音楽ナタリー PowerPush - StylipS

声優ユニットの進化形 新作レビュー&ライブレポ

「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」2015年4月19日 東京都 TOKYO DOME CITY HALL公演 ライブレポート

2013年4月、オリジナルメンバーの能登有沙と松永真穂に、新メンバーの豊田萌絵と伊藤美来を加えた4人での活動をスタートさせたStylipS。その後シングル3作のリリースを重ね、2014年11月には現体制で初のオリジナルアルバム「THE SUPERNOVA STRIKES」を発表した。それぞれの個性とグループとしての結束力をさらに強めた4人は、このアルバムを携えて東名阪3都市を回る初のライブツアー「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」を行った。ここではツアーファイナルとなった4月19日の東京・TOKYO DOME CITY HALL公演の模様をレポートする。

開演予定時刻を少し回った頃、明かりが落とされた場内にアルバム表題曲「THE SUPERNOVA STRIKES」が流れると、ビートに乗せてメンバーが1人ずつステージへ。そしてステージ上段に飾られた巨大な「StylipS」ロゴのオブジェの前に集結した4人は、アルバム「THE SUPERNOVA STRIKES」にも収録されたシングル曲「NOVAレボリューション」からライブをスタートさせた。続けて「MIRACLE RUSH」が歌われると、場内のボルテージは一気に急上昇。歌とダンスで力強いパフォーマンスを見せる4人に、観客は熱い声援で応えた。

  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。

「ついにツアーファイナル! みんな準備はできてるかー!」と能登が熱気あふれる観客を焚き付ける一方、松永は自己紹介の段階で早くも感極まり涙目に。「そうそうないよ、メンバーが泣いてお客さんが笑ってるって。新しすぎるよ松永さん!」という能登のツッコミに、豊田と伊藤は大笑い。「今日はこのステージの支配者と言わず、日本全国のステージを支配したいと思います。みんな途中でバテないでね!」と能登が客席をもうひと煽りすると、4人は「Prism Sympathy」「ツナグキズナ・ツツムコドク」と勢いのあるナンバー2曲を畳み掛けた。

ここでメンバーが一旦ステージを去ると、スクリーンに映像が映し出される。4人が「乙女軍空挺部隊 チームStylipS」を演じるドラマ仕立ての内容だが、4人は戦闘とは無関係の日常を送り、テーブルを囲んでダラダラと話をしたり、予算のやりくりで小さなもめ事を起こしているだけ。隊員の中でもひときわのんきな能登と豊田の「TEAM B・A・K・A」の出動シーンを経て、ステージにはオレンジの衣装に着替えた能登とピンクの衣装の豊田が登場。2人はユニット曲「ベイビィKISS☆」を元気に熱唱した。そして1人ステージに残った豊田は「もう少しだけもえし(豊田)と遊んでくれるかな?」と、続けてソロ曲「カフェモカ・サイド」を披露。場内は彼女のイメージカラーであるピンクのペンライトで染まった。

  • TEAM B・A・K・A(左から能登有沙、豊田萌絵)
  • 豊田萌絵
  • 伊藤美来
  • 能登有沙
  • 松永真穂

豊田と入れ替わりで登場した青い衣装の伊藤は、青一色に変化した客席に向けてソロ曲「Dear Honesty」を届ける。曲の終わりにはほかの3人が合流し、全員で「Choose me ダーリン」と「純粋なフジュンブツ」を歌うと、スクリーンには再び乙女軍空挺部隊の姿が。4人はやはりゆるいやりとりを続けていたが、ストーリーは回想シーンから突然SF的な展開へと移行した。シリアスな展開からつながるように、ステージ上に現れた4人はアルバム曲「星鳴る夜の誘惑者」をパフォーマンス。続いて能登が「Blue Moon Dream」を、松永が「Resonant World」をそれぞれソロでエモーショナルに歌い上げた。そして再び集まった4人が「閃光リフレイン」「迷々コンパスはいらない」の2曲を披露すると、この日3度目のスクリーン演出へ。ここで上映されたのはメンバーが演じるドラマではなく、豊田と伊藤が加入し新生StylipSが誕生した瞬間からこれまでの歩みを追ったリアルなドキュメンタリーだ。

新生StylipSの誕生からおよそ2年。ともに進んできた道のりを振り返った4人は、たっぷりと感情を込めて「フォーチュン・レター」を熱唱した。歌い終えると能登は「いい曲だよね。あの映像からのですからね……」としみじみ語るも、「しっとりした空気はここまで! みんなそろそろ騒ぎたいんじゃないの?」とすぐにモードチェンジ。4人がタオルを手にすると観客はすぐに察し、次の曲の準備を始める。元気いっぱいのジャンプで幕を開けた「初恋EVOLUTION」では観客も一斉にタオルを振り回し、続く「Melancholic Sunshine」でさらにヒートアップ。元気な能登も「THIS IS 酸欠!」と思わずもらしてしまうほどの盛り上がりを見せた。

  • 豊田萌絵
  • 伊藤美来
  • 能登有沙
  • 松永真穂
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。

