてはっきり見せないようにしていますが。

そうですね。今のところは、顔をあまり出していなくて。顔を隠すことに大きな理由はないんですけど、まずは曲を聴いてほしいので、そこまで自分の顔を強く打ち出したくなかったんです。

──あさぎーにょさんの名前と顔が一致する方も少なくない中、あえてそこを一致させない音楽活動だからこそ、言葉とメロディにまず注目してほしいと。それもきっと今だからこそやれることかもしれませんね。

そうですね。10年前はこういう世界観も確立していなかったですし、伝えたいメッセージも言葉にはできていなかったので、悩んだ時期があったからこそ、今があるという気がします。

Sunny Sunny
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“影の時代”を経験したからこそ

──表現活動はすべてそうだと思いますが、例えば音楽であれば歌詞や歌い方にこれまで経験してきたことがにじみ出ると思うんです。きっと10年前には10年前のよさがあったと思いますが、ここまでいろんな経験を積んできたあさぎーにょさんから出てくるメッセージや歌がどんなものになるのか、あさぎーにょさんのことを知っていればいるほどワクワクするんじゃないかと。

本当におっしゃる通りで。音楽を始めたあとにちょっと“影の時代”に入り、そこからYouTubeやInstagramを始めて、その途中でどんどん好きなことが広がっていきました。「ワクワクを抱きしめよう」という私の活動で貫いているメッセージは、ファッションでも音楽でも一貫して伝えたいことではあるんですけど、そういうメッセージもSNS活動をしていなかったら出てこなかったと思っていて。なので、Sunny Sunnyでも「ワクワクを抱きしめよう」という大きなテーマはありつつ、その中で人生という物語の一瞬一瞬を照らす音楽を届けたいという思いがあります。

──実は1年前に音楽ナタリーがインタビューした際、あさぎーにょさんは「音楽でしかできないことを、今は模索している最中」とおっしゃっていて(参照:あさぎーにょ×竹林亮インタビュー|「グッバイ、コスモス」で提示する、自分の物差しを持つ生き方の魅力)。

言ってました? すごい! そう思うと、その模索期間は思いのほか短かったかもしれないです(笑)。

──じゃあ、じっくり時間をかけてここにたどり着いたわけではなく?

はい。今作りたい世界観が見えてきたり、音楽でしか届けられないメッセージが明確になったり、一緒に作りたいと思うメンバーと出会えたり……というタイミングが重なったんです。

Sunny Sunny

声がかわいくなりすぎちゃう

──ここからは第1弾シングル「One Sunny Day」についてお話を伺っていきます。楽曲制作にましのみさんが参加していますね。

ましのみちゃんとはもともと仲よくさせてもらっているんですが、この曲は音楽活動においての自分の声の悩みとかイメージの具現化の方法とかいろいろ相談したところから始まっていまして。「もっとこういう感じがいい」という考えをなかなか言葉にできなくて、それを相談していくうちに「一緒に作ってほしい」ということになりました。

──声の悩みというのは、具体的にどういったことですか?

私は歌うことはすごく好きなんですけど、自分が作りたい世界観がうまく表現できていない気がしていて。その理由が自分の声なのか、歌詞での言葉のチョイスなのかがわからなくて、そういう気持ちを相談していました。

──まさに前回のインタビューでも「声がかわいくなりすぎちゃうのがコンプレックス」とおっしゃっていて。

すごい! 伏線回収していますね(笑)。そう思うと、前回取材していただいたことで、ここまでの経緯がわかりやすくなりましたね。

Sunny Sunny

──最初におっしゃった「影の部分も表現したい」ことを考えると、声がかわいすぎると世界観がスウィートになりすぎてしまう懸念もあった?

そう、キレイすぎたりキラキラしすぎたりすると、影の部分が出しにくくて。もっと自分が描きたい世界観を一貫して作り込んでいきたかった。今までも楽曲はちょこちょこ発表してきましたが、一貫したテーマはなくて。でも、音楽でもしっかりした世界を作りたいと思ったときに、自分の声も研究して、どういうものがマッチするのか、光と影の両方を表現するにはどう作っていくのかを、ましのみちゃんを含めたたくさんのメンバーと話し合って形にしていってます。

──トータルバランスが大切だからこそ、客観的に見て最適なものを引き出す、それが今回のましのみさんの役割でもあったと。

はい。私がどういうものを求めているのかをヒアリングしてくれましたし、ましのみちゃん以外にソニーミュージックのスタッフさんも一緒に模索してくれました。