「秋元康さんは実在するんですか?」
ドクソン WACKメンバーから見たWACKの魅力を改めて教えてください。
ユア WACKは外から見ると過酷だから縛られているように見えるかもしれないけど、1人ひとりの個性がしっかり出せる自由なところが魅力的。決まりごとはもちろんあるんですけど、人間らしく輝ける場所だと思います。
ドクソン 人情に厚い。これはWACKというか、渡辺さんの持つ魅力かもしれません。自然と人情味のあるスタッフや関係者の方々が集まってる気がするし、WACKメンバーもそういう人がたくさんいる。私とココ(・パーティン・ココ)、ユユ(テラシマユウカ)の3人は、2016年にオーディションを受けて不合格だったけど、昨年やっと合格をいただいて。なので5年間もずっと不合格のまま活動させてもらってたんですよ(笑)。AKB48では恐らくありえないんじゃないかと! 不合格のメンバーと一緒に活動する機会ってありますか?
柏木 ないです(笑)。
テラシマ WACKは例外を認めてくれるという。
ドクソン 自分があきらめない限りチャンスをいただけるというところも魅力です。
チッチ 否定しないからね。
ドクソン そう。人を否定しないし、可能性も否定しない。それがWACKです。
柏木 AKB48の場合、秋元さんの「とりあえずなんでもやる」というところは魅力ですね。最初の頃から「みんなは素人で入ってきてるけど、ちょっとだけアイドルをやってると、こういうことはやりたくないとか、これをやりたくないとかが出てくるはず。でも、プロがいることはその道のプロに任せなさい」と。素人の女の子にその道のプロよりわかることなんてないんだから、自分が「違うな、やりたくないな」と思っても、一旦そこに飛び込んでみないと何も広がらないということを秋元さんはおっしゃっていて。そういう意味では、AKBがなんでもチャレンジしていく姿勢というのは、秋元さんの考えから来るものですね。WACKとはベクトルが違うかもしれないけど、話を聞いていて、そんなにかけ離れているわけでもない感じがしますね。
月ノ WACKでは「できないことを否定しないでやってみろ」っていうスタンスなので、何事も行動しないことのほうがダメだなとWACKにいるとすごく思います。
ドクソン ちなみに私は秋元先生が本当に存在してるのか、まだ信じられないです(笑)。ユニコーンとか、そういうファンタジーのキャラクターのようなイメージがあります。
月ノ 秋元さんとはどれくらい接する機会があるんですか?
ドクソン 本当にいらっしゃるんですか?
柏木 いますよ(笑)。カシワックの企画が決まる前に秋元さんと渡辺さんと3人でごはんを食べに行ってるから。連絡はよく取りますけど、会うのは年に1、2回くらいですね。
ドクソン 実在するんですね……!
チッチはなぜBiSHオーデを受けたのか
ドクソン 話は変わりますが、チッチさんに質問があります。チッチさんはなぜBiSHのオーディション受けたんですか?
チッチ え?(笑) 私はもともとアイドルさんが大好きで、AKB48では当時だと“超アイドル”って雰囲気の小野恵令奈ちゃんを推してたんです。私は一時期そういう子が好きで、自分もそうなりたいと思ってました。でも、大人になって自我が芽生える中で、そうやって正統派な道を生きてしまう自分はすごくつまらないだろうなと考え始めて。ふつふつといろんな思いがこみ上げてくる日常生活の中で、BiSHのオーディションを見つけたときに「ここに入ったら人生が変わる。ここに飛び込むしかない」って思った。ギリギリまで悩んだんだけど、「人生変えなくちゃ、ここで後悔しそう」と思って最終締め切り間際に応募して、オーディションを受けました。
柏木 正統派になりたいと思いながらも、まったく違うところに飛び込もうとする考えが、この世界に入る前からできるのはすごい……。私は好きなものが正統派のアイドルだったからこそ、そうなる道しか考えられなかったので。「現在の自分とは違う、なりたい自分がいる」というのはホントにその通りだけど、私はそれに気付くのが遅かったから。そういう意味ではその段階で人生の正解を選択していて本当にすごい。
チッチ (小さくなって)ありがとうございます……。
月ノ すごいうれしそう(笑)。
ドクソン いいお話でした。柏木さんは初めてのオーディションがAKBだったんですか?
