1月に放送がスタートしたテレビアニメ「スロウスタート」から、主要キャラクターを演じる声優4人によるユニット・STARTails☆が誕生した。一之瀬花名役の近藤玲奈、百地たまて役の伊藤彩沙、十倉栄依子役の嶺内ともみ、千石冠役の長縄まりあからなるユニットで、彼女たちは同アニメのオープニングテーマ「ne! ne! ne!」で1月24日にCDデビューを果たした。今回のインタビューではSTARTails☆の4人に、楽曲制作のエピソードやアニメのアフレコ現場の裏話などを語ってもらった。

取材・文 / 須藤輝　撮影 / 塚原孝顕

プールの下に深海、あるかもね

──表題曲「ne! ne! ne!」はアニメ「スロウスタート」のオープニングテーマですが、楽曲を最初に聴いたときの感想から伺っていいですか？

近藤玲奈　第一印象は、まず歌詞が面白いなって思いました。「校庭から地球の先 ひとっ飛び」とか「プールから深海まで ひと潜り」とか、人間じゃできない！

一同　あはは（笑）。

伊藤彩沙　今思ったんだけど、この歌詞ってすごい玲奈ちゃんぽくない？

嶺内ともみ・長縄まりあ　確かにー。

近藤　私、学校の水泳の授業とかでプールの底に潜るのが好きで。潜ったときに、その下も何かあるんじゃないかと思って。だから、あるかもね、深海。

嶺内　そうね。

伊藤　ちょっとね、近藤さんは独特のワールドをお持ちなんです（笑）。

近藤　そういう人間ができないことを、この4人で当たり前のように言ってる姿が想像できて。それくらいお互いを信頼してると言うか、「4人だったら何でもできるよね」みたいな絆を感じました。

伊藤　「ne! ne! ne!」って、最近の女の子がいっぱい出てくるアニメのオープニングテーマにしては珍しいタイプだと思うんですよね。と言うのも、この曲はゆったりとした、流れるような曲調なので。

──キラキラしたギターロックですが、分厚いストリングスサウンドが非常に柔らかい印象を与えますね。

伊藤　それがすごく「スロウスタート」らしいなって。そこに、玲奈ちゃんが言ってくれたような4人の絆だったり、女子高生らしい無邪気さだったりが詰まっていて、とても素敵な曲だと思いました。

嶺内　元気なんだけど、しっとりしたところもあって、そのバランスが絶妙なんですよね。あと、やっぱり学校生活がテーマの1つになっているので、曲のイントロで学校のチャイムを思わせる音が鳴っていたり。歌詞にしても、作中のシーンやセリフを思い浮かべることができるんです。

長縄　サビに「その手を振って もっともっと わたしたち 近づいてく ゆっくりと！」というパートがあるんですけど、そこの歌い分けが細かくて。まず「その手を振って」は花名ちゃん（近藤）が1人で歌っていて、そこにたまて（伊藤）と栄依子（嶺内）が順番に加わって、「近づいて」でようやく冠（長縄）が入って4人になるんです。そうやって1人ずつ友達になっていくのもストーリーに合ってると言うか。

──4人の関係性が表れている。

長縄　そうなんです。でも、歌ってるときは「あ、私はまだ入れないんだ。早くみんなと一緒に歌いたいよー」って、ちょっとうずうずします（笑）。

神様に特注したような友達

──先ほど、歌詞がアニメの内容を思い起こさせるという話が出ましたが、もう少し具体的に聞かせてください。

長縄　私、最初「プキプキ」ってなんだろうって思ったんですけど、原作でたまちゃんが「プキプキ」って言ってて。

近藤・嶺内　「ああ、これかー！」って。

伊藤　そうそう。原作ではたまてが怒るときの擬態語として「プキプキ」っていう表現があるんですけど、レコーディングの時点ではまだアフレコで「プキプキ」って言うシーンがなくて、「どんな感じで言うんだろう」ってちょっと迷いましたね。だから「ne! ne! ne!」の「プキプキ」が、私の“1stプキプキ”です。

近藤　1stプキプキ（笑）。

長縄　あと、「まるで神様に特注したような ずっと大好きなみんな」っていうフレーズも。

一同　いいー！

長縄　ね。物語が始まってから花名ちゃんが、運命に導かれるみたいに、この4人の中にすっと収まったと言うか。ホントに出会うべくして出会った4人なので、この歌詞を見た瞬間に「それだ！ 特注なんだ！」って思いました。

近藤　花名ちゃんにとっても、この3人以上の友達はいないんじゃないかなって思います。

──近藤さん演じる主人公の花名は、高校入試前日におたふく風邪にかかってしまい、その結果中学浪人をして、1年遅れで高校に進学した女の子なんですよね。

近藤　そうです。花名ちゃんは、自分が浪人してることを秘密にしてるから、特にアニメの序盤では「大丈夫かな？ みんな私から離れていかないかな？」みたいな心情を表すセリフが多かったんです。でも、物語が進むにつれて花名ちゃんも「4人でいるのが楽しい」という気持ちがちょっとずつ大きくなっていったのか、ネガティブなことを考えることも少なくなってきて。そんな花名ちゃんを見てると、自分もすごくうれしくなってくるんです。