4人は息を整えつつ、ここで初めてのツアーについて振り返る。伊藤は「私と萌絵さんが加入してからもうすぐ2年が経とうとしています。最初は不安もあったし、プレッシャーを感じていなかったと言ったら嘘になります。でもツアーをやって、素晴らしいスタッフさんと素晴らしいメンバーと、大好きなバディ(ファンの総称)に会えて、本当に幸せ者だなって思いました! 私たちの笑顔は皆さんに届きましたか? みんなの笑顔は私たちが受け取りました!」とファンや仲間たちに感謝の思いを届け、豊田は「4人だからこそここに立てていると思うし、いろんな人の助けがあってこそだと思うので、これからも感謝を忘れず一歩一歩前進して行けたらと思っています。高校卒業したての普通の一般人だった私が、今こうやってここに立てていて……普通の女の子じゃない、特別な女の子になれたことがすごくうれしいです!」と喜びを爆発させた。

「ツアーが始まる前はすごく不安で、何回かライブをお休みさせていただいたこともありました」と不安を抱えたままツアーに挑んだという松永は、またも目に涙を浮かべつつ「すべての人たちの力をもらって私はここに立つことができました。ここにいるみんなが私にとって本当に本当に宝物です」とコメント。最後に話し始めた能登は「今日初めてこの会場でマイクチェックをしたとき、すーんごい気持ちよかったんです。なんでかと言うと、やっぱり私が求めてんのは広さだと思う。でね、もっと広いところに立ちたいの!! もっとたくさん人呼んで、もっとたくさん歌を歌って、もっとたくさんの人にStylipSの存在を知ってほしいの!!」と野望を打ち立てる。さらに「今日ここで歌えたことはうれしいけど、ここがゴールじゃないって私信じたい!! だから今日、ここに誓います!! StylipSは今日ここを新たなスタート地点として、またさらに前進します!!」と宣言し、続けて「だから、もっと大きい会場でライブをやるとき、ここに来てくれたバディのみんな絶対来てほしいんだ!! 絶対見届けてほしいんだー!! 来てくれますかー?」と呼びかけると、観客は割れんばかりの大歓声で返答した。そして「近くの東京ドームまできこえるようにみんな声出せー!!」という能登の声に続き、場内の全員で「StylipS最高ー!!」と叫んだ。一体感を作り上げた4人は、最後に「うしろ髪ジャーニー」と「Brand-new Style!! ~魔法みたいな Show time~」の2曲を届け、ステージをあとにした。

  • 豊田萌絵
  • 伊藤美来
  • 能登有沙
  • 松永真穂
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。

盛大なアンコールを受けて再度登場した4人は「わがままバディー」を歌ったあと、なぜか突然「せっかくだからさ、エア長縄しない?」と縄を持たずに“エア長縄”を始める。これは彼女たちが精神を統一するために舞台裏で行っている“行事”だという。“エア長縄”でチームワークを固めた4人は、そのままの勢いでもう1曲「ギブミー・シークレット」を披露した。およそ2時間半におよんだライブは大団円を迎えたが、観客は終演のアナウンスが流れる中でも総立ちで「もう1回! もう1回!」とコールを続ける。すると4人はバタバタと舞台へと戻り、PAに向けて「すみません!『STUDY×STUDY』を!」とリクエスト。スタッフは大慌てで対応し、ダブルアンコールを敢行。すでに客電の灯った明るい場内に4人の歌声と歓声が鳴り響いた。

  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。
  • 豊田萌絵
  • 伊藤美来
  • 能登有沙
  • 松永真穂
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。
  • 豊田萌絵
  • 伊藤美来
  • 能登有沙
  • 松永真穂
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。
  • 4月19日、東京・TOKYO DOME CITY HALLでの「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」公演の様子。
ニューシングル「ギブミー・シークレット」 / 2015年5月27日発売 / Lantis
初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / LACM-34349
通常盤 [CD] 1296円 / LACM-14349
CD収録曲
  1. ギブミー・シークレット / StylipS
  2. destiny / TEAM B・A・K・A(能登有沙&豊田萌絵)
  3. ギブミー・シークレット(inst.)
  4. destiny(inst.)
初回限定盤DVD収録内容
  • 「ギブミー・シークレット」Music Clip
StylipS(スタイリップス)

スタイルキューブに所属する声優の能登有沙、松永真穂、豊田萌絵、伊藤美来からなるユニット。2011年12月に活動を開始し、2012年2月にシングル「STUDY×STUDY」でランティスよりメジャーデビューを果たした。2013年4月の1stベストアルバム「THE LIGHTNING CELEBRATION」のリリースとともにオリジナルメンバーの小倉唯と石原夏織が卒業し、スタイルキューブ研修生だった豊田と伊藤が加わる。新体制で3枚のシングルを発表したあと、2014年11月に2ndアルバム「THE SUPERNOVA STRIKES」を発表。2015年春には東名阪3会場で初のライブツアー「StylipS FIRST LIVE TOUR 2015 THE SUPERSONIC SUPERNOVA」を行い、いずれも大成功に収めた。同年5月には通算8枚目のシングル「ギブミー・シークレット」をリリース。