柏木 私はモーニング娘。のオーディションを受けて何回か落ちてます。でもアイドルが好きだったし、ステージに立っていたい気持ちが強くて。モーニング娘。は無理だとあきらめかけていたとき、ファッション誌の最後のほうに「秋葉原48募集」って告知を見つけたんです。私はAKB48の3期生なんですけど、1期のときも受けてるんですよ。「秋葉原に専用劇場を作るから、毎日ステージに立てます」っていうのがAKB48の売りで。それを見て、「私が求めてるのはこれだ!」って。有名なアイドルになれなくても、ただステージに立ってみたいという気持ちがあったから応募して、1期のときはダメでしたけど、あきらめずに3期を受けて合格しました。
ドクソン 2度目で合格だったんですね!
チッチ 私もAKB48、受けたことある。
ドクソン えー! 知らなかった!
チッチ 「桜の栞」(2010年2月発表の15thシングル)の頃かな。
柏木 9期くらいかな? 運営は落としたのか……もったいなっ!(笑)
チッチ はは(笑)。9期メンバー、熱かったんですよね。ゆいはん(横山結衣)とかぱるる(島崎遥香)とか。
ドクソン すごい! AKB48にまつわるストーリーがこうもあるんですね……。ちなみに私は初期のBiSHオーディション受けました!
チッチ ハッシーもBiSHの1回目、受けてるんだよね。
ハシヤスメ そう。そのときは落ちて、そのあとの募集で加入が決まって。
──AKB48もWACKのグループも、成熟してくるとオーディションを受ける人の動機に変化がありそうですね。「とにかくステージに立つチャンスが欲しい」から「そのグループのメンバーになりたい」に。
柏木 そうですね。AKB48に入りたいという人は増えたと思います。
チッチ WACKのオーディションは変な人が減ったよね。
ドクソン 減った! 昔の集団面接なんて、とんでもない子ばっかり。最近の「WACK合同オーディション」を観ると、まともな子がほとんどになってる印象はあります(笑)。
柏木 確かに変わっていきますよね。AKB48も変わってきて、真面目でいい子が入ってきてますね。昔だと、AKB48での活動の先に「女優になりたい」「モデルになりたい」という夢を持っている人も多かったから、もっと我が強いというか、負けん気の強い感じでした。
“カシワック”コラボで実現したい夢
ドクソン 柏木さんは昨年からWACKとコラボしてくださってますが、今後のコラボ予定はありますか?
柏木 まずはSPYでお客さんの前に立ちたいです。年末のライブもすごく楽しかったので、このメンバーで披露する場を作りたいと思ってます。
ハシヤスメ 全員の夢ですね!
柏木 理想を言えば、音楽番組にもSPYとして出たい。でもスケジュールがなかなか合わないという話を聞くので(笑)。
チッチ こじ開けよう!
柏木 お互いのファン層とは違う人にも、このグループを知ってもらえるような、型破りなことを積極的に仕掛けていきたいんです。
チッチ BiSHはスケジュールこじ開けますから(笑)。
月ノ ギャンパレは空いてます!
ヤママチ ギャンパレはいつでもウェルカムです!
ドクソン では最後にチッチさん、今回の座談会の総括をお願いします。
チッチ なんで私なんだよ(笑)。WACKに根深くあるWACKらしさと、AKB48の培ってきたアイドルとしての強さが、この座談会でも伝わると思います。柏木さんがいかにこだわりを持ってSPYに取り組んでいるか、私たちがどのくらい楽しんでやってるかも伝わったと思うので、ドクソンさんがインタビューをやってくれてよかったと思いましたよ。
ドクソン ホントですか! 身に余る! このインタビューでちょっとでも気になった方がいてくださったら、お知らせです。それぞれのメンバーはあなたが思っているさらに5倍は魅力的であることを私が保証します!
チッチ 夢はライブと歌番組出演ですね。
ドクソン あとは10年後にまた会おう、ですね(笑)。「そなたを狙い撃ち♡」の実現を目標に!
