レコーディングは朗らかに

──メジャーでの初アルバムとなる「ホワイト・アルバム」の制作はいかがでしたか？

山田　すごく楽しかったですよ。こんなにちゃんとバンドっぽくレコーディングしたことはもしかすると初めてかもしれない。メンバー同士のエゴが衝突するみたいなこともなかったから、すごく風通しがよかったですね。

伊藤俊吾　こだわったところで結局はトイレの歌だからね（笑）。

伊藤健太　いやいやいや、結局って（笑）。

伊藤俊吾　もちろんみんなこだわってはいるんですけど、いい意味で力が抜けているところがあったと言うか。そのバランスがすごくいいんですよ。みんなそれぞれが別のバンドで、制作の過程で煮詰まる経験もしているわけなので、「ここでこだわりすぎるとまずいな」っていう空気がわかるんです。そういうときはお互いに気を利かせ合って、自然と朗らかな雰囲気になっていくから。そういうレコーディングができたのは、それなりの経験値をもったメンツだからこそだろうなっていうのはすごく感じましたね。

山田　誰も不機嫌にならないレコーディングだった。奇跡的な感じだよね（笑）。

──サトミツさんも楽しんでレコーディングには臨めましたか？

佐藤　僕の場合はレコーディング自体に慣れてないので、新鮮な発見ばかりで面白かったですよ。ところどころ歌わせてもらってるんですけど、下手すぎると曲として面白いものになっちゃうので、あくまでも邪魔しないことにこだわりました（笑）。せっかくいい曲を作っていただけたので、そこに音痴なヤツが急に入ってくるみたいな安いボケは絶対に嫌だったので。

山田　サトミツさんが歌うことで説得力が出る部分もありますから、そこは大事にしましたね。「今夜はCLEAN IT！」という曲では、ラップ部分も含めた見事な歌詞も書いてくれて。それはすごいなって思いました。サトミツさん自身にリズム感とか音楽的なセンスがちゃんとあるからこそ、トイレッツはうまくいってるんだなってことも感じましたね。ただ、バンドの中にいるとサトミツさんがどんどんミュージシャン面していく感じもあって（笑）。

佐藤　あははは。「もうお笑いナタリーは卒業だな」っつって（笑）。

山田　そこに関してはこないだ怒ったんですけどね。「サトミツさんはお笑いの人でしょ。音楽のほうに来ないでくださいよ！」って（笑）。

「Help!」っぽく「PULP！」

──アルバムですが、確信犯的にさまざまな楽曲のオマージュが散りばめられているところもすごく面白かったです。

伊藤俊吾　タイトルからして「ホワイト・アルバム」ですからね（笑）。

佐々木　例えば「ビートルズっぽく」って言うと、共通のサウンドがパッと浮かぶからアレンジの方向性がすごくわかりやすくなるんですよ。で、実際にビートルズっぽいサウンドになるとミュージシャンはなぜかうれしくなるところもあって（笑）。

山田　ちょっとニヤッとしちゃうんだよね。トイレットペーパーのことを歌った良くんの曲があるんだけど、それは最初「PAPER」ってタイトルだったんですよ。でもサウンドが一番ビートルズっぽい雰囲気になったから、タイトルも「Help!」っぽくしようってことで「PULP！」になって（笑）。「これは勝ったな」って思いましたね。

伊藤健太　それってオマージュでもあるとは思うんですけど、よりパロディ色が強い感じもありますよね。そういうことができるのもトイレッツだからこそ。平均年齢41歳くらいのオヤジたちが集まって、新たなバンドとしてワイワイと遊べてる感じは本当に楽しいですね（笑）。

──皆さんが楽しみ尽くして作り上げたこのアルバムを通して、世の中のトイレにまつわる意識が変わったら素敵なことですよね。

佐藤　本当にそれが願いですね。最高のアルバムができたと思っているので、それをこれからはどれだけたくさんの人たちに届けるかを考えていこうと思います。ライブに関しても、子供から大人までいろんな世代の人が集まれる場所にしたいなと思っているので。ぜひ遊びに来てほしいですね。

次なるテーマは女子トイレの行列？

──曲に落とし込むトイレのネタに関しては、まだまだたくさんあるんですか？

佐藤　トイレは生活に密着してるものなので、聞けば聞くほどみんながいろんな悩みを抱えてるものなんです。だからネタはまだまだありますよ。こないだも山田さんに新しいテーマをもらいましたし。

山田　そうそう。このアルバムでは学校でトイレに行けない男子のことを歌ってますけど、「女性にもトイレの悩みはあるんだからね！」って知り合いの女の子にものすごい剣幕で言われたんですよ（笑）。それは、ライブや映画館などでのトイレの行列。「その大変さを男子はわかってない！」って。

──ああ、確かに女子トイレはすごい並んでますよね。フェスとかでもそうですけど。

佐藤　だから、そういう曲を作るのはもちろん、フジロックなんかでトイレステージってのを作ってもらえばいいと思うんですよね。トイレの待ち時間を退屈させないように、僕らが出てトイレの歌ばっかり歌うステージ（笑）。

森　稼働時間がものすごいことになりそうやけどね。終わるタイミングがないし（笑）。

──トイレッツがブレイクしたら、そのライブ目当てのお客さんが殺到してトイレ周辺に入場規制がかかることがあるかもしれないですよね（笑）。

佐々木　そうなると本末転倒（笑）。普通にトイレに行きたい人が困り出すっていう。

山田　「なんだよあいつら！」って文句まで言われてね（笑）。

佐藤　確かに難しい問題ですね。そのあたりはもうちょっと考えなきゃダメそうですね（笑）。