ハシヤスメ 2032年か。
チッチ 一応、10年後のカレンダーには書いておくよ(笑)。
プロフィール
SPY(エスピーワイ)
柏木由紀(AKB48)プロデュースによるアイドルグループ。名称はSELECT 7 plus YUKiの略。メンバーは柏木のほか、2021年12月のファン投票企画で選ばれた音楽事務所WACK所属のユイ・ガ・ドクソン(GANG PARADE)、月ノウサギ(GANG PARADE)、テラシマユウカ(GANG PARADE)、ハシヤスメ・アツコ(BiSH)、ヤママチミキ(GANG PARADE)、ユメノユア(GANG PARADE)、セントチヒロ・チッチ(BiSH)という8名。2022年6月1日にシングル「あなたを狙い撃ち♡」をリリースした。
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柏木由紀(カシワギユキ)
1991年7月15日生まれ、鹿児島県出身。2007年4月、AKB48旧チームBの一員としてデビューを果たす。2021年3月にWACK代表・渡辺淳之介プロデュースにより、約7年5カ月ぶりのソロシングル「CAN YOU WALK WITH ME??」を発表した。5月にWACK所属7グループに“ユキ・レイソレ”名義で加入し、シングルをリリースすることを発表したが、6月に脊髄空洞症の治療に専念するため一時的に活動を中止。誕生日である7月15日に復帰を果たした。11月にBiSH、EMPiRE、BiS、豆柴の大群、GO TO THE BEDS、PARADISES、ASPとのコラボシングル7作品を同時リリース。12月に東京・TOKYO DOME CITY HALLにて行われる全グループとのプレミアムライブ「柏木由紀なりのWACK EXHiBiTiON and SELECT 7」に出演した。2022年6月に自身プロデュースによるアイドルグループ・SPYとしてシングル「あなたを狙い撃ち♡」を発表。
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BiSH(ビッシュ)
アイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチ、モモコグミカンパニー、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dからなる“楽器を持たないパンクバンド”。2015年3月に結成し、5月にインディーズデビュー。2016年5月にavex traxよりメジャーデビューを果たした。人気番組「アメトーーク!」での“BiSHドハマり芸人”の放送、各地の大型フェスへの出演ラッシュ、横浜アリーナや幕張メッセ、大阪城ホールでのライブに続き、代々木第一体育館でのワンマン公演、2021年5月より、初のアリーナツアーを開催した。2020年はコロナ禍の中、7月にリリースしたライブハウス、CDショップ支援を目的とした初のベストアルバム「FOR LiVE -BiSH BEST-」を発表。同月にメジャー3.5thアルバム「LETTERS」をリリースし、2作連続でオリコン週間アルバムチャートの1位を獲得した。2021年12月24日に、2023年をもって解散することを発表。「BiSHからのPROMiSE」をファンと約束した。「BiSHからのPROMiSE」では「1. 2022年1月から12カ月連続リリース、2. 『COLONiZED TOUR』を開催、3. 『BiSH FES.』を開催、4. ベストアルバム『FOR LiVE -BiSH BEST-』の収益を寄付した全国33都道府県67店舗を回るライブハウスツアーを開催」の4つの“PROMiSE”を掲げている。
BiSHオフィシャル (@BiSHidol) | Twitter
GANG PARADE(ギャングパレード)
「みんなの遊び場」をコンセプトに活動するアイドルグループ。2014年に結成されたプラニメが前身ユニットで、2度の改名とメンバーの増減を経て、2019年4月にワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル・FUELED BY MENTAIKOよりシングル「ブランニューパレード」でメジャーデビューを果たした。2020年3月よりGO TO THE BEDSとPARADISESの2グループに分裂しての活動を開始。精力的にライブを行い、2021年には両グループ合わせて270本ものライブを敢行した。2022年1月1日にGANG PARADEとして再結成。1月15日から行われた再始動後初の東名阪ツアー「GANG PARADE GOES ON TOUR」ではチケットが即日完売した。3月にメジャー2ndシングル「PARADE GOES ON」をリリースし、5月から再始動後最大規模の全国ツアー「GANG PARADE THE GREATEST SHOW TOUR」を開